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RUIN【破滅】  作者: シギ
二章 魔界の統治者トルデエルト
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60話 五将軍初会議

 呼び出される前に、マトリックスはDB解散と軍への移行を了承する旨をしたためた書面を帝国へ送った。

 セリクたちの任務内容を聞いてからの方が良いと思っていたのだが、向こうの条件を素直に受け入れるていでいた方が、逆に妙な策を講じられることはないと考えてのことだ。それ故、こっちから先手を打って手紙を出したのである。

 ゲナの返事はその翌日には届き、直筆で感謝の旨と、任務内容については説明した後に、改めてセリクとフェーナが受諾するかどうか判断して欲しいとの内容が書かれていた。

 あまりに無理強いされるようなら、最悪DBを解散させた上に軍への入隊もしない…そんな選択肢も考えていたマトリックスは拍子抜けした気分になる。

 どうにもゲナという男は、真摯に対応しようと考えてるのか、はたまたそれすらも策略の内なのか読めないところがあった。

 しかし、それが後者であったと気づいたのは、その書面とは別に、軍の入隊完了手続き書も送付されていたからである。そして、その手続きを行った日付が、ゲナが教会に来た前の日付になっていたのだ。つまり、あの時にはすでにDBが軍に入ることはゲナの中で確定していたに違いなかった。


 さて、DBが軍属になるとあって、帝国内では一悶着あった。

 軍を掌握しているつもりの貴族や神官たちから、「異端者を神の軍に入れるなんて!」などと抗議する声が上がったのである。

 しかし、ゲナは適当にあしらい、「問題提起ばかりではなく、解決案を示してはどうだ?」との問いかけで、皆一様に口を閉ざしてしまったのであった。

 

 手紙が来てから数日が経ち、ロダムとクロイラーが引っ越しの手伝いをするために教会へとやってきた。

 フェーナも体調を取り戻し、すでにマトリックスたちの準備も終えている。元々荷物と呼べる物は少ないし、教会自体が無くなるわけではないので、本当に必要な物だけを持った状態だった。

 クロイラーを見るや否や、サラは苦々しい顔をして腕を組む。だが、特に何も言うことはなかった。クロイラーもペコリと頭を下げただけで、緊張した面持ちのまま一言も話さなかった。遠目に見れば、どちらが上官か解らない。

 以前、見たことがある若者が皆を車へと案内する。


「おー。ロダムのオッサンが初めて来た時にいたヤツやな?」

 

 ギャンが馴れ馴れしく話しかけると、鳩が豆鉄砲を食らったような顔で、真面目そうな青年は何度も頷く。


「は、はい! あの、テリオ・フランバイルと申します! スカルネ家に仕えていまして、これからは皆さんのお世話をも仰せつかりました!」


 地面に頭をぶつけそうな勢いで頭を下げた。


「ウム。テリオも一応は情報兵の一人でな。何かと役立つと思うぞ。事務処理などはこやつに任せるといい」


「はい! 本部との連絡通信、装備品発注から会計報告書・顛末書作成まで何でもお任せ下さい!」


「ハハ。顛末書はできれば御免被りたいものですが…。

 軍のことは右も左も解らないので助かりますよ。よろしくお願いしますね」


「はい! こちらこそ!!」


 マトリックスが手を差し出すと、テリオは両手でガシッとそれを掴んでブンブンと勢いよく振る。


「…な、なんや。調子狂うやっちゃな」


 ギャンがジト眼でテリオを見て、セリクに耳打ちする。


「そう言わないでやって下さい。非常にDBの皆さんを尊敬しているようでして…」


 それをしっかりと聞いていたクロイラーが困ったように笑って言う。


「はい! 颯風団との戦いの話を聞きました! あのアサシン相手に、千切っては投げ、千切っては投げの大活躍! 感動でした! 小生も青年兵団で作戦に参加していたのですが…」


 こうしてテリオのDBに対する冗長な感想を、ギャンは車中でずっと聞かされる羽目になるのであった……。




 帝国城からさほど離れていない立地の良い場所に、スカルネ邸宅は存在する。

 周りは古参名家を中央にして、上級貴族たちの屋敷が建ち並ぶ。城とこれらの屋敷が位置する中心は、各地区からも隔絶された特別な場所である。そこは“中央区”とか“中枢区”とも呼ばれ、高い壁と堀で囲われており、そこに入るには番兵たちの見張る厳めしい門をくぐる必要があった。

