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「笑顔が嘘くさい」と言ってきた転校生が恋人の親友になった  作者: 小槻みしろ/白崎ぼたん


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八話 抱擁


 遠野が机に突っ込んだ、派手な音がする。それに目もくれず、幸人は、和希を見ていた。


「え……」

「和希。怖かったな」


 優しい目で、見つめられた。そして、ぎゅっと抱きしめられる。思わず、見開いた目から涙がこぼれた。肩口に顔を埋めると、頭を撫でられた。


「帰ろう。和希の部屋に行こう」

「幸人」

「ごめんな。一人にして」


 目元を優しく拭われる。目を閉じるとこぼれる涙を、何度も幸人の指が、拭ってくれた。幸人は、カバンを二人分背負うと、和希の肩を抱いて、歩き出した。

 瀧見が、「ユキト」と声をかけた。幸人は、身を固くした和希の肩を抱く力を強めた。


「ちょっと待てよ、和希さんは」

「和希はそんな奴じゃない」

「話きけよ!いま、さっき――」

「好きな奴の嫌がってる顔くらい、わかる。馬鹿にすんな」


 幸人の言葉に、和希は目を見開く。幸人は、一切、瀧見に目もくれず、生徒会室を出た。曲がり角を曲がって、棟を出て。和希の部屋に入った瞬間。

 和希は、幸人にかたく抱きしめられた。


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