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鮭様大好き♡秀吉絶対ぶっ潰す!  作者: みたらし丹後
氏家家と不幸な女神
13/66

12.薬祖神の娘その3

少し長めです。

〇大崎重雄〇

<少し前>

 さてと、激高してみたものの、あのこまっしゃくれをなんとかするには、コマが足りない。

 たださっき「必死に加護し、育ませてきたわれの恩を忘れ」と言うとった・・。

 それならこの体と、童女との間には、(えにし)が、あるはず。たしかに、ここの空間と我らの間には、妙にしっくりくるものがある。

 自宅にいるような安心感と、外とは違う内部からの力がみなぎり、溢れそうな感覚。

 

 小娘のワシへの一撃も、威力がありすぎた。

 思わず精神ごと、逝くかと思ったぞ。右手を持ち上げて、じっと手のひらを眺める。小さい紅葉の葉のような、手のひら。


 上段では、童女と嫁さんが、きゃいきゃいと、かしましく話をしている。

 まあ一方的に童女が、まくし立てているだけだが。

 うらやましいのう、ワシもあの中に入りたいわ。入ってキャッキャッウフフに、参加したい。


 状況から察して、童女はどこぞの名のある神。楓さんは実の娘じゃなくて、創造するか、童女の神気が宿って顕現(けんげん)した付喪神(つくもがみ)といったところだな。母子にしては神格が違いすぎる。

 ジィーっと眺めながら分析する。


 ふむ、ここでなら・・。

 眼をつぶり精神を集中させる。

 若い時分弟と共に、精神鍛錬や神事や神楽舞を、叩きこまれた時の感覚を思い出し、引き出す。


 おっ?

 小娘から精神がズルり、と分離した。精神というより、御霊だ。魂だ。

 更に集中しイメージを高める。

 分かれた御霊が光りながら、形を形成しつつある。

 

 そうだな、ワシが医師会の副会長に、就任した頃がよいな。気力と胆力が、みなぎっていた頃だ。

 二十年前のワシ・・。二十年前のワシ・・・。


 光りながら、グニグニと次第に、人の形を形成していく。

 人体と共に、見覚えのあるスーツが、出現する。愛用していたアルマーニのスーツ。


 この受肉する感覚は、なんともまあ心地よい。

 童女から繋がる神力を使用して、顕現(けんげん)している感覚がする。

 ネクタイは、お気に入りの特殊加工で、テカテカ輝き、見る角度で色が変化する玉虫加工ネクタイだ。


 スーツも、ワイシャツも、ベルトも、ネクタイも、しっかり着衣した状態で現れる。便利だ。

 靴は持ってなかったが、ジョンロブがいい。美容整形で、しこたま稼いでいた、後輩が自慢していたあれだ。

 時計はピアジェ。オーダーメイドで、ジェムセッティングは、アレキサンドライトにするか。イメージ。イメージっと。

 見た目は、シンプルながら、文字盤の周りとアワーマーク(時字)が、アレキサンドライトのバブリーな、腕時計が出現。

 おほ!これ1つで、小さい家が買えるわい。


 ビシっと決まった。


 初見のこまっしゃくれは、この出で立ちに、さぞ動揺するだろな。

 

 後は使いたくはないが、念の為。

 シグ・ザウエルP226。

 猟友会と医師会のミニタリー同好会の射撃ツアーや、海外の射撃場で、よく使った拳銃だ。


 顕現した自動拳銃のグリップを握り、マガジンを外して、残弾を見る。スライドさせて中を覗く。

 ・・・・・本物に見えるが、試射はまずい、音でばれる。

 マガジンを戻して、スライドを戻す。「チャキ」と音がして弾が装填される。そしてセーフティロックレバーを入れた。


 凄い、ここの神域半端ない。この重量感と、創りの緻密性・・これここの外で使えたら、無敵だろ。

 ズボンに、ぐいっと拳銃を押し込み、ベルトをきつく締める。


 さて、仕込みは完了。気付かれる前に、仕掛けるとしよう。


 ふと童女の会話に、集中すると、小娘を拉致し、それを(にえ)として、永遠に引き籠ると、宣言しよった。


 ならば遠慮は、いらんな。

 楓さんちと母さん折檻するが、勘弁してくれ。

 おいたが、過ぎたんだよ。こういう手合いは、一度心をぽっきり折らないとな。

 知り合いの反社の親分を、真似してみようか。連中心を折るプロだしな・・。

 