 中央区は、高級住宅と呼ぶに相応しい贅を尽くした屋敷ばかりであったが、その中にあってスカルネ邸宅はかなり異様だった。

 灰色の煉瓦を幾つも積み重ねた建築物が何棟かそびえ立つ。それは完全武装の砦を思わせるかのような四面四角の要塞だったのだ。


 車のまま、表門から入って行く。敷地内に私有の車道を持つぐらいなのだから、その広さは説明するまでもない。

 庭には帝国旗、紋章旗、軍旗などを掲げたポールがズラッと立ち並ぶ。そしてドーベルマンのような猟犬が、果ても見えない広大な芝生の上を堂々と往来しているのだ。

 道からかなり離れた場所では、骸骨を模したスカルネ紋章が入った攻城櫓こうじょうやぐらが数基あり、その下で私兵が訓練をしていた。


「うわー、ここなんなの?」


「まるで今すぐにでも戦争をおっぱじめられそうだ」


 フェーナがあんぐりと口を開き、シャインが眼を細める。もちろん驚いているのは二人だけではない。他は驚きのあまり声もだせないでいるのだ。


「ワッハッハ! 驚いたか! これぞ代々将軍職を勤めるスカルネの家よ!

 かつては監獄として使っていた建物を先祖が買い取り、改装増築したのだ! 堅牢さと部屋数であれば帝都一であろう! 無論、お前たちが寝泊まりできる部屋は好きに選んでくれていいぞ!」


 頭を光らせ自慢気に笑うロダムだったが、対称的にクロイラーは恥ずかしそうにモジモジとしている。


「部屋って言ったって、まさか独房じゃないんですの?」


「…非常に言いにくいんですけど、まさにそうです」


 クロイラーの言葉に、サラは口の端を露骨にひくつかせた。


「あ、でも! 改装して…牢屋っぽさは薄れてて…過ごしやすくなっていて…住めば非常に都で……」


「過ごしやすくても、結局は独房なんですのよね?」


「……はい。非常に、独房です」


「ここが元帝国軍本部だったのだがな。ワシが引退してからは、帝国城内に本部を移し、ここは邸宅兼私兵団の溜まり場として遊ばせておったのだ」


「遊ばせている…っていう規模じゃないようですけれど」


 引き気味にマトリックスが言うと、ロダムはチッチッチと指を左右に動かす。


「これでも小規模でやっているつもりだ。ワシが現役のときは…と、その話はもういいか。

 いずれにせよ、ここの私兵をそのまま軍に入れる予定だ。軍経験は充分に積んどるから即戦力だぞ」


 セリクは外を見やり、スカルネ家の私兵が何人ぐらいいるのか数えようとしたが、五十を越えた時点でやめる。切りがなかったのだ。


「マトリックス将軍も主にここを基点に活動を行ってもらうことになるだろう。つまり、ワシの部隊とマトリックス将軍の部隊が、この建物の中で共同生活することとなる」


「寮みたいなもんだと思えばええわな」


「建物の数は多いので問題はなかろう。作戦会議室も二つ以上あるしな」


「今まで通りに、教会じゃダメだったんですか?」


 セリクが尋ねると、ロダムは髭をひねって大仰に頷く。


「何かあった場合、D地区にある教会からこっちに来るまで時間がかかりすぎる。

 なにより、ここに待機しておれば、軍本部のある城までは目と鼻の先だ。それに、一般住宅地の中で武装した兵士たちがごく当たり前にいるという環境も良いとは言えん」


「そうですね。それに、最高三大神教の祭服をまとった兵士が、教会の中を頻繁に行き来するのもあまり良いこととは言えないですし…」


 確かにそうだろうとセリクは思う。兵士の中には、きっと信仰に厚い三神教徒もいるだろうから尚更だ。


「私とすれば、礼拝だけは教会に戻っても良いと言うことだったので、それだけでも認めてくれたのはありがたいことですよ」


 軍に属する以上、もしかしたら神父としての教会活動も止めさせられるのではないかとマトリックスは覚悟していた。だが、ゲナはそれについては特に言うことはなく、任務に支障がない限りの活動は許可してくれたのだ。

 その背景には、昔とは違い、宗教が軍隊を動かしているわけではないから…といった理由もあるのだろう。でなければ、ロダムやイクセスなども最高三大神教を信じていなければならないことになる。実のところ、宗教国家と言っても、そこまでの影響は持っていないということなのだ。


 車は一番立派な中央の棟に向かう。一際大きなスカルネの紋章が掲げられていることから、ここを主屋として使っているのだと解る。

 玄関口に車が横付けすると、詰襟つめえりの軍服に身を包んだ私兵たちが敬礼した。

 基調こそ帝国兵が着ている祭服と同じだが、機能性で言えばこちらの方が明らかに動きやすいだろう。ロダムの合理主義の部分が、クロイラーやイクセスが着ているスーツなどにも現れているのかも知れないとセリクは思う。

 

