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第66話 ヴァルハーレン領

 盗賊の討伐から数日、おそらくだがヴァルハーレン領に入ったと思われる。


 コラビの町で買った地図がアバウト過ぎたので王都で売っている地図を買ってみたのだが、多少町が増えた程度でそこまで変化はなかった。


 この世界では商人や冒険者を除くとほとんどの一般人は生まれた町で一生を終えることが多い。


 地図自体、国や貴族にとっては軍事機密となり、商人や冒険者にとっては情報という財産となるため一般人が買える地図は簡素な物しかないのだ。


 話を戻すと王都からイーリス街道を北上して行くとヴァルハーレン領に入るわけだが、地図を見る限り左側への脇道はヴァルハーレン領に入って直ぐのバーランスの町へ行く道しかないことになっているのでヴァルハーレン領に入ったと思ったわけだ。


 現在は脇道近くの、おそらく野営地用として使っているような開けたところで休憩している。このまま主都のローダウェイクに行くか、近くのバーランスの町で情報収集をしてから行くかを迷っている。

 

 頭の中を整理するついでに、フォルターグリズリーを倒して以降、ここに来るまでの間にステータスの変化があったので整理してみる。


【名前】エドワード・ヴァルハーレン

【種族】人間【性別】男【年齢】7歳

【LV】1(Up)

【HP】570

【MP】1260

【ATK】460

【DEF】460

【INT】840

【AGL】570

【能力】糸(Lv5(Up)▼、魔(雷、氷)

【加護】モイライの加護▼、ミネルヴァの加護、フェンリルの加護

【従魔】ヴァイス


 レベルは2つ上がって、相変わらず一般の人より多い数値の上昇率だが、以前に比べると若干落ち着いた感はある。


 数値はともかく、レベルについては8歳でレベル18という人もいるらしいので許容範囲と思いたい。


 そして糸の能力だが、ついにレベルが上がったのだ。


【能力】糸(Lv5(Up)

【登録】麻、綿、毛、絹

【金属】鉄、アルミ、鋼、ステンレス、ピアノ線、マグネシウム、チタン、タングステン、炭化タングステン、銅、銀、金、白金、ミスリル

【特殊】元素、スライム(New)、スパイダー(New)、蔓、グラウプニル(使用不可)

【付与】毒▼、魔法▼

【媒染剤】鉄、銅、アルミ、ミョウバン

【素材】毛皮(New)、ホーンラビットの角(22)、ダウン(5)、フェンリルの毛(6)

【形状】糸、縄、ロープ、網、布▼

【登録製品】頭陀袋

【作成可能色】24色▼

【解析中】無


 レベルの前にまず、普通のスパイダーと遭遇し倒すことができ魔石を取り込むことに成功したのだ。その結果スパイダーの糸の種類が増えて糸を使い分けることができるようになった。


 戦闘用としてはジャイアントスパイダー一択なんだが、ジャイアントスパイダーは生地としては高価すぎるので、普通のスパイダーを扱えるようになったのは嬉しいところだ。


【スパイダー】スパイダー▼、ジャイアントスパイダー▼


 普通のスパイダーの糸でもシルクに比べると遥かに高性能なため人気がありレアな素材だ。蜘蛛の糸って鋼鉄の5倍ぐらいの強度があるんだっけ? 低く見積もっても普通のスパイダーの糸でも鉄の鎧より強い計算になるような。これがジャイアントスパイダーになったらいったいどれだけの強度になるのか一度試してみたいところだ。


 そういえば、地球で自然界最強の糸は蜘蛛ではなくミノムシの糸だというのを聞いたことがある。ミノムシの魔物がいるようならぜひ倒してみたいところだが、普通のミノムシじゃジャイアントスパイダーには勝てないだろうけどね。

 

 自然界でなければ超強力超高分子量ポリエチレン繊維が鋼の15倍の強度があるらしいが、今のところナイロンも含め化学繊維の作り方は見当もつかない。

 

 スパイダーの糸の種類についてはそれぞれ4種類と同じだった。次にスライムと魔法を合成した結果、数が増えた。


【スライム】スライム、サンダースライム、アイススライム、ウォータースライム、アーススライム、ポイズンスライム


 ファイアースライムなど合成できないものもあったことから、合成できたスライムはこの世界に実在するスライムなのかもしれない。


【素材】の毛皮もフォルターグリズリーの毛皮を登録したところ、毛皮という項目で纏まった。


【毛皮】ホーンラビット(4)、ビッグボア(2)、フォルターグリズリー(1)


 という感じで纏まったのだが、あれからホーンラビットとビッグボアを追加で倒しているので、毛皮の数も増えている。


 そして、レベル5の新たな能力は『製品登録』だった。

 

 単一素材の糸で出来た製品を登録できるみたいで、試しに麻100パーセントの頭陀袋を登録してみたところ成功したのだが、登録に魔力を300消費するので片っ端からなんでも登録というわけにはいかなそうだ。


 登録した製品は無くなってしまい、能力で製作すると新品の状態で現れた。製品登録をしてしまえば消費魔力こそ違うが、色々な素材で製作することができるみたいだ。例えば、登録したものと同じ素材の麻の頭陀袋なら消費魔力10だが、素材を変えて絹の頭陀袋にすると消費魔力40といった感じだ。

 

 ちなみに金属でも製品は作れるようで、鉄の素材で作ってみたところ重くて使い物にはならないが、作成することはできた。


 ステータスを確認しつつ考えが纏まったので、出発することにする。


「よし、ヴァイス出発しようか」

『どちらへ行くのか決まったということか?』

「うん、最初の計画通りローダウェイクに行くよ」

『分かったぞ』


 そう言って立ち上がると遠くの方に、行先であるローダウェイクの方向からやってくる軍隊のような一行が見えた。


「なんだあれ、軍隊かな?」

『軍隊のような気配ではないが、かなりの数がいることは確かだな』

「通り過ぎるまで隠れてようか」


 近くにあった大きな岩陰へ隠れて、軍隊が通り過ぎるのを待つことにした。


 軍隊は段々と近づいてきてバーランスの方に曲がり始める。それにしてもこれほどの数の軍団は初めて見るが、500人ぐらいはいるのではないだろうか。


 軍団の中央には豪華な馬車が走っていて、ローダウェイクの方角から来たことを考えると、もしかしたら僕に血縁のある人が乗っているのかもしれないな。情報収集が済んでいないので、今はまだ見つかるわけにはいかないだろう。


 しかし、通り過ぎると思っていた馬車は野営地付近で停まり、それに合わせて軍団も停止したのだ。



 見つかるとまずいので覗いているのを直ちに止めて、岩陰に小さくなって隠れ、軍団が通り過ぎるのを待つことにしたのだが、兵士たちはなぜか突然警戒態勢に入る。



 魔物か盗賊でも出たのかと思いながらも、完全に逃げるタイミングを間違えた僕は、岩陰に隠れたまま取りあえず通り過ぎるのを待つことにした。



 しばらくすると足音が少しずつ、一歩ずつ僕の方に近づいてきて、僕が隠れている岩の近くで止まったのだ。



 見つからないように、息を潜めていると、少し震えた女性の声が聞こえた……。

 


「エドワード」


 女性は僕の本当の名を呼んだのだった。



――――――――――――――――――――――――――

ヴァルハーレン領周辺のマップになります。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

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