 寝ている小娘を南東の角に移して、上から創造した大きな金タライを被せる。これで多少の事では、小娘に被害及ぶまい。

 タライの上を「トントン」と、軽く指先でつつく。

 

 これ終わったら、楓さんと結婚するんだ。ワシ。


 さて、(えにし)を通して、神力を一気に引き抜こうか。


〇?〇

 頬を伝わる涙を手で拭い。

 翁に問うてみる。

「ど、どちらの禍津神(まがつかみ)殿かの?」


 翁は首を傾けたまま、一言「あ゛?」と発して、更に睨んでくる。その顔には、悪意しかない。


 怖いのじゃ~。助けてくれなのじゃ~。失禁しそうなのじゃ~。


「おめえさんよ。人に名を訊ねるときゃあなぁ。まず自分からってこと、知らねえのかい?あぁ!?」

 ガラ悪いのじゃ~。名を知られたくなかったが、仕方ないの。


「我は偉大なる薬祖神である。大己貴神(おおなむちのかみ)が娘である。四方那草姫(よもなくさひめ)なのじゃ。」


 翁は傾けた顔を、真っすぐに戻し、「ふむ。」と顎を撫でながら、思考しているようだ。

 どうじゃ恐れいったか。


「ワシは大崎重雄。ただの一般市民だ。」

 ただのいっぱんしみんとは、なんじゃ?冥府の悪鬼の階級か何かかの?


 楓を逃がす隙を伺い、南西の扉の辺りを、チラチラ見ながら会話していると、翁は「フッ」と不敵に笑い、丁度扉が現れる場所に、移動して一言「逃がさぬよ。」と。


「!!!。」

 驚愕とするわれの顔を、ニヤケ顔で睨む大崎翁。


「い・・一体何がしたいのじゃあ!?」

 われがたまらず叫ぶと、翁は。


 「大国主(おおくにぬし)様の娘御様よ。あんた(にえ)探しているんだろ?出羽の娘御だな?猿のように小賢しいこと、しやがって。」


 「しし知らん!な・・なんのことやら、言い掛かりじゃ!」


 「神さんが嘘をついたら、いけねえよ、終わるよ?・・針千本飲みたいかい?」

 「あんたのやろうとした事は、ありかなしかってえとなしだ。梨の実だよ。さっき言挙(ことあ)げを聞いたよ。慢心しかなかったね。鬼でも蛇でも、なってもらおうか、四方那草姫(よもなくさひめ)さんよ。」


 !!!しまった!言霊じゃ!不吉な言霊をまくし立てて、われを縛ろうと。

 くっ!もうこの身は縛られて、動くこと(あた)わず。


 われが縛りから逃れようと、じたばた足掻いておると。

 何者かが、われと翁の間に、立ちふさがる。

 いかん!楓だ!

 

「楓逃れよ!母はもう動けぬ。(なれ)はこれからじゃ。この母の願い、聞き届けよ!」


 楓は「フルフル」と、首を横に振り、両の手を広げて、翁に向かう。

 後ろからでも、楓が激しく震えるのが、分かる。


「ええい!この親不孝ものめ、縁切りじゃ!もはや親でも子でもない!何処とでも参れ!」

 ビクっと動揺する楓・・が・・立ち退かない。


 対面する翁、大崎は、なぜか悲し気な顔をした。


「大崎殿。さぞや名のある陰陽師(おんようじ)であろう。後生ぞ、この小物(楓)は、とるに足らぬ物じゃ。見逃してくれまいか?われを調伏(ちょうぶく)せよ。使役でも、滅するでも、好きにするがよい。」


 大崎翁は、首をゆっくり左右に振り。

「縁切られたな・・。」と一言。


 !!!!!。

 しまった!

 楓が足元より、消えかかっておる。

 われは、何という(たわ)けなのじゃ。


「大崎殿!!助けて(たば)れ!助けて(たば)れ!助けて(たば)れ!助けて(たば)れ!助けて(たば)れ!助けて(たば)れ!助けて(たば)れぇぇぇぇ!!」


「・・・・すまんな・・ワシでは、(あた)わず。」


 楓はわれに、ニコリとほほ笑み、一礼してすっと消えた。


「かぁぁぁえぇぇぇでぇぇぇぇぇ!!!!!!」


四方那草姫の神域に於いて、悲壮な絶叫が、鳴り響いた。

お爺ちゃん死亡フラグ立てちゃだめでしょ。


のじゃ姫不幸属性カワイソス。

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