 広いロビーを通り、客室へと連れていかれる。

 そこにはすでにゲナとイクセスがおり、ドーナツ型テーブルの前に座ってセリクたちを待ち構えていた。


「ようこそ。まずは祝辞を…。就任おめでとう。ファテニズム将軍」


 ゲナが立ち上がって仰々しく言うと、マトリックスは何とも言えない顔で頭を下げる。


「まさかそちらから連絡を頂けるとは思ってもみなかった。が、良い返事を貰えたことを嬉しく思う。さあ、掛けたまえ」


 勧められるままに席に案内され、素早くやってきたメイドたちが気を利かせて椅子を引いてくれる。慣れない待遇でギクシャクした感じとなった。


「これで立場は同じだな。え? ファテニズム将軍さんよ」


 イクセスがニヤッと笑うと、マトリックスは首を横に振る。


「いいえ。同じ将軍といえど、そちらが先輩になります。何卒、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。ブラッセル将軍」


 逆に皮肉を言われ、イクセスはやれやれという感じに肩をすくめて見せる。


「今日は、こうして帝国の将軍が一同に揃うこととなった記念すべき日だ」


 イクセスが足を組み直し、クロイラーが頭を下げ、ロダムが髭をつまみ、マトリックスは息を静かに吸い込む。


「この度、ロダム閣下が軍に復帰され、マトリックス・ファテニズム神父が将軍となった。神国ガーネット帝国にとって、これ以上に心強く頼もしい人選もないことだろう。ダフネス大総統がこの場にいないことは残念だが、心から喜んでいることを伝えるように頼まれているよ」


 セリクはふと、どうしてダフネスは来ないのだろうかと思った。もしかしたらユーウに会えるかも知れない…そんな風に考えていた節もあったので残念に思う。


「さて、それでは早速だが、五将軍となった初めての会議を…」


「ちょいと待ってや!」


 話の腰を折るように、ギャンが唐突に口を開く。視線が一斉に集まった。


「…ギャン。またこういう場で恥ずかしい発言は止めてくださらない?」


 サラが頭を抱えて言う。シャインも“迂闊な発言をしたら斬る!”といった表情である。


「ちゃうって! 重要なことや!」


「なんだね?」


 話を遮られたにもかかわらず、穏やかな表情でゲナは問う。


「五将軍なんやろ? 一人足りなくないか?」


「あ、そういえば…。イクセスさん、クロイラーさん、ロダムさんに、マトリックスさん……四人しかいないよね」


 セリクが指を折りながら数える。


「せや! 三将軍の最後の一人やな。そいつはどこに行ったんや? なんや特別な任務やっとるんか知らんけどな。こんな時ぐらい、顔出すんが筋っちゅうもんやろ?」

 

 ゲナは当然の質問だとばかりに大きく頷く。


「彼女は現在、この帝国…いや、中央大陸にはいないんだよ」


「中央大陸にいない? ガーネット領ではなく?」


「それはおかしくはなくて? 帝国に全ての軍力を集結していたのではないこと?」


 龍王の宣戦布告以来、全兵力がこの帝国に集まっているはずだった。だからこそ、クロイラーも帝都に帰って来たのである。


「龍王や魔王という危機を放っておいて、将軍ともあろう者が一人だけ国外に居るだなんてにわかには信じがたいことですわ」


 サラが責めるように言うのに、ゲナは苦笑いをして首を横に振る。


「ちゃんと説明しておくべきだね…。

 前にも言ったように、もう一人の将軍は別件で動いている。彼女には大総統直々に別命が与えられているんだよ」


「大総統自ら?」


 軍を統轄しているゲナを通り越しての命令と聞いて、それだけ重大な任務なのだということが解る。


「それは龍王アーダンを倒すことに関することだ。この場におらず、指揮などは執れない状況で無責任に思えるかも知れないが…それ以上に大きな責任を負ってるものと理解してもらいたい」


