姉のミニスカート♡ ⑨ ラブレターと複雑な心
昨日の「優香」の余韻、まだ肌に残るシルクの感触
――を振り払うように、僕は男子生徒として登校した。
ズボンのゴワついた感触が、今はなんだか物足りない。
「……優斗」
休み時間。拓也が神妙な面持ちで僕を呼び出した。
いつもの「よお!」という明るさはない。
「ど、どうしたんだよ、改まって」
「お前に……頼みがあるんだ」
拓也がポケットから取り出したのは、丁寧に折られた一通の封筒。
淡いピンク色の、可愛らしいシールで封がされている。
「これを……お前のお姉さんの友達の、優香さんに渡してほしい」
……ドキッ。熱い鼓動が止まらない
「え、……これって」
「昨日会って、確信したんだ。……俺、あんなにドキドキしたのは初めてなんだよ。優斗、頼む。お前から渡してくれ」
拓也の目は、真剣そのものだった。
親友が、僕(の女装姿)に恋をしている。
僕は震える手で、そのラブレターを受け取った。
(どうしよう……。中身、読みたくないけど……読みたい……。いや、これ、僕宛てなんだよな!?)
「……わかった。責任持って、渡しとくよ」
「サンキュ! 信じてるからな、相棒!」
拓也が僕の肩を叩く。
その手の熱さが、なんだかいつもより重く感じられた。
放課後。
僕は一人、帰宅する。誰もいない部屋で鏡の前に立った。
制服を脱ぎ捨て、昨日買ったばかりのスリップに着替える。
そして、拓也から預かった手紙を、そっと開いた。
『優香さんへ。一目見た時から、目が離せませんでした。 また、あなたに会いたいです――』
鏡の中の「優香」が、手紙を胸に抱いて、ふにゃりと力なく座り込む。
(……こんなの、もう引き返せないじゃん♡)
拓也の想い。姉の期待。
そして、自分の内側に芽生えた「女の子になりたい~♡」という熱い欲望。
優斗の、いや、優香の物語は、もう誰にも止められない場所へと加速し始めていた。
つづく




