キャラ作りの途中
昔から誰にも愛されない子供だった。両親をはじめとして、誰も私の中身になんて興味がなかった。
だから、ずっと人に飢えている。早い話が寂しいのだ。
人といたくて、けれども誰かに近づきすぎて歯止めの効かなくなる自分が怖い。そんなことを考えながら生きていたら、気がつけば高校生になっていた。
周囲は恋愛談義で盛り上がっているが、私はその輪には入れそうもない。誰かを好きになる、という感覚が私には分からない。
誰かといて心地良いと思う瞬間がないわけじゃない。けれど、それは私の中にぽっかりと空いている孤独の穴が一時的に塞がれているだけに過ぎない。
私に必要なのは「孤独を埋めてくれる人」であって、特定の「誰か」に限らないのだ。寂しさを紛らわしてくれるならば誰だっていい。
そんな考えでいる私が、自分にとって都合の良い適当な異性を「好き」と考えるのはあまりにも身勝手なことだと思う。
私はただの「寂しい人」であって、同級生たちのように恋愛を楽しむ土俵に上がれてすらいないのだ。ずっと未熟で、未だに克服できていない。
人といて、話す機会が増えてくると、ついそんなことを口走りそうになる。迷惑な重荷になりそうになる。
醜態を晒すまいと我慢を続けているうちに、私は自分自身を「誰かの代わり」と考えるようになった。
不快感を与えないよう外面を取り繕う一方で、中身は空っぽなのだ。誰かの友達を名乗るのも気が引ける。
孤独を抱え込めずに人に近づいてしまうまがい物、それが私だ。
他にすることがなければ話をして、もっと仲の良い相手がきたらそちらへ移る、くらいの扱いが私にはお似合いだと思う。下手に気を使われると落ち着かない――。
「なあ、何やってるんだ?」
そんなことを考えながら向かいの校舎を眺めていると、後ろから声を掛けられた。
私は口の端を上げ、笑顔で彼に振り向いた。