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「笑顔が嘘くさい」と言ってきた転校生が恋人の親友になった  作者: 小槻みしろ/白崎ぼたん


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十九話 死ぬほど好きだよ

 拾い上げたマスターキーを、幸人は無感動に見おろした。

 こんなものまで渡していたなんて、どこまで伯父馬鹿が過ぎるのだろう。幸人はそれを使って、オートロックの玄関の鍵を開ける。合鍵は持っているけど、今はあいにく部屋の中だ。


「和希」


 和希は、ベッドの上でうずくまっていた。ひどくふるえる体を、抱きしめると、和希は「ゆきと」とすがった。幸人は背を優しくあやしてやる。怖くないと、伝えるように。


「もう大丈夫」

「ごめんなさい。僕――」

「何言ってるんだ。俺こそ、ごめんな」


 和希は首を振った。「ゆきとばっかり」と、悲しい声で言う。幸人は落ち着けるように、額に優しくキスをする。ひどく冷たい体に熱を与えるように密着させた。


「愛してる」

「幸人、」

「どうしたら伝わるかな。お前が好きだって」


 震える手が背に回された。その手の必死さに、幸人の胸が高鳴る。和希は、「僕」と、涙で苦しい息をついで、言葉をつむいだ。


「幸人といると、幸せなんだ」

「和希」

「何も怖くなくて、自分のことも好きになれる。でも」


 和希はぎゅっと幸人にしがみついた。小さく、息をついてから、絞り出すように言った。


「幸人と離れることだけ、ずっと怖い」


 幸人は目を見開く。和希は、幸人の胸に顔をうずめている。だから、その顔は見られない。けれど、その切実さは、声で伝わる。


「死んでしまいたいって、思ってた。幸人のそばで、幸人が思ってくれてるうちに」

「和希」

「ごめんなさい……」


 幸人は、和希をこれ以上なく、強く抱きしめた。ぎゅっと背がそって、心臓の音が重なる。苦しさに和希は息を漏らしたが、幸福そうだった。幸人は、和希を見つめる。和希は、涙にゆれる目で、じっと見返した。


「愛してる。ずっと、お前だけ」

「幸人」

「死ぬほど好きだよ。和希」


 幸人は、ベッドに和希を押し倒した。涙にぬれた唇を奪う。


「ん……っ」


 和希の腕が、幸人の首に回る。幸人は、和希の服の中に、手を滑り込ませた。

 それが、合図だった。


 

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