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ひさしはたからばこをあけた。なんといえをてにいれた!
「ちょっと大阪市から離れるが、郊外に社宅が開いた。誰か入りたい奴はいるか」火乃が候補者を募る。当時は社宅といって会社が格安で一軒家を世話していた。今でもあるかもしれないが。
火乃が言う社宅は電車で30分以上かかる距離にある。あまりいい物件と言い難い。
「郊外で、将来的に大きな百貨店も出来るかも。らしい」
百貨店ではなくダイエーであるが、当時はスーパーマーケットという言葉はないはずだ。
「女房と相談します」「俺も奥さんと話してからじゃないと」「俺はいる!! 」
彼らの視線が一点に集中した。久だった。
「というワケで、今週引っ越しする」「だらっ?!!!! 」
殺鼠剤の会社の勤務もあり(当時にはアルバイトという言葉はない)、
子供たちを預かる保育園との関係もある由紀子には寝耳に水。
「もう会社の皆が手伝ってくれることが決まっている」「はぁ?! 」
由紀子の苦言に久は「もう決まった」だけで返した。
「おうちに帰りたい」当時二歳の圭一は覚えている。
「ここがおうちだ」と叱った由紀子の言葉を。




