第十三話 続・家族会議。私は異世界人!?
ついにサーシャの前世を暴露します!
ここまでの話で、両親の今までの行いを知ることができた。父も母もそれぞれがなかなか大変な思いをしてきたのだと知った。驚きの連続ではあったが、この世界の理に反しているわけではない。私がこれからする話の常軌を逸した話は受け入れてもらえるのだろうか……。正直心配ではある。
「お父さん、お母さん……。色々話してくれてありがとう。色々大変だったんだね。次は……、私の話……かな?」
私はいまだに躊躇している。正直に話していいものだろうか……。
「ああ。そうだな。……昼間は家族会議で話してもらいたいと言ったが、無理矢理に話してもらおうとは思っていない。辛いなら話さないというのもありだ。そこは、サーシャの思いを尊重しよう。」
父は嫌なら話さなくてもいいと言ってくれた。でも、さっきまで自分たちのことを包み隠さず話してくれた両親に失礼な真似はできない。これから話をして、家族の縁が切れたとしても、私は話さないといけないと思った。でも、覚悟をするにはまだ、もう少し勇気が足りない。
「……お母さんね、サーシャはもしかして前世の記憶でもあるんじゃないかと思っているの。もしくは何周かしてる……?」
母は自分の憶測で話をした。
「仮にそうだとして、最初は怖かった。でも、その怖さもお母さんが本当に愛されていないのではないかという怖さだったの。だから、私はまず、それが聞きたい。そこをはっきりさせてほしい。それさえ乗り越えられれば、なんだって乗り越えられる。」
母は憶測ではあるけど、的を射ている。母はこんなおかしな話をしなくちゃいけないくらい確信を得ているのだろう。
そして、今のこの状況。母は内心ではとても怖いのだろう。それもそうだ、今まで愛していた娘が本当は知らない人格の可能性が出ているのだから。愛しているのは一方的で、親と子の絆も虚構のものになってしまう可能性が出てきているのだ。それでも、私のことを思って勇気を振り絞って聞いてきている。私はその勇気に応えなくてはいけない。私も勇気を振り絞ろう。
ただ、母の質問への答えは決まっている。これは揺るぎない本心であり、未来永劫変わることはない。
「……私は……、お母さんもお父さんも愛しているよ。」
私は恐る恐る、でも、力強く2人の目を見ながら答えた。紛れもない本心だ。
「ありがとう、お母さん。これは紛れもない本心だよ。これからお話しするけど、これは揺るがないってことを信じてくれる?」
私は母にお礼を言い、これから話をすると言った。母の言葉と質問に私は背中を押されたのだ。
「……そう。ありがとう。信じるわ。」
母はお礼を言うと、私の話を聞く体制へと移行した。父も同様だ。私の言葉に頷きながら目線を向けてくれている。
そして、私は話し始めた。
「……今まで、黙っていてごめんなさい。あわよくばそのまま墓まで持っていくつもりだったんだけど、私には『地球』と言う異世界から人格と記憶を持って転生した人間なの。」
私は両親に本当のことを話す。
「……。」
「……。」
両親は私の言葉を真摯に受け止めてしっかり聞いてくれている。
「私はその『地球』と言う場所で事故に遭って死んでしまったの。そして、死後の世界に行く前に神様と呼ばれる存在に呼び止められて、聖女となってこの世界を救ってほしいと頼まれたの……。」
私はかいつまんで話を進める。
「私の力が強いのは異世界からの転生者だから、神様から優先的に能力を向上させてもらっているにすぎないの。そして、その力で、この世界の魔王を倒す予定。でも、私は前世でも、すっごく人見知りで、コミュニケーションなんてとれなくて、第2の人生は少し変わらなくちゃと思ったけど、なかなか人見知りは抜けなくて……。やっぱり……、まだ怖い……。」
話をしながら、私は少し弱気になってしまった。ちゃんとしっかり話さなくちゃいけないのに……。
「……。大丈夫よ。何となく状況はわかったわ。……どうも、5歳にしては賢すぎるなとか、それ以前にも、色々おかしなことはあったけど、むしろ納得したわ。あなたの精神年齢はもっと高いのね……?」
今まで、サーシャと呼んでいたのにいきなりあなた呼びになって少し距離を感じた。
「はい、私は30歳の時に事故で死にました。」
これも正直に。
「……そう。私たちよりはまだ若いわね。」
母は父にそう言った。
「そうだな。まあ、自分より若い子が亡くなるってのもいい話ではないがな。」
両親共に私の死を弔ってくれている。自分への弔いを感じるなんて貴重すぎる。両親は若く見えるが今は36歳同士だ。
「ありがとう。お父さん、お母さん。色々受け入れづらいとは思うけど、それでも私はこの世界ではお父さんとお母さんが唯一の家族だし、大変かもしれないけど、前世のトラウマも徐々に克服していきたいと思ってるの。今更、前世の世界に帰りたいとも思っていないし。」
私は両親に気持ちをぶつけた。
「……わかったわ。多少は覚悟していたけど、少し思っていたのとは違ったわね。元の世界に帰りたいとか私たちのことをよく思っていないとかあるかと思ったわ。」
母は内心ではドキドキで心配していたみたいだ。
「ううん。本当にお父さんとお母さんのことは大好き。これまでずっと一緒に過ごしていたから、2人のことはわかっているつもりだし。私も2人に受け入れてもらえなかったらってずっと心配してた。でも、突き返さずにきちんと話を聞いてくれている。本当にありがとう。」
私はお礼を言った。
「いいのよ。最初はギクシャクするかもしれないけど、あなたは私たちの子供のサーシャってことでいいのね?」
お母さんは私に確認をしてきた。これが最後の質問だ。
「うん。もちろん!私はサーシャだよ!精神年齢は高いけどね。」
精神年齢が高い。これがどれほど大変なのだろうか。想像がつかないけど、私は2人の子供を辞めるつもりはない。2人が許してくれるなら2人の子でいたい。
「……うん。わかったわ。改めてよろしくね。サーシャ。お父さんもいいわよね?」
お母さんは私をサーシャと認めて、父に確認をとった。
「ん?ああ、いいも悪いもサーシャがサーシャでいたいと言うのだから問題ないだろう?」
父はやっぱり大物だ。そんなふうに割り切ることって普通はできないんじゃないだろうか?それでも、その性格に私は救われた。私は2人の子でいられるんだ!
「……ありがとう……。」
私は涙を流しながらお礼を言うことしかできなかった。
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
ついに暴露しましたが、受け入れてもらえました。
良かった。
次回もお楽しみに!!