 ギャンもサラも納得してない様子だったが、マトリックスが手を上げたので開きかけた口を閉じた。


「ファテニズム将軍。どうぞ。聞きたいことも沢山あるだろう。なんでも聞いてくれたまえ」


「…ええ。ゲナ副総統。疑問はあるにはありますが、今は一つだけどうしても聞かねばならないことがあります」


「ああ、セリク・ジュランドの任務についてのことだろう? ちゃんと覚えているよ」


「ええ。あの時の続きをお聞かせ願えますか?」


「当然だ。いいだろう」


 ゲナがイクセスに目配せすると、頷いて、側にいたメイドに何やら耳打ちする。

 メイドが部屋を出て行ったかと思いきや、しばらくしてガチャリと音がして扉が開いた。


「まずは彼らを紹介しよう。でないと、その先の説明もできないからね」


「セリクとフェーナは会ったから知ってるな。第二十六青年部隊。時代の証人、召還師のみで構成された特殊部隊だ」


 そこにはヘジルを筆頭に、ミシール、ベン、スベアといったメンバーが揃っていた。


「あー!」


 フェーナが驚いた声をあげる。甲高い声に、ヘジルは不愉快そうに顔をしかめた。


「…その様子だと、完全に治ったようだな」


 ヘジルが言うのに、セリクはコクリと頷いた。


「治った? ふぇ? なんのこと?」


 フェーナは顔に疑問符を浮かべてセリクとヘジルを交互に見る。

 具合が悪くなった時、意識が朦朧としていたので、ヘジルがやって来たことをフェーナは覚えていないのだった。


「久しぶり…ってほど、久しぶりでもないっすね!」


「命を助けられたお礼、ちゃんと言えてませんでしたね。改めて、セリクさん。フェーナさん。ありがとうございました」


 ミシールとスベアは笑顔で話しかけてくれるのに、ベンだけは腕を組んでそっぽを向いていた。


「…ベン。副総統の前だぞ」


「そうすね。でも、もう辞めた俺には関係ない」


 ヘジルがたしなめるが、ベンは不遜な態度を変えない。スベアもミシールも困り顔で、ヘジルとベンを見やった。

 そのやり取りを見て、二人が揉めていたのをセリクは思い出す。ヘジルが仲間に冷たい態度をとったので、ベンがそれに対して怒ったのだ。その溝は深く、未だ埋まっていないのだった。


「ブラッセル将軍。俺は隊長に逆らったんですよ。処分される覚悟はできてます。こんな場にいちいち呼び出される必要なんてねぇすよ」


 ベンが抗議するのに、イクセスはうるさそうに片手を払った。


「テメェにそんなん言う権限もねぇだろが。ゲナ副総統がテメェを処分しないって決定を下したんだ」


 不服だという感じに、ベンは額に青筋を立てた。


「…なんで、あないに怒ってるんや?」


 ギャンが隣にいたテリオに聞くが、解るはずもなく恐縮したまま首を傾げた。


「チッ! 見せもんじゃねぇぞ。クソが!」

 

 ベンがギャンをギロッと睨み付ける。完璧に八つ当たりだったが、今のベンはどんな小さなキッカケでも爆発しそうだった。年齢も近そうなことから、ベンにとっては何となくギャンには因縁を付けやすかったのだろう。


「な、なんやぁ! ワイが何したっちゅうねん!」


「やめるっすよ! 喧嘩なんてみっともないっす!」


 ギャンが火を噴く。その様にベンがちょっと驚いたようだったが、すぐに怒りの形相に戻って互いに睨みを利かせた。


「やんのか!?」


「かまわへんで! 外でろや!」


「…いい加減にしろ。でないと、私が貴様らの頭を真っ二つにするぞ」


 シャインが、ユラリと殺気を放つ。

 剣呑だった二人がそれを見てビクッと震えた。初対面でも、シャインの恐ろしさはベンには伝わったようである。


「…と、まあこんな感じでね。二十六青年部隊はすでに崩壊の危機にあるんだ」


 ゲナがまるで他人事のように言う。


「帝国としても、交渉の末に大教会レ・アームより預かることのできた召還師たちは、異端者に引けをとらない貴重な逸材だ。対龍王、対魔王を考えていかねばならぬこの非常時だ。つまらぬことで、戦力を失したくはない」


