五十一話 一日限定
予約投稿その7。
今回は急に3週間飛んだあとの暮らしになります。
ラデルちゃんバスタオルはだけ事件…いやツリスと温泉に行ってから3週間も経った。あの後また送り返してもらってラデルちゃんと暮らすための生活費を稼いでいたのだ。
そしていつも通りにギルドに通っていると、ウォナテさんが話しかけてきた。
「今日もラデルちゃん連れて依頼?」
「はい、そうなんです。常時暇なんでね…」
「あのさ、ちょっと提案があるんだけどさ。」
「ハイなんでしょう」
提案?何だろう?
「今日暇だったら1日ギルド職員になってみない?昨日ギルドマスターに頼まれたんだよねー。」
「私まだ13歳ですけど…」
てかギルドマスターに頼まれたら断れないじゃん!
「『ユキヒアだけ特別だ。給料は弾む』と言っていたよー。」
「よしやろう。」
「その言葉を待ってた。」
てか断る気もないしね。暇だし。
「じゃ、ギルドマスターに報告しに行きますかー。ユキヒアちゃんも着いてきてね。」
ん?なんでなん?
と思ったらウォナテさんに手を掴まれてギルドマスターの部屋に連れていかれた。
「おぉウォナテ…とユキヒアか。どうした?」
「昨日私に話したこと覚えてないんですか!?ユキヒアちゃんを一日だけ雇うって仰ったじゃないですか!」
「あぁー思い出した思い出した。んでユキヒア、結局1日ギルド職員をやってくれるのか?」
「暇なんでやりますよ。そのかわりラデルちゃんの保護はお願いします。」
ラデルちゃんはこの3週間ギルドに行く際、いつもおんぶしては寝てると言うお気楽に過ごしている。あ、私は獣人化はしてないよ。
「ん?なんでだ?」
「ラデルちゃんを人質にとって私をあんな事やこんな事をしようとする輩が居るかもしれないんで…」
「あー…そういう事もあるかもしれないしな…でもユキヒアの強さなら瞬殺出来ると思うが…わかった。」
「んじゃ、何すればいいんですか?」
「待て待て、その前に着替えろ。制服みたいなものを用意したから。」
「あ、はーい。」
あー、着替えなきゃなのか。うーん、スカートじゃないやつが良いんだけどなぁ…
…
…
…
「か…可愛い…」
更衣室から出た私を見た人の第一声がこれ。あ、発したのはウォナテさんね。
さて、出された服装はウォナテさんが今着ている服の色をちょいと色変えしたもの。女性社員人がよく着てそうな上半身の服にスカートが付いたもの。
もちろん…と言ってはなんだけど胸が締め付けられる思いがしたよ。ツリスがストッパーかけてくれてるから大丈夫なはず…
「えー、ウォッホン、それではユキヒアには一日だけ働いてもらう。わからないことがあったらウォナテ含むギルド職員に聞くといい。」
「はーい。」
さて、やるか…といっても何も知らないから大先輩のウォナテさんに色々聞かなきゃ…
「ウォナテさーん、私って何やればいいのー?」
「これ見てー。」
ウォナテさんが何か書かれたものを出した。
えーと何々…ギルド仕事用手順…?
「だいたいこれ見れば分かると思う。ギルドマスターが初めてこの仕事やる人の為に作ったと言ってたけどね。」
…まぁ初心者が何も見ずに仕事出来る…いや出来る人いるかもだけど、いなさそうだからね…
私はその書かれた文字を読み解く。
…
…
…
「ギルドマスターからユキヒアちゃんが一日働くって聞いたけど、熱心だねーウォナテ。」
「えぇ、貴女よりかは随分と働いてくれるいい子ですよ。」
「今日頑張って働いてるじゃーん!」
「過去があれだから…ね?」
「ね?じゃなぁぁい!」
子供っぽい言い争い?をしているのはローズさんとウォナテさんだ。ウォナテさんは『ユキヒアちゃんが来ると聞いて来たんでしょう』と言っている。
さて、書類等は先輩2人がやると言ってたので、私は冒険者等の受付とかをやっている。
子供達が『新しいねーちゃんだ!』と言う時があれば、いかにもごつそうなオッさんが『見たい顔だな、新人か?』とか言ってた。ちなみに子供達もごつそうなオッさんも優しく接してくれる。店とかでよく来る意味分からんクレームとかあるみたいだけど、あんのかな?
