七話 豚小屋
イヤッホウ、酒だ酒ェ!
なんかあのオーク船の一隻に大量の酒樽が積まれてたらしく、こうして飲みまくっている。
あ、俺は酒苦手だから他の海賊達が飲んでるんだけどな。
みんな歌ったり騒いだりで盛り上がっている。
今が夜なのを疑うくらいにだ。
「よぉ、飲んでるか?」
「あ、エドワードさんじゃないすか!」
「だからさん付けは止めてくれよ…」
エドワードが酒瓶を持って俺の横にまで来た。
おい凄いな、瓶一杯飲むのかお前。
「所で聞きたいんすけど、あのオーク達は何だったんですか?」
「 知らなかったのか? 奴らはブヒーデルト帝国と名乗る世界的に有名な犯罪国家だ。ま、俺達も他国の法に触れる事をする時はあるが…。
奴らは魔界という異次元を本拠地として人々を襲う奴らだ。彼奴らは世界中を戦争を仕掛けて、多くの人々を殺して女性を攫って行くんだ」
…エロゲかよ、女性を攫って行くとか。
酷い奴らが居るもんだな、異世界って。
「…俺は随分前に奴らに襲撃されて、最愛の人を奪われた。今でも、どうして助けられなかったんだと悔やんでる」
そう言うと、彼は少し俯いて何処か寂しそうな顔をした。
…辛い過去があったのか。
「な、なんかすいません…」
「良いんだ、俺が勝手に話した事だ。さぁ、今は飲もう! 宴はまだまだこれからだからな!」
そう言って、エドワードは酒瓶を一気に飲み干した。
豪快過ぎる、一瓶を一気飲みとか…。
急性アルコール中毒とかならんの?
ま、宴は楽しむとするか。
次の日…
は、みんなベロンベロンに酔ってるから島のみんなは朝なのに全然起きる気配が無い。
今日は情報収集は出来なさそ…
いや、昨日捕まえたアイツが居るから、アイツから適当に情報を貰うとすっか。
この島の森のある場所に地下牢がある。
その場所に奴は幽閉されているみたいだ。
早速俺は其処に来た。
ここの牢屋の何れかに奴は幽閉されてるんだな。
…海賊に捕まる犯罪者って。
「アンタ、何でこんな所に居るんだ?」
呼び止められたから声のした方を向いたら、昨日大慌てでエドワードに状況を報告していた、中性的な海賊が居た。
本当にお前、男?
胸の辺りが微妙に膨らんでるぞ。
「いえ、昨日のオーク達のリーダー的な奴に会おうと。貴方は?」
「ソイツの見張りだ」
彼女が指差した先を見ると、確かに昨日のアイツが椅子に縛られて、口元を塞がれていた。
アレだ、舌を噛み切られないようにする為だろう。
「ちょっとコイツと話したいんだけど、良い?」
「…縄を解くなよ。」
「当たり前だよ、そんな事する訳無いじゃん。口元の布だけだよ、取るのは」
俺がそう言うと、彼女は首を傾げながらも牢屋の鍵を開け、俺を中に入れてくれた。
よし、聞くか。
口元に詰められてる布を取って…と。
「…何だ。」
「ちょっと聞きたい事があってな。まず、お前誰?」
「貴様に名乗る名は無い。」
…名前は教えてくれないか。
ま、別に分からなくても良いけどな。
「お前は他のオークと違って、明らかに人間っぽい顔付きだけど…何で?」
そう聞いたが、コイツは何も答えようとしない。
面倒だな…。
「どうせお前はこの後殺されるんだ、死ぬ前に色々暴露した方が良いんじゃね? お前についての情報とか言っても、お前んとこのボスは何とも思わないだろ?」
やっと俺は単に話を聞きたいだけなのを理解したのか、コイツは顔を上げた。
「…俺は兵士を量産する為に作られた、人とオークの間に生まれた、ハーフオークだ」
「ふーん…」
オーク達って、本当にいろいろイかれてるんだな。
心の綺麗なオークとか、この世界には居ないの?
「で、何でこの島を襲ったの?」
「上の者からの命令だ。この島には強力な能力を持つ女が居るから、そいつを攫って苗床にするつもりだった…とな」
うっわ、思考が完全に18禁だな。
そういうの本当に無いわー。
「んじゃ、あの竜は何だ?」
「我らが帝国が作り出した最新の兵器だ。詳しい事は知らないが、オークの皮と骨格を使い、ゴーレム生成魔法と死霊魔法を組み合わせて作ったらしい」
…あー、なんとなく分かった。
簡単に言うと、オークの死体を兵器として再利用したって事ね。
それは酷すぎるな。
「じゃあ、お前らの本拠地に、竜は居るか?」
「…居る。何の竜かまでは把握して無いが、かなりの数がな。どれも雌だ」
本題を聞いたら、とんでもない事を吐きやがった。
…クソッタレが。
「その子は何体居る?」
「さぁな。かなりの数が居るだろうな」
…よし、いつかこいつらの本拠地ぶっ潰しに行くわ。絶対許さないからな。
「俺が死んでも、また別の奴がいつか貴様らを支配する。今まで家畜として虐げてきた貴様らに、飼われるという絶望を思い知らせてやる。その日を震えてまつが良い」
「そうか、色々ありがとな」
俺はそう言って口元に布を巻いて舌を噛めないようにした。
もう充分だ。
貴様らはいつか皆殺しにしてやる、覚えとけ。
「ありがとな、鍵返すわ。」
「あぁ…」
俺は彼女に鍵を返し、地下牢から出て行った。
あれ、アイツって男だっけ、女だっけ?
まぁ良いや。




