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幼児時代を思い出そう(5)

作・R7代表:花船

(しっかしこれでよくもまあ生き残ってるもんだよな~)

(昔わりと命にかかわることあったのにな……)

(…… やっぱり、ちゃんと幼児時代を思い出そう)


「幼児時代を思い出そう (5)」

・・・


(プールで泳ぐという概念が無かった。ビート版の存在を初めて知ったはず。)


(プールで溺れたことがある。入水する階段の手すりに摑まっていたかいなかったか、とにかく降りる途中に足場を失って身体がプールに全部落ちた。水中反射の名残で肺はまず助かった。体がおそらく縦に回転していき、本能的溺水反応に入りかけた途中、かっ開いていた目にプールのスポンジ材質おもちゃが目に入った。それを足で蹴って前進したところ、幸運にも自分が上に向かっていると分かった。勢いに乗り水を蹴り続け水中から出て、水を口で出す真似をした、あるいは本当に出した。)


(溺れた状態を脱し、耳の水が抜けて手前を見てみたら、私が初めてラブレターを渡す羽目になった子、もとい私に初めてほっぺにチュした子が、声をあげて泣いていた。先生に引き上げられた私はその後初めて、水着を後ろ前に着用して身動きが取りづらくなっていたらしいことに気が付いた。)


(プールの時間に使っていた施設で「この部屋の上では別の子どもたちが寝ているので静かに」という指示に従ったのとその子らが寝ているであろう暗い上部の様子が非日常的で明瞭に思い出せる。)


{(幼稚園を離れ、)楽団にいた両親の、楽器の練習のときは静かに待っていてね、という指示にはなかなか従えなかった。}


(おゆうぎ会の練習でもちょっとだけ喋ってはいたが、主に前の子たち幕の後ろにいるのに騒がしくないかという内容だった。「止まれよとまれ、止まれの魔法!」という園児ら数名に合わせ私も幕をつまんだ。幕の向こうから現れた先生に叱られたのは私たちのほうだった。情報の非対称性を学んでゆく大切な過程だ。)


(両親のいる楽団の練習の帰りにちょっと縮めた曲がりせんべいみたいなデカ満月に出会った夜も、デカい水溜まりに母もろとも落っこちて大泣きしたことも記憶にある。)


(遠足のようにお菓子を食べながら両親の練習終わりを待った。空の色が変わる瞬間をいつも見逃しては悔しいなと思っていた。グミを廊下の床に置いて拝んだり、何かしら想像してから食べていた)


(用意された遠足シート上のタオルで寝ていて起きたら楽団員に囲まれていたことがある。)


(大人の背くらいの高さのパイプ椅子キャスターを通過した私を後追いした、一緒に待っていた赤ちゃん様が、その鉄の棒の間に挟まって泣いてしまったときは罪悪感を感じた。)


(指揮やウッドブロックをやらせていただけたり、いろいろなところへ行けたりしたのが少し楽しかった。一回服にサインペンで服の端に平行なうねうね線を書かれて即座に謝られたり、お尻を拭かずにトイレの小を済ませることもあったけど…/学校の図書館の暗いバージョン、トイレの暗いバージョンは、母がいたこともあったのと未知の世界だったので最も楽しかった瞬間に数えられる。)



(プリキュア、ケロロ軍曹、カートゥーンネットワークにこのころから既に触れていた。彼らの言動を時折真似して話していたが、ごっこ遊びはまれだったようで、友人と遊んだ記憶の中にもほとんど無い。)



(見返すと制服のデザインは夏冬共に一丁前で悪くなかった。麦わら帽も紺色帽も嫌いではなかった。バッグも良い感じだった。「同じ組のコ」* がカラスの羽をバッグの留め具で挟んで音を鳴らして皆に見せていたのが記憶に焼き付き、音まで忘れられないでいる。)

* 幼児時代を思い出そう (2)にて登場


(卒園式でなぜか一瞬だけしゃくりあげそうになった。おそらく、せっかくやっとまあまあ慣れてきた幼稚園生活から解放されることへの漠然とした不安である。)

・・・

(惨めったらしい思いも、ワクワクに駆られた経験も、まさかここまで記憶できてるなんてな~)

(生き残ったって表現は大袈裟じゃなかったりして)

(何も感じず生きてきたわけじゃ決してなかったんだな~)


(晩ご飯どっか行こう)


(続きはまた今度かな~)



『また今度』と出てきたとおり,このお話はここで終わりです.

是非またいつでも読みにきてください.


当初,幼年時代「でも」思いだそう、にしていたタイトルですが,歩んできた道とちゃんと向き合う姿勢を強めるために助詞を「を」に変更しました.


多方面で極端な私の生活をいつもしっかりと支えてくれた家族,並びに読んでくれた方へ今一度感謝をお伝えします.

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