新任の抱負
四月一日、本日より発足いたしました『危機管理部』の課長を拝命いたしました、篠宮澪です。まずは、この体制を構築するにあたり、多大なる御尽力をいただき、私たちを信頼して席を預けてくださった常務に、心より御礼申し上げます。
先ほど、相沢さん、高橋さん、柿谷さんとともに、初日の朝の共有を終えました。
看板が変わり、私の役職も『係長』から『課長』へと変わりましたが、私たちがやるべき仕事の本質は、これまでと何一つ変わりません。社内に潜む小さな歪みの輪郭をいち早く捉え、それが大きな火種になる前に、音もなく、迅速に処理する。それだけです。
ただ、背負う『重み』と『範囲』が変わったことは、自覚しています。
これからは、総務部から来てくれた相沢さん、そして技術で支えてくれる高橋さんという、これ以上ないほど頼もしい二人の係長が組織の骨組みとなってくれます。彼らのプロフェッショナルとしての力を最大限に引き出し、この『部』を名実ともに会社最強の防衛要塞に育て上げることが、課長である私の最初の責務です。
そして――。
私の隣で、かつてないほど引き締まった、けれど確かな意思を持って前を向いている柿谷小夜さんの存在があります。
かつて彼女を襲ったような、日常を脅かす理不尽な悪意や恐怖から、彼女を、そしてこの会社を未来永劫にわたって護り抜くこと。それが、私がこの席に座る本当の意味だと思っています。
『始まったなら、回していくだけ』と相沢さんは言いました。
本当にその通りだと思います。私たちは飾り物の組織ではありません。今日からさっそく、いくつかの細かい案件の処理に入っています。
……堅い挨拶は、これくらいにさせてください。もう次の確認書類が回ってきていますので。




