電気工事士の資格、そして・・・。①
この章は事実を元にしていますが、フィクションも一部あります。
が、今回のお話しに限ってはフィクションはありません。
ホントにありません(汗
※長いので分けました。続きは数日中にアップします。
当時、私は作業着の上に長いゴムエプロンをつけるという独特な風貌で仕事をしていた。
これは主たる業務が清掃だったからで服が汚れないようにするためである。
駐車場の仲間からは、漁師みたい、と茶化されつつ、非常に機能的なこの格好を気に入っていた。
首にはタオル(300円)、手には皮手袋(1200円)、腰には道具入れ(1600円)と大いに気合いが入っている。
なお、これらはすべて自腹である。
繰り返すが自腹である。同様に作業着もエプロンも。
それまでは私服で作業をしていたが、捨てられたプリンターを移動させる際、漏れたインクがズボンにかかり駄目にした事があった。
それだけではない。
道具はおろか取得した資格、 乙種第4類危険物取扱者(通称、乙四)、二級ボイラー技士、第三種冷凍機械責任者等々も同じ。
自腹であった。
会社からは一銭もでていない。
なぜか。
社長がいうのには、清掃に特別な資格は必要ないということだった。
『前も言ったけど、専門業務はすべて外注化させているからね』
社長の声がむなしく私の頭に残る。
それでも資格取得を辞めなかったのは、精神的に自信となる物が欲しかったからである。
特に第二種電気工事士を取得することは悲願であった。
それにはこんな理由がある。
ススキノは基本的に(的確な判断ができれば)安全な場所と考えて正しい。
しかし、酔客の中には気が大きくなったのか、迷惑な行為に及ぶ悪漢も一部いる。
壁やコンセントを蹴りあげて破損させるのはその代表格といってもいい。
そして破損したコンセントを素人が触るのは危険である。
お察しの通り、私はコンセントをショートさせてしまい、フロアーの照明を停電させるといった失敗を起こしてしまったのだ。
活線の器具をショート(短絡)させるとどうなるのか。
私の場合は100均で買ったマイナスドライバーが溶ける程の火花を目の前で見ることになった。
これが電気工事士を取ろうと思ったきっかけである。
それから数ヵ月後。
「いよっしっ!」
見事、私は第二種電気工事の免状を手にすることができたのである。
某通信教育の力を借り、又電気協会が主催する実技講習会にも出た。
また学科だけでなく実技試験もホームセンターにて配線や器具を買った。
そこそこお金はかかったが苦労した試験に合格できたのは本当に嬉しい。
嬉しいのだが・・・。
「全然、使い所がないなあ・・・・・・」
そう。
社長が以前言ったように専門業務はすべて外注化しているのだ。
他の資格ならともかく電気工事士を取れば評価されると思っていた。
あわよくば待遇もアップするかもと考えていた。
しかし、すべては見通しが甘かったのである。
この話を友人にしたら、一言
「転職しろよ」と言われました。
当時は、いや、今もですが、環境が変わることを恐れるチキン野郎なんです。
環境が変わる事を、面白い、と思える方はすごいです。