 “つまらない“という言葉に反応し、ベンが気にいらなそうにする。

 ギャンやサラも、まるで物を扱うかのようなゲナの物言いに反感を覚えた。


「だが、この状態では隊としてはもはや機能しない。そこで、二十六青年部隊を…ファテニズム将軍。君に預けたいと思うんだが、どうかね?」


 ゲナが眼を細めて言う。マトリックスは怪訝な顔をし、何も聞かされていなかった召還隊の面々は唖然とした。


「…ゲナ副総統。ブラッセル将軍。僕はこの話を聞いていませんが」


 ヘジルが眼鏡のツルをさすりながら言う。


「まさか、だ。テメェのことだ。神告の内容を聞かされてから勘づいてたろ?」


 イクセスがそう言うと、図星だったのかヘジルは小さく息を吐き出す。


「なぜ、私のところに彼らを?」


 まとまっていない隊を与えるという、厄介者払いとも思えるやり方にマトリックスは疑問を感じた。


「簡単な話だよ。異端者と召還師…二つの力が合わされば、更に強大な力となると見越してのことだ」


 ゲナは左右に開いた手を、胸の前で三角の形に合わせて見せる。


「直接攻撃に置いて異端者に勝るものはない。そして、それを支える補助に置いて召還師に勝るものもない。お互いに利点が合うはずだ」


 合わせた指を、一本ずつ外してクルクルと糸巻きのように回す。異端者と召還師が合わさる様を演じているのだ。


「そして、それを指揮できるのは…異端者の中でも強大な力を持つマトリックス・ファテニズムを置いて他にいないと私は考えている」


「しかし、こういった隊員を与えられても…」


「そうかね? 若者の悩み、解いてやるのも神父としての仕事ではないかな」


 ゲナは挑戦的に笑う。それを見て、マトリックスは自分が試されているのだと納得した。いくら向こうから提案されて将軍に任じられたといっても、まだ本当に実績を見せたわけではない。ただの力だけではなく、将軍としての裁量をゲナは知りたいのである。

 マトリックスは召還隊の面々をジッと見て、思案するように顎を撫でる。


「わ、ワイは反対やで! こんなヤツと仲良うできるか!」


「ヘッ。こっちだって仲間になるって承諾した覚えはねぇ!」


「ベン。いい加減にしましょうよ」


 スベアがそっとベンの腕に触れる。それだけで少しは落ち着いたのか、ベンは大きく息を吐き出した。


「……解りました。ゲナ副総統。この話、引き受けましょう」


「な!?」


「え!?」


 マトリックスがそう言うのに、ギャンもベンも眼を丸くする。


「リーダー! なんでや! なんで引き受けるんや!!」


「そ、そうだぜ。頭おかしいのか、アンタ。俺の態度みてて、どうしてそんなことが言えるんだ?

 それに俺は召還師だぜ? 異端者が、その力を理解できるわけがねぇ!」


 マトリックスはベンの顔を見やり、ニコリと優しく笑う。


「召還師…というのが、どういった力を持たれているのか詳しくは存じません。大教会でも秘匿中の秘匿とされた存在でしたからね」


「ああ、そうだろうな。レ・アームでも俺らは保護という名の監禁状態だったぜ」


「ええ。未だに治癒師も保護という名で大勢が同じ目に遭っているのでしょう…」


 マトリックスは、フェーナをチラッと見てから悔やむように言う。


「しかし、強大な力を秘めているのは異端者と同じと思います。だとしたら、貴方のように感情のままに振る舞うのはとても危険なことです。それはやがて自身をも滅ぼす力となります」


 その言葉に何か感じるものがあったのか、ベンは息を呑む。ミシールもスベアも戸惑った顔をしていた。

 今でこそ彼らも召還の力をそれなりに操れるが、今まで力を持て余していた部分もあったのだ。呼び出した聖獣が暴走し、意図しない被害をもたらせたこともあった。それ故、軍では遠巻きにされていたのである。まるでそれを読み透かされたように感じたのだ。


「皮肉なものですね。最も聖イバンに近いと思っていた時代の証人が、異端者と同じような苦しみを抱えているとは。イバンに選ばれ、神々に祝福を受けた人々…その言葉だけを信じていた自分が恥ずかしいです」


 セリクは、フォンの言っていた“悲劇の兆”という言葉を思い出す。


「私もかつては強力すぎる力に振り回され、運命を呪い、死さえ考えたことがあります。

 そんな失意の中で、ある人に助けられ、やがて感情や力をコントロールする術を見出しました」


 DBの面々も、あまり聞いたことのないマトリックス本人のことを真剣な面持ちで聞く。


「あなた方を理解できるとまでは言えません。が、共に歩めるかどうか試す機会を私にくれませんか?」


「試す機会?」


「もしそれでダメでしたら、私が君の除隊に責任を負いましょう」


「え?」


 へりくだったその言い方に、ベンはショックを受けたようだった。

 自分より上の立場にいる者たちは、誰もが皆上から目線で喋りかけてきたものだ。だからこそ、歳上でかつ将軍ともなる人物が、まさか対等に語りかけてくるとは思ってもなかったのである。


「俺は……」


 ベンがうつむくと、ミシールとスベアがその背にそっと触れた。


「……解った。どうせ軍隊にいるしか俺たちには道はないしな。命令通り、アンタの下に入るぜ」


 渋々という感じではあったが、ベンはコクリと小さく頷く。

 そして、ギャンの方に向き直って頭を下げた。


「…悪かったな」


「へ? あー、なんちゅうか。なぁ?」


 素直に謝られ、憤っていたギャンも毒気を抜かれたような感じだ。テリオに振るが、困った顔でオロオロとする。


「私も異存ありません」


「アタシもっす。異端者の上司とか退屈しなさそうっすしね!」


 召還師たちも、異端者がどういった存在かをいまいち理解していなく、またマトリックスが話す苦悩の一端すら解らない。だが、なんとなく境遇が似ていることに共感を覚えたのである。


