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黄昏時、俺は生きた  作者: 田中ソラ
第三章 感情
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第四十七話 もう一人の巫女

「不時さん!」


「こ……香月くん。戻ったか」


「はい。状況を説明します」


 女王が目覚めてから六時間。つまり黄昏時は過ぎて、少しした頃が今だ。


「周囲のアルファは全て女王のいる巣の方に集まっており、この辺りにアルファは一体もいません。次に黄昏時のことについて。黄昏時では西の方角で青い光を確認。すると巣の近くから青い光が出、その青い光が出ているアルファは一歩も動きませんでした」


「そうか、状況説明ありがとう」


「はい」


「あちらの部隊にはすでに女王が目覚めたことについて知らせておいた。そこで二つ、新たな情報を得た」


「新たな?」


「一つ目小香君達、巫女が活動していた本拠地には水晶があったのを覚えているか?」


「はい」


「その水晶が光っているらしい。声が聞こえる前はかすかだったが聞こえた後は強く」


「水晶が光る。これも何かありそうですね」


「あぁ、次は女王の器である春君が声が聞こえる前から体が痛いと言っていたらしい。声が聞こえてからは胸を押さえて苦しんでいる」


「胸を。小香と同じ……」


「ここにも何かあるかもしれないが、これは小香君が帰ってきてから聞くことにしよう」


「分かりました。先ほど小香から連絡があり、こちらに少しずつ向かっているらしいです」


「分かった。到着次第、私の部屋に二人で来るように」


「了解しました」


 俺は不時さんの部屋を出て、与えられた部屋へ戻った。


「あ、水谷くん! どこに行ってたんだい?」


 部屋に戻ると中には生見さんがいた。


「小香と二人で話し合ってたんだ。小香は今、辺りの探索に行っている」


「そっか。朝から姿が見えなかったから、どこに行ってたのか気になってね」


「朝は寝ていた。二人で遅くまで話し合ってたからな、起きた後も作戦会議などをしていた」


「そうなんだね」


 やけに俺や小香の行動を把握したがる生見さん。


 でも小香からの話がなかったら怪しいだなんて思っていなかっただろうな。


 べらべら話して、思わぬ情報を与えていただろう。


「聞いた? 皇ちゃん達の部隊の方に小さいサイズのアルファが進行してるって」


「え?」


 初耳だ。不時さんも何も言っていなかった。


「あれ? 不時さんから聞かなかった?」


「……」


「僕は不時さんから聞いたんだけどな。おかしいね」


――まんまと罠にはまったよ。このまま堕ちろ


「……いや、不時さんが冷夏に知らせた時に不時さんも聞いてたから俺にも教えてもらったよ。さっきのことだったからまさか生見さんが知ってると思わなかったから驚いてな。情報が早いな」


「ふふ、そうだね」


――チッ


 生見さん、裏切り者説は濃い。


 生見さんが冷夏達の方にアルファが進行してることを知ってるってことは、生見さんがアルファを操作してるってことか?


 いや、それかアルファの行動を把握しているだけか。


 どちらにせよ、厄介なことに変わりはない。


プルルルル


「小香から電話だ。俺は行ってくるよ、生見さんゆっくりできないと思うけどゆっくりしててくれ」


「そうだね」


 フードを被り、扉を開け、通路に出た。


「ふぅ」


 振り向くと、生見さんがいた方向には女王が持つ赤い瞳がこちらを見ていた。


「思考操作能力か、あるいは」


 別の能力で操られているのか。とりあえず、様子を見つつ討伐作戦を進めるしかない。




「小香」


「兄さん。心配かけた」


「大丈夫。それよりも不時さんの所に行こう。呼んでたからね」


「分かった」


 僕は小香の腰を持ち、体を支えながら不時さんの部屋に向かう。


「そっちは大丈夫だった?」


「大丈夫。問題はなかった」


「良かった。小香に新しく教えたいことがあるんだよ」


「……うん、あとで聞く」


「そうだね、あとで話すよ」


 不時さんの部屋の近くに到着した頃、通路がやけに騒がしかった。


「どうかしましたか?」


「え、誰?」


「ここにいる小香の兄の香月です。妹と同じく顔を負傷しているのでフードを」


「な、なるほど……」


「で、何かあったんですか?」


「大変なんだよ! あっちの部隊がアルファに襲われかけてるらしくて! どうすればいい各自作戦を立ててる途中で……」


「なるほど。すいませんが不時さんに用事があるので道を開けてもらうことは可能ですか?」


「え? あぁ」


 少し道を開けてもらい、部屋の扉をノックし中に入った。


「来たか」


「あぁ。小香、いけるか?」


「大丈夫だ」


 結界で囲ってもらい、俺は話を始めた。


「冷夏達がいる所にアルファが進行しているらしく、外が騒がしい。不時さんは知っていたか?」


「いや、外の騒ぎで知ったよ。一体誰から……」


「生見さん。生見一哉からだ」


「え?」


「生見さんは俺に冷夏達が襲われそうなことを話してきて、その話を不時さんから聞いたと偽ってきた。もし本当に不時さんが話していたら別だが、生見さんがこのことを知っているのはどこかおかしい」


「私は何も知らなかったよ。伝えた時は女王の器が胸を押さえて苦しんでいることと水晶が光っていることしか聞いていないからな」


「ちょっと待ってくれ。何て?」


「その話は後からする。俺は生き返ることで特別な力を得た。それは心の声が聞こえることだ」


「そうか」


「生見さんからは疑われる要素のあることしか聞こえなかった。不時さんの心も当てて証明しよう」


「あ、あぁ」


――それは本当なのか? 少し疑わしいが小香君がいるから本当だろう


「それは本当なのか? 少し疑わしいが小香君がいるから本当だろう」


「!」


「どうだ。当たっただろ?」


「そうだな、その力は本当らしい」


「生見一哉は疑うべき存在だ。情報を渡す際には注意してほしい」


「分かった」


「次は水晶と春のことだ。まずは春。胸を押さえているらしいが何か共通点はあるか?」


「我ら巫女一族は昔から呪縛があった。女王が目覚めた時胸が痛み、動けなくなることだ」


「ってことは、春は……」


「もしかしたら巫女の誰かが生まれ変わった姿かもしれない。だが春が生まれた頃は水晶が光らなかった。これは何故だ?」


「それが今、水晶が光ってることじゃねぇのか? 何かの手違いか何かで水晶が光らなかった。どうだ?」


「その可能性は高い。春が巫女一族だと仮定したら春が女王の器になるぐらいの力があってもおかしくない。全てに辻褄が合う」


「そうか。だが、春が巫女一族だと分かって何になる? 春自身が何かできるのか?」


「結界は誰でもできるが修行が必要だから早急にできることではない。できるとすれば___」


「は、それって」


「これは何をしなくてもできる。その力が目覚めたら春は自分から信用できる人間かどうか、判断することができるだろう」


「それは春にとって良いこと、だよな?」


「当たり前だ」


「なら良い」


 春にとって何か邪魔になるような物は排除してあげたい。


 春が自ら判断できる材料が多くなるのは良いことだな。

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