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Fランクダンジョンの平和な日常〜ダンジョンコアになって十数年いろんなことがありました〜  作者: 弌黑流人
【第一部】 第四章 マグマ下の秘密と火竜の育成計画

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第43話 清掃ゴブリン「マスターポリッシュ」の凱旋

 わがダンジョンの宿泊施設が本格稼働する中、その「質」を決定づける重要な一日がやってきた。


 「【感知】――派遣中の清掃ゴブリン『マスターポリッシュ』、一時帰還。」


 かつて、わがダンジョンを訪れた王都の高級貴族の執事が、その並外れた清掃技術に惚れ込み、「ぜひ我が屋敷の教育係に」とスカウトに来たあの日。俺は彼と正式な派遣契約を交わし、王都へと送り出した。


 迷宮の入り口に現れたマスターポリッシュは、以前にも増して洗練された立ち振る舞いを見せていた。ゴブリン特有の猫背は微塵もなく、執事仕込みの優雅な一礼を俺のコアに捧げた。


 (フム。王都の執事が惚れ込んだ腕前が、本場での経験を経て『本物』になったようだな)


 「旦那様(コア様)。お久しぶりでございます。王都の屋敷では、清掃だけでなく『空間の支配』を学んで参りました。」


 マスターポリッシュは、建設中の宿泊エリアに足を踏み入れるなり、その鋭い眼光で部屋の隅々までを見通した。


 彼は、修行先で貴族の執事から直伝された「最高峰の極意」を、ダンジョンの新人スタッフたちに伝授し始めた。


 「残響の清掃」: 掃除が終わった後に、清涼な空気がかすかに残るような、魔法的な仕上げ。

 「先読みの配置」: 宿泊客が次に何を欲するかを予見し、手を伸ばした場所に完璧なタイミングで備品が置かれている状態。

 「一点の曇りなきプライド」: 貴族の執事と共に、最高級の銀食器や調度品を磨き続けたことで培われた、プロとしての矜持。


 「……信じられない。マスターポリッシュが通った後の通路、空気まで透き通って見えるわ」


 立ち会ったリナが、驚きで息を呑む。


 マスターポリッシュの指導により、宿泊施設は単なる「宿泊所」から、「王都の貴族が求めるレベルの高級邸宅」へと進化した。宿泊客たちは、彼が整えた完璧な清潔空間と、絶妙な所作に触れ、深い安らぎを感じる。


 「おい、このゴブリンさんの所作……王都の超一流ホテルのスタッフより隙がないぞ」

 「この部屋にいるだけで、自分が貴族になったような気分だわ……」


(フム。やはり、あの執事の勧誘を受けて派遣に出したのは大正解だった。マスターポリッシュが持ち帰ったのは、わがダンジョンを唯一無二の存在にする『本物の品格』だ)


 マスターポリッシュは、宿泊エリアの運営体制を完璧に整えると、再び「屋敷の旦那様(貴族)が私の帰りを待ち侘びておりますので」と、契約期間を全うするために王都へと戻っていった。


 一方で、彼が完璧に整えたフロントでは、転売屋ザックが「王都の執事直伝・マスターポリッシュ監修の高級磨き布」を、観光客にこれでもかと売りつけていた。


 (やれやれ。マスターポリッシュがどれほど高潔な品格を持ち帰っても、ザックの商魂という『汚れ』だけは、王都の執事でも落とせそうにないな)


 俺は、去っていくマスターポリッシュの背中を見送りながら、五つ星を超えたわがダンジョンの安寧に、確かな手応えを感じていた。


 ご拝読ありがとうございます。よ!マスターポリッシュ!いい仕事してますね!データは取れたので、おもてなしゴブリンやスケルトンを生成するのもありだな。特に王室用はあのままだから、これを期に質を上げるとしましょう。そして、癒し空間はさらなるヒーリングの極致へ!それでは次回も乞うご期待!!

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