魔力光の発生源
明日はちょっと伏線まとめたいのでお休みします。
申し訳ない。
遠くから見えたその光に、ある記憶が脳裏をよぎる。
それは初めて、ナーディアートとこの訓練場で戦った時。
何かを呟き、彼の周囲に見え、いつの間にか見えなくなっていた、魔力の灯り。
俺は常に出していて、誰にも見えなくなっているらしいソレ……。
そんなものをふと思い出すということは、あの光はそれに関係するということで……。
つまり、アレは魔法の――
「――っ! ジル! 戦いは止めだ! あそこに向かうぞっ!」
言うや否や、剣を鞘に収め、相手の返事も待たずに戦いを止めて走り出す。
背中を向けるとか隙だらけだとか関係ない。
どうせジルのことだ。
例えこの考えに反対であろうとも、背中を攻撃してくるなんて卑怯な真似をしてくるはずがない。
それに今、俺の思考はあることで占められている。
だったら不意を衝かれようと、身体が反応して防御してくれる。
上の階の二人に声をかけなかったが、俺の声に反応して降りてきてくれるはずだ。
例の姿を隠すのが巧いストーカー女子自身も、二人が攻撃してこないなら追撃だってしてこないはず。
とりあえず今は、ここを離れることが先決だ。
だってアレは間違いなく、魔法による光と風なのだから。
訓練場以外では魔法は使えない。
だがあの場所には魔法の光が発生している。
それはつまり、あそこは魔傷石の範囲が届かない範囲だということ。
そんな場所、この校内にあるのか?
そう、本来ならあるはずがない。
でも今は、一部だけがある……かもしれないと言われていた。
それが実際に、あったのだ。
おそらくは、リフィアが倒したとされる、この学校へと侵入してきた魔物。
ソイツが壊した、魔傷石の範囲。
今はそこまでも、魔法が使える。
「ちっ……!」
移動中、方向は合っているのにどちらに向かうべきか迷ってしまう。
「こっちだ」
「ジルっ!」
「状況はよくわからないが、修練場に向かえば良いんだろ?」
その言葉を受け、彼を先頭にして校舎の中を走っていく。
と、後ろから二人分の足音。
どうやらマリンとカシェルも少し離れて付いてきているようだ。
おそらくは例のストーカー女子も付いてきているだろう。
「で、リフィアは説明してくれるのかい?」
「……昼間に、修練場の森の中にある魔傷石が壊されてるか確認する必要があるって言っただろ? おそらく、アレは本当に破壊されてたんだと思う」
「ということは、あれは魔法……?」
「多分ね。で、ここからが、こちらが思い至ったこと」
「思い至ったこと?」
走りながらなので、簡潔にして話をしようと頭の中で重要な言葉をまとめる。
「ジルにメモを渡した人が、おそらくコレをやっている」
「なっ……!」
「つまり、誘い出されたんだよ、こちらは」
おそらくは、この魔法を使うために、邪魔者を一箇所に集めた。
それはつまり、この魔法を使った奴は、森の中の魔傷石が壊されているのを、知っていたことになる。
ということは、リフィアに倒された魔物と、連絡を取っていたということでもある。
それが誰なのか……言うまでもない。
……となると、メモを渡したのも……。
……いや、ジルは人気者だ。あり得る話ではある。
……ああ。
全て想像だ。
いつもの物語を踏まえた上での代物だ。
そんな、今回のこと全てが、ララの仕組んだことだなんて。




