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第5話 探索少女

 少女はカメラを手に頭の長いウサギの様な耳をぴょこぴょこさせながら森を駆け巡る。

 この森では数日前、階層のレベルを超えたEランクモンスター、オーガが目撃された場所である。

 少女――ルーベット・ダイヤルは情報屋――さまざまな情報を集め、それを記事にすることを生業にしている。ゆえに、こうして危険を犯してでもその真意を知るためにこうして単身、取材へと足を運んだ次第である。


「う~ん、この低ランクダンジョンでオーガですか……やはりにわかには信じられない話ですねぇ。

 やはり探索者さんがデマを流したという方が正解なのでしょうか……?

 まあ、一応もう少し奥まで探索してから結論を出しましょう」


 そう言って彼女はさらに森の奥へと進んで行く。そして、彼女は『それ』を目にすることになる。


「なに……これ……?」


 目にしたのは巨大なクレーター。

 一体どういう戦闘がおこなわれていたのか、非戦闘職であるルーベットでは理解不能な光景が広がっていた。

 倒れた木々、隆起し槍のように突き出した地面、そして、巨大なクレーター。

 戦闘でここまで壮絶な後を残すことなど、それこそ怪物と呼ばれるDランクライセンス級でもなければ不可能であろう。だが、仮にもしそのオーガと戦った人物がDランクライセンス級であったとして、それほどの人物がいままで無名だったとでもいうのであろうか?

 Dランク探索者などこの東の国でも、いや、四ヶ国含めてもそれこそ数えるほどしかいないというのに。


「これぞまさにミステリー!! 私の情報屋魂に火が付きましたよ!!」


 ルーベットはガッツポーズをし、目に決意の炎を浮かべる。と、そのとき彼女の長い耳が、遠くほうから何かの声を察知した。

 すぐに身を隠し、様子を窺うルーベット。

 非戦闘職である彼女にとって、最弱のモンスタースライムやゴブリンでさえ遭遇すれば命の危機に陥ることになる。

 声の方角から木で死角になるように場所をとり、聴覚に精神を研ぎ澄ます。

 声の主は三人、明確な言語を使っていることからそれがモンスターでは無いことがうかがい知れる。とりあえず魔物でないことにホッとするルーベット。しかしまだ油断はできない、低階層では探索者のほかにも盗賊などもまれにだが存在するのだから。

 距離が縮まり、声がはっきりしてくる。


「ねえねえ、『やくそう』って美味しいの?」

「はぁ? んなわけねーだろ、クソ苦ぇーよあんなもん」

「じゃあ、どうしてこの依頼主はそんなもの欲しがるのよ?」

「あぁ? そりぁオメー……薬屋だからだろ?」

「くすりやって苦いのがすきなんだ!!」

「ああ、そうだぜ、薬屋は苦い食いもんが大好きなやつらなんだぜ」

「そっかぁ!」

「おい万里、そんなわけないだろ、適当なことを吹き込むな」


 どうやらこの三人は薬草採取の依頼で来たようだ。


(なんだか間の抜けた会話ですけど、悪い人ではなさそうですね……)


 そう思い隠れるのを止めようとしたとき、彼女の耳が信じがたい言葉を聞き取った。


「あ~、やっぱどこにもオーガの素材は残ってねぇか」

「完全に跡形も残らなかったんだな、改めて考えるとすげーな魔術って」

「まっ、これもわたしのおかげなんだけどね!」

「精霊……か、本当にいたんだな、こうして実物を見た今でもまだ信じられない話だな」


(魔術!? 精霊!? どういうこと!?)


 魔術も精霊も、精霊戦争で人間が失ったはずの力であるはず、だが彼らはこの惨状がそれら古の力によって生み出されたかのように述べている。

 一体だれが……そう思い、こっそりと木の陰から覗き込むルーベット。

 そして見た、まだ少年とも言える年齢の探索者の方に小さな手のひらに乗るほどの大きさの少女の姿を。


(こ、これは……だい、だい、大スクープですよおおおおお!?

 これは情報屋として、何としても彼らの正体を確かめねば!!)


 かくして、少女の戦いが始まるのだった。

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