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約束の指輪  作者: みやみ
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約束の指輪

バイトがあるとつげた日、前回と同じ時間に男性はやってきた。美亜を見つけるといそいそかけよってくる。まるで犬だな、と美亜は思った。


「こんにちわ。あ、もうこんばんわですね。今日は忙しいですか?」

「こんばんわ。今日はそうでもないですよ。もうお仕事は終わられたんですか?」

「はい。今日はこのあたりではなかったので終わらせてから来ました。早速なんですが今日指輪は持ってますか?」

「持ってきましたよ。私あと二時間で終わるんですが、お時間ありますか?」


ほぼ初対面と言っていい相手と待ち合わせするなんて、と他の人ならいうだろうが美亜はこの男性が嫌ではなかった。不信感がなかったのだ。


「時間、大丈夫ですよ。外で待ってますね」

「あ、私先日お名前聞き忘れちゃって・・・すみません。お名前教えていただけますか?」

「うわ、失礼しました。佐々木、佐々木淳といいます!」

「佐々木さんですね。私は露木美亜といいます。すみません、お待たせしますが・・・」

「いいんです。僕のわがままにつきあってもらってるので。では後で」


二時間後、美亜は約束通り指輪を持って外へと向かった。


「お待たせしました」

「いや、こちらこそ。わがままに付き合ってくれてありがとう」

「いえいえ。ここじゃなんですし移動しますか?」

「そうだね・・・」


そこまで言った後淳はふと立ち止まった。


「どうしましたか?」

「えっと、僕らほぼ初対面だけど、露木さんはいつもこんな感じなの?もう少し警戒したほうが・・・」

「え?いや、いつもはもっとちゃんと警戒してますよ!でも、うーん、なんていうか佐々木さんは大丈夫な気がして・・・なんかこう、初めて会った気がしないって感じで!」

「・・・そうなんだ。なら良かった。じゃあ駅の方に移動しようか。ごはんこれから?」

「これからです」

「じゃあファミレスにでも行く?もちろん僕が払うよ」

「いやいや、そこまでしてもらうわけにはいかないですよ。ちゃんと自分で払います」

「そう、わかった」


そんな会話をしつつ二人はファミレスへ向かった。店についてまずは食事をし、デザートのケーキにフォークをさしつつ美亜は話を切り出した。


「先日おっしゃってた指輪、ちゃんと持ってきましたよ。これです。どうですか?似てますよね?」

「これ・・・・・・・・・・」


淳が美亜に断りを入れて指輪を手にする。そこには自分の指にはまった指輪と全く同じ模様の指輪があった。


「あぁ、これだよ。これが探してた指輪だ・・・」


淳が急に声も出さずに泣き出したのは美亜は焦った。


「え、大丈夫ですか?ていうか本当に探してた指輪だったんですね!すごい!すごい偶然ですね!」

「偶然じゃないんだ・・・」

「え?」

「偶然じゃないんだよ。僕らは以前からお互いを知っているんだ」

「え?え?でも先日初めてお会いしましたよね?」

「そうだね、でも僕はずっと前から君を知っているんだ・・・」

「どうして」

「この指輪が全て知っているよ」


淳はそういうとおもむろに美亜の手をとって指輪をはめた。普段なら男の人に急にそんな事されようものなら手を払いのけるだろうが、美亜は突然の淳の行動に驚くばかりでされるがままだった。

美亜の指に指輪がはまったとたん、指輪が白く輝いたように見えた。


「え・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」


美亜は淳の顔を見たまましばらく目を見開いて固まった。淳は美亜の様子を見ているだけでお互い声を発しないまま時間がすぎた。最初に声を出したのは美亜だった。


「ジュリアン様・・・・・・あなたなの・・・?」

「そうだよ、ミリア」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」


世界が変わってもまた巡り合えた嬉しさに美亜の目からも涙がこぼれた。


「あぁ・・・・そう。そうだった。思い出した。私ずっと、あなたに会いたかったの・・・」

「僕もだ。また生まれてきてくれてありがとう。今度こそ、今度こそ君を幸せにすると誓うよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嬉しい」


そういうと美亜はまた泣き出した。ひとしきり泣いた後、美亜は気まずいからと店を出て近くの公園に淳と向かった。その途中


「お兄さん、お姉さん良かったら占ってあげようか?」


2人の耳に特徴的な声が聞こえた。


「まさか・・・」

「おや、覚えていたのかい?もう忘れてると思ったのに」

「いやいやいやいや、あなたあの時の魔女ですよね!?ちょっと言いたい事があるんです!」

「熱烈だねぇ」

「いやいや、あなた指輪つけて死んだら記憶もったまま生まれるっていったじゃないですか!つけなきゃ記憶戻らないとか後出しじゃんけんすぎるでしょ!」

「あら、悪かったねぇ。それであんた毎回記憶がなかったのか。自分がつかった事なかったからわからなかったねぇ」

「笑い事じゃないですよ!ずっと箱に入れっぱなしだったらどうしてくれたんですか!意味ないじゃないですか!」

「あんた王妃の時や前の時より性格がきつくなったじゃないかい?」

「これだけ振り回されればこうもなりますよ!探してもらえてたからいいものの!」

「そうその通り。指輪は私からあんたの手に渡った時点であんたを持ち主だと認めてたんだね。指輪も、その男もあんたを探していたんだよ」


淳がいる事をすっかり忘れてヒートアップした美亜は、所在なさげにたたずんでいる淳に振り返った。


「ずっと?ずっと探してくれてたの?」

「それはもちろん・・・僕は指輪をつけていないと記憶が戻らないとは知らなかったけれど、前の生でもその前でもたまたま指輪をつけていたみたいなんだ。だから僕は何度生まれ変わっても君の事を覚えていたよ。不思議な事に君と会えない生では指輪は二つとも僕が持って生まれていたんだ。その時はなぜ二つあるのかわからなかったけれど、君が指輪をつけずに死んだ時は僕の手に二つあった時だったんだろうね」

「・・・ミリアだった時、指輪を外していたのはリリス様に目を付けられないようにしたからよ。まさかそんな時に死ぬとは思っていなかったの・・・」

「やはりそうだったんだね。でも前世で君が亡くなった時、棺の中で指輪をつけている君を見て悲しかったけれど、希望もあったんだ。来世では君に会えるとわかったから。会いたかったんだ。本当だよ」

「私を探してくれてありがとう・・・」

「今世では何にも縛られることなく、ただ君を愛すると誓うよ」

「今度こそ・・・私だけを愛してくれるの?そう思っていいの?」

「もちろん。愛してる、美亜」

「私も・・・私も愛してる・・・」

「良かったね。それじゃ、私はあんたらのおかげでここまでこれたし、満足だよ」


そんな言葉を残して魔女は占いと書かれていた道具一式とともに煙のように消えた。まるで今居たのが幻だったように。


あんなに気弱で強いものに逆らえなかったのに、何度生まれ変わっても自分を探していてくれた