「ハッハッハ。さすがだ。ファテニズム将軍を選んだ私の眼に狂いはなかったようだね」


 成り行きを見守っていたゲナが満足そうに手を叩く。


「では、ベン・キッカ、ミシール・アンバ、スベア・ロハルテ。今日からこの三名をマトリックス・ファテニズム将軍の指揮下部隊に異動とする」


 イクセスは「りょーかい」と言いつつ、テリオの席に向かって書類を放る。三人の軍歴書には、異動許可印がすでに押されているのであった。


「えっと、ヘジル隊長はどうなるんすか!?」


 ミシールが慌てて尋ねるのに、イクセスは肩をすくめる。


「ああ、そこは考えているさ。まさか同じってなわけにいかねぇだろ。ベン。やりずらいよなぁ?」


 意地悪にそう言われ、ベンは苦々しい顔をする。確かにその通りであったが、てっきりヘジルも一緒だとばかり思っていたのだ。離れられてホッとしたような、自分のせいで隊がバラバラになってしまったような複雑な気分なのだ。素直に喜べるわけもない。

 ヘジルはそのことを既に予期していたのか、涼しい顔でゲナの方を見やっていた。 


「さて、前置きが長くなってしまったが、ここでセリクとフェーナの二人のこれからについての話に戻るんだが…。

 と、その前に確認しておこう。今回の神告の内容については皆理解しているかね?」


 皆頷くが、ギャンとフェーナだけはキョトンとした顔をしていた。それを見て、ゲナは小さく頷く。


「裁定神パドラ・ロウスより、三点の重要な告知が与えられた。

 まず一つ目は“器なる者、神々の召還師を探しだせ”。

 そして二つ目、“地上に存在する祭壇・契約書を手にし、七柱の神々の力を借りて神界凍結を解除せよ”」


 一本ずつ指を立ててゲナは簡略に説明する。


「最後に…“破滅なる紅”だ」


 破滅なる紅と聞いて、セリクの胸がドキンと緊張に高鳴る。


「最後の一つがどういったものか、魔王トトの妨害で解らなかったが…。

 とりあえず、地上に残された七柱の神々と関係を結ぶには契約書というものが必要らしい。

 祭壇とは…恐らく、神々が祭られているやしろだろうが、正確な場所は神官たちも知らないのだがね。

 だが、器なる者…神々の召還者については心当たりがある」


 ゲナとイクセスが同時にヘジルの顔を見る。


「お前は時代の証人、召還師の中でも強力で安定した力の持ち主だ。二体もの聖獣を操れるからこそ、召還隊の隊長に抜擢した。そこから察するに、素質はあんだろ」


「私もイクセスと同意見だ。つまり、ヘジル・トレディ。確証こそないが、君こそ神々の召還者になるべき逸材ではないだろうか」


 それを聞いていたミシールが興奮した様子で、両拳を握ってブンブンと振る。


「やっぱり! ヘジル隊長はスゴイっす! ただ者じゃないとは思ってたすけど、まさか神々まで召還できるんすか!?」


「フン。可能性が高い…というだけだろう。城の文献や、審判の書、道領国の古書も調べたが、神々の召還者という言葉はどこにもない」


 そんなことを言うが、顔つきは自分で間違いないだろうという自信に満ちていた。

 仙人堂にヘジルがいたのも、そういった資料を探していたためなのだとセリクは納得する。


「それでトレディさんを?」


 クロイラーが尋ねると、ゲナとイクセスは顔を見合わせてから頷く。


「セリク・ジュランド。フェーナ・ランドル。ヘジル・トレディ。この三人を一つのチームとし、神々を凍結から解放する任務に当たって貰いたい」


 セリクとフェーナは驚くが、ヘジルには前もって幾らか話があったのだろう。了解済というような顔をしていた。


「ちょ、ちょっと待てや! そんなの納得できへんで! なんで二人が、そんな得体の知れへんヤツと一緒なんや!?」


 ギャンが机を叩いて抗議する。


「報告書を読んだのだが、魔王軍を討伐するのにこの三人が素晴らしい活躍をしたからだ。相性が良いのだろう。将らしき者も敗走にまで追い込んだと聞く」


「この任務は失敗が許されねぇ。少数精鋭となった場合、チームのバランスが何よりも問われる。

 戦技以上の力を使う前衛のセリク、聖獣を二体も扱える後衛のヘジル、そして治癒師たる回復のフェーナ。俺が見る限りかなりベストな組み合わせだ」


 ゲナとイクセスにそう言われ、反論できずにギャンは歯ぎしりする。


「本来ならば、この任にはイクセスとクロイラーを付けるべきなのだろう。だが、いつ敵が攻めてくるとも限らん。最大火力は帝国に残したまま、秘密裏に神々を解放したい…それが、我々の考えた方針なのだよ」