「おい!そこの新人!依頼達成したから報酬くれや!」
……ちょいと不安になって来た…
えーと、ゴブリン50体討伐依頼…えとえと、報酬金は銀貨3枚と銅貨5枚ね。
「ギルドカードを提示してください。依頼完了の印を付けるんで…」
「…チッ…ホラよ…」
うわーこいつ舌打ちしたよ…しかも乱暴に投げて渡して来た…さっきのゴツくて優しいおっさんは投げずにちゃんと渡してくれたのによ…
「はい、報酬金の銀貨3枚と銅貨5枚です。お納めください。」
私は報酬金を差し出す。すると報酬金を見るなり
「こいつ舐めやがって!報酬金が少ねぇじゃねぇか!」
「は…い…?」
私は戸惑ってしまった。え?きちっと数えたのに…間違えたか?
「えーと、一旦数え直して渡し直すので…お手数ですが一度返していただけると…」
「ふっざけんじゃねぇ!このガキ舐めやがって!もう一回渡せばいいだけだろうが!」
…これってあれか?言葉ではうまく言えないけど、報酬金を二回貰うってやつか?
一回目のやつにいちゃもんつけてごり押ししてもう一回お金を貰ってウハウハってやつか?
んー…こういう奴って自分が相手より強いって勘違いして力押し出来るって思ってんのかな?
「えとえと…数え直すので一旦返してください…」
「返す!?何を?まさか報酬金のことじゃねぇよなぁ!?」
「その報酬金を数え直して渡し直すって言いたいんですが…」
「ああもう腹立つ!表出ろ!ぶっ殺す!」
えぇ…(驚愕)助けてウォナテさん…どう対応すればいいかわかんないよ…
えーと…手順には恐喝とか脅しとかで無理に自分の意見を押し通そうとして実力行使に来た場合は容赦なく叩き潰せ…と書いてあった…
…これ、私の見た目が小さいから怖がって意見に従うだろうって相手は思ってんのかなー…
「おい!逃げんのか!」
そりゃひ弱で幼気な少女が殺すとか言われたら逃げたくはなるでしょうよ…
だけど私はあえて立ち向かっていくぅ。ちゃんと数えたのに違う違うと言って不正しようとする輩には天罰…?かな?を下そうじゃないか。
「全力で叩き潰すよ?ギルドの方針に基づいてね。」
「はぁぁ?叩き潰すだぁ?どの口が言ってんだぁ?」
んー…どうやって潰そうかな…魔法でやってもいいし獣人化して大事な所蹴り上げて悶絶させるのもいいし…うーん…
よし決めた。私は幻覚+獣人化をして、一気に距離を詰める。側から見れば普通の少女がガタイのいい男に向かっていくっていうやばい光景かもしれないけど。あ、幻覚は普通の姿にしてるから耳や尻尾とかは見えないと思う。
大事な所蹴り上げようかと思ったけどあの時みたいにネチャってしちゃったら借り物の制服が汚れてしまうからやめる。ということで狙いは背中+腹の二段構えだ。
急接近した私を掴みかかろうとする男を躱し、その勢いで背中に回り込み蹴りを入れる。見事に逆つの字が出来上がった男に対し、今度は腹のとこに言ってドロップキックをかましてやった。
男は気絶したみたいなので、まだ受付の机の上に乗ってある報酬金を数え直す。
ひいふうみい…よし、ちゃんと銀貨3枚、銅貨5枚あった。この不正野郎め…
ま、この事はギルドマスターに報告するとして、私は与えられた仕事をこなすとするか。
…
…
…
流石にあんな姿を見せられて私に不正を働こうとする人物はいないだろう…と思ってたがいた。3人くらい。要求が通らないことを知ると暴力に走ったが、全て返り討ちにしてやった。
時には優しい人もいた。「小さい新人さんお仕事お疲れ様」と言って果実をくれたのだ。休憩時間に食べたら物凄く美味しくてたまらなかった。素直に嬉しかった。
そして陽は落ち、私はそろそろ仕事を切り上げて帰ろうかとギルドマスターに報告した。勿論不正を働こうとする奴の報告を兼ねてね。
ギルドマスターは「わかった、給料は後日、ここで払おう。」と言って私を労ってくれた。ありがとう。
そして制服を返還してラデルちゃんと合流して普段着に着替えた後、いかにもアブないお誘いをやられたが断った…ら、ラデルちゃんを連れ去ろうとしたのでガチで叩き潰してやった。懲りて欲しいもんだけどね…
ラデルちゃんは夕食も食べてきたらしく、私の背中をすぐに占領した後眠りについた。
私は宿屋についた後、ラデルちゃんを起こさないように丁寧に布団の上に乗せた後、私も寝た。
あぁぁぁ疲れたぁぁぁ仕事大変だったぁぁぁ…また明日も頑張ろうと思うのであった。
終わり方雑&チンピラの対応だけになってしまった…だけどタイトル詐欺ではない…よね?
キャラ紹介は異世界編が終わったらします。




