表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「笑顔が嘘くさい」と言ってきた転校生が恋人の親友になった  作者: 小槻みしろ/白崎ぼたん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/22

三話 「嘘くさい笑顔」


 六月、恋人の幸人が、突然の部屋替えをした。名家出身で、生徒会役員である幸人は、個室をあてがわれている。それなのに、突然二人部屋に引っ越したのだ。「どういうことだろう」と、和希が首をかしげていたら、なんと季節外れの転校生、瀧見と同室となっていた。

 幸人が、自ら同室になりたいと申し出たのではないか、というのがもっぱらの噂だった。

 和希はその話を、なんとも言えない気持ちで聞いたものだ。瀧見のことは、和希も知っていた。

 瀧見に学園の案内をしたのが、和希本人だったからだ。

 開口一番「嘘くさい笑顔」と言われ、和希は固まった。そこに、幸人の話が加わったのだ。和希は、瀧見に苦手意識を抱いた。


「ごめんな。ひなつが学園になじめるまで面倒見てやりたいんだ。これからしばらく、ひなたを優先すると思う」


 正直、ものすごく嫌だった。けれど大好きな恋人に、心底申し訳なさそうに言われては、どうしようもなかった。転校生に不便な思いをさせるなんて、生徒会の名折れとも思えたし、何より幸人に心の狭い人間と思われたくなかった。

 それから、幸人はずっと瀧見といるようになった。休憩時間も、食事も、放課後も、ずっと瀧見と行動した。

 もちろん時間を作って、会いに来てくれた。けれどいつも瀧見が傍にいるか、やってきた。


「ユーキトッ!」


 幸人と話していると、瀧見が走ってきて、幸人の背に飛びつく。

 幸人は驚いて「危ないだろ」と叱る。「へへっ」と笑う瀧見に、背を払いながら「ひなつは仕方ないな」と幸人は言う。

 そのやりとりは学園の恒例になって、周囲も楽しみにするくらいだった。

 和希が瀧見に焦げ付くような嫉妬を抱くようになるのに、時間はかからなかった。

 瀧見が学園になじめるよう、和希自身も努力し、何くれとなく力になった。しかしそこには、「少しでも幸人と一緒にいたい」という気持ちがあって、やましかった。

 瀧見に阻まれず、幸人とふたりで一緒にいられるのは、生徒会の間だけだ。

 けれども、「瀧見は生徒会の補佐になるんじゃないか」と、皆の間でもちきりだった。

 瀧見は明るくて元気で、人に好かれる愛嬌もある。幸人の推薦があれば、きっと通るだろう。

 そうなったら、もうずっと和希は、幸人と二人でいられることはない。暗澹たる気持ちだった。


 瀧見は悪い人間ではないのはわかる。自分に対しても、


「こないだはすみませんした!ユキトから、そういうやつじゃないって聞いて。だから、ちゃんと和希さんのこと知って、仲良くできたらなーって!」


 と、謝って、仲良くしたいと言ってくれた。けれども、自分はそれに対し、応えられる気がしなかった。

 嫉妬まみれで、辛かった。瀧見は幸人の大切な友達なのに。こんな気持ちを、幸人に知られたら。

 そう思うと、何も言えなくて。このひと月、和希は、いつも通り振る舞うことばかり必死になっていた。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