さっくり滅亡エンド
あるところに王様がいました。
王様は三十年に渡って国を治め、人々からも慕われていました。
しかし、王様はある日突然暴君に変貌したのです。
王様は玉座に座ったまま「死が見たい」と呟き、家臣に謁見の間で鹿を殺すよう命じました。
その日のうちに用意された鹿は、青ざめた家臣の振り下ろす剣によって首を落とされました。
王様は玉座から赤黒い絨毯の血溜まりを眺め、小さく鼻を鳴らしただけでした。
鹿を殺した日から王様の要求は日増しに残忍になり、屠殺はすぐに罪人の処刑へと変わりました。罪の軽い者もいなくなると、王様は城下町から人をさらってくるよう命じました。逆らう家臣はありませんでした。
王様の乱心はすぐに城下の人々へ広まり、国からは活気が失われました。
それでも、王様の殺戮はとどまるところを知りませんでした。しかし国民もただ怯えるだけではありません。同胞が一人、また一人と殺されていくにつれ、静かに怒りを募らせていったのです。
その怒りは王様が西の町の人々の半分を城内へ連れてくるようお触れを出した夜に爆発しました。城下の人々は篝火や農具、工具を携え、憤怒の形相でお城に殺到しました。
すぐに城内で火の手が上がり、鎧を着た兵士と軽装の街の人々が殺し合う惨事となりました。それでも人々は止まりません。兵士を取り囲んで次々と武器を奪い、遂には謁見の間にまでなだれ込みました。
鬼気迫る町の面々を、王様は玉座に座ったまま感情のない目で見下ろしました。そして、彼らの問いかけには何一つ答えず、名もなき人夫の凶刃によって最期を迎えました。
王様の亡骸が崩れ落ち、玉座を離れたその直後のことです。国は地鳴りに見舞われました。
慌てて城を出た人々を出迎えたのは、星明りの消えた低く赤い空でした。空が大地に迫っていたのです。
街の人々はあまりの出来事に呆然と立ち尽くすしかありません。生き残っていたお城の僅かな兵士たちは、地に伏せ祈りを捧げていました。
空が大地に触れると、まもなく光が一帯に広がり、お城も城下の建物も無くなってしまいました。
人々に慕われていた王様の国は、王様がいなくなったその日に光と消えたのです。
おしまい




