告白
どうすれば伝わるだろう。この気持ちをどう言い表せば良いだろう。
それだけを考え続けて、はや一ヶ月が経った。気がつけば10月も半ばに差し掛かっている。
修学旅行はすぐそこ。それが終われば、もう冬だ。
急がなければ。僕らはあっという間に受験の慌ただしさに飲み込まれてしまうだろう。
他のことなんて見えなくなってしまう。そうなってしまう前に、もっとはっきりとした形がほしい。
逸る気持ちが、なんの準備もできないままに彼女を誘い出していた。
夕焼けだけにしか見えない特別棟4階の空き教室。ここにもうすぐ彼女がやってくる。……やってくる、はずだ。
本当に来てくれるだろうか。
胸に膨らむ不安の影を振り払うように、彼女が来た後のことを考える。
何を言えばいいだろうか。言葉は全くまとまらない。文章どころかフレーズさえも考えられなかった。
顔が熱い。心臓が強く強く脈打っている。全身をなだめようとすると、呼吸がどうしても大きくなる。どう考えたっていつもの自分じゃない。
冷静でいようとすればするほど、醜態を晒す予感が現実味を帯びてくる。
最後までなんの決心もつかないままに、空き教室の扉が開かれた。
さあ、恥をかこう。