 しばらく考えた後、マトリックスは大きく頷く。


「我々に龍王と魔王の気を引け…というわけですね」


「さすがだね。ファテニズム将軍」


「セリクくんとフェーナさんを軍の指揮下に置かず…というのは、目立たせないためですか」


「その通り。魔王の動向は知れぬが、少なくとも龍王側…ルゲイト・ガルバンは、イクセスやファテニズム将軍の戦力を警戒している。

 帝都に最大火力が配置している限り、龍王側も気軽に攻めてはこれない。

 そして敵の眼を帝国だけに向けさせることができれば、その間はセリクくんたちは自由に身動きがとれるわけだ」


「より作戦を完璧にするためにだが、非公式に“神告は失敗した”という偽情報をわざと巷に流布しておる」


「? そんなことをすれば、余計に民が不安がるのでは?」 


「ああ、だが王女の演説がかなり効を制したようでね。自分たちで何とかしようという動きが民間で広まりつつある。

 この程度の噂ならば、混乱までには至らず、真偽についてを帝国が沈黙することで、勝手な憶測で噂の真実味が増すだろう」


 なぜかゲナは王女のことを語る時に不服そうな顔となる。


「面倒な話ですわね。そんなことをするのは理由はなんですの?」


「神々の助けを失ったワシらが、防備に力を入れている…噂を仕入れた敵はそう考えるだろう。

 自分たちが優位に立ったことで、龍王側はより確実に勝利せんと準備をするのが予想できる」


「それだけでもかなりの時間が稼げる。魔王側も、この前の戦術規模はしばらくは展開できないと考えていいだろう。となれば、この機こそが最大のチャンスだろう」


 ゲナは立ち上がり、セリクの座ってる席に向かって行く。


「神々の解放。それこそが、龍王・魔王を殲滅するもっとも早い近道だろう」


 セリクも席から立つ。


「強制するつもりもない。だが、これ以外に最善の道はないと私は考えている。

 副総統ゲナ・ロゲアから頼もう。セリク・ジュランド、フェーナ・ランドル、ヘジル・トレディ。この任務、どうか引き受けては貰えないだろうか?」


 ゲナは深く頭を下げる。目上の人間にそうされて、セリクはとても居心地の悪い気がした。


「僕は構いません。仮に一人でも、神々の解放に尽力するつもりです。軍人ですから、そもそも断るという選択肢はありません」


「はーい。セリクと一緒なら、私も構いません。ヘジルも知らない人じゃないし。DBの皆と離ればなれになるのは辛いけれど…」


 フェーナはあまり状況をよく理解していないのか、軽い感じにそう答える。DBの入隊も感情的な面が強いので、本人からすればその程度の動機でも良いのかも知れない。

 あとはセリクだけと言わんばかりに、皆の視線が集まる。


「それが一番の解決だと言うなら、俺もその任務に行きます」


 ギャンが明らかに落胆した顔をする。マトリックスは静かに頷いた。


「ただ…」


 セリクの視線がフェーナに向くのを見て、ゲナは目を細める。


「フェーナを連れて行くのはできません」


「…ふぇ? ど、どーして!? なんでよ!?」


 一瞬、呆気にとられたフェーナだったが、椅子を蹴り倒してセリクに詰め寄る。


「治癒師の力は命を削るらしい。それでこの前、フェーナは倒れたんだし。それを聞いたら、一緒に行くわけには…」


 具合が悪くなった時のフェーナの顔を思い出し、セリクは唇を噛む。


「だ、大丈夫よ! 倒れたのは…その、私の体調管理が悪かったせいだし! 今度は気を付けるから!」


「ダメだよ。フェーナが側にいたら、俺はフェーナに頼っちゃう。そうなったら…」


「頼ればいいんだよ! セリクはもっともっと私を頼っていいんだよ!!」


 ゲナは二人の様子を見て、顎を引いて少し考える。


「今作戦には危険はつきものだ。何よりもセリクの顔は、龍王にも魔王にも知られてしまっている。

 となれば、治癒師の存在は必須となるだろう。だが、現帝都ではフェーナ以外の治癒師は存在しない」


「それとだ、セリクの紅い力は魔王トトに封じられてんだろ? それを一時的とはいえ解除できんのはフェーナだけだ」


 イクセスがそう言うと、フェーナはコクコクと強く頷く。


「そうだよ! 治癒の力なしに、セリクはどうやって戦うっていうの!?」


「…それは、俺がもっと強くなって」


 『衝遠斬』までは扱えなかったが、シャインの祖父と剣を交えた時にセリクは剣に拒滅ルンを纏わせるまでに至っている。それはレイドの言うように、徐々にではあるが魔王の封印を破り、力を使いこなせつつある証拠なのだろうと考えていた。


「強くなる前に死んじゃったらどうするの!?」


 皆の前だというのに、フェーナは臆すことなく大声を張り上げた。


「フン。ここでそんなことをやり合っても埒があかないな…」


 ヘジルが眼鏡のフチを擦りながら、セリクの方に向く。


「セリク。フォン老師の言ったことを気にしているなら、何の根拠もない話だ。

 治癒師が短命なのと、その力の使用度に、因果関係は今のところ見出だされてない」


「それでも…」


「それに神々であれば、時代の証人のことを何か知っているだろう。

 創母神マリン・ホロスは命を司る神だ。生命力を元に戻す手段があるやも知れない。

 フェーナの命のことを考えるならば、神々の解放こそが最善だろう」


 冷静にそう言うヘジルに、セリクは何も言い返せない。


「龍王エーディンや魔王トトは人間を滅ぼそうとしているんでしょ? だったら、何もしなくても私の命はなくなちゃう。どうせだったら何かをして命を使った方がいいもん!」


「…フェーナ」


「神様がこの世界に戻ってきて、ババーンと解決できるなら、さっさとそれをやっちゃお! そうすれば、私だって治癒の力を使わなくてすむんだし!」


 フェーナにたたみかけられても、セリクは頑なに首を縦には振らない。


「セリクには私が絶対必要なの! もし必要じゃないって言うなら…」


 そう言って、腰の短剣を抜く。皆が驚く中、フェーナは自身の首元にそれを当てた。


「フェーナさん!」「待てッ!」「ちょい待ちや!」「なにやってるんですの!?」


 仲間が口々に止めるが、フェーナはセリクだけを見据えていた。その眼は冗談を言うような感じではない。

 口を半開きにしていたセリクは、コクリと喉を動かす。悪寒が背筋を走る。


「本気だからね。連れってくれないなら、私なんて意味ないもん」


「……なんでだよ。なんで、そこまで」


 セリクは乾く口の中で、小さくそう呟いた。それはあまりにも小さすぎて、フェーナには聞こえなかったのだが…。


「ハッハッハッ!」


 緊迫した雰囲気の中で、ゲナが大きく笑い出す声が響いた。白髪混じりの髪をかきあげる。


「実に良い仲間をもったものだね。そうやってお互いを思いやれる…チームとはそうでなくてはいけない。フェーナ・ランドル。私が君の同行を認めよう」


「でも!」


 セリクが立ち上がって言うのに、ゲナは首を横に振る。


「女の子にそこまで言わせたのだ。これ以上の恥をかかせるべきではないよ」


 フェーナの短剣が、喉から下ろされる。当てていた部分から赤い血が滲み出ていた。


「酷なことを頼んでいる上に、多大なリスクを孕んでいることも十二分に承知している」


 ゲナは懐から白いハンケチを取りだし、フェーナに渡す。フェーナは少しためらいつつも、それで喉の血を拭いた。


「さきほど強制するつもりはない…と言ったが、それは建前でだよ。それ以外の手が考えれぬ程に現状は切迫している。人も力も手段も心許ないというのが本音だ」


 イクセスとロダムが重々しく頷く。


「私はフェーナ自身が行くと選択してくれた以上、この作戦を提示した責任者としてそれを尊重したいと考えている」


 この言葉に偽りはないのだろうとセリクは思う。感情的には納得できなかったが、頭の隅で治癒師がこの任務に必要不可欠なのも理解していた。そして、やがては諦めたように頷く。

 フェーナはニコッと笑ったかと思うと、短剣をしまって、椅子を元に戻して着席した。今さっき死を覚悟した者とは思えぬほど、それは早い切り替えだった。


「……さて、ファテニズム将軍。こういう結論に至ったがどうかね?」


「お二人が納得されているならば、私から言うことはありません」


 マトリックスは、セリクとフェーナに笑いかける。二人も少し申し訳なさそうに頭を下げた。


「そうか。他に誰か、何か質問はあるかい?」


 ゲナが周りを見回して問う。だが、誰も手を上げることがないのを見ると満足そうに頷いた。


「これから我々が立ち向かうのは、人間が未だかつて経験したことがないほどの過酷な戦いとなるだろう…」


 一人ずつ見据え、ゲナはさらに続ける。


「それでも私たちは勝利せねばならない! 龍王、魔王を退け、神々に与えられたこの地上フォリッツアを絶対に死守する!」


 このゲナの宣言で、スカルネ邸宅で行われた最初の五将軍会議は終了したのだった……。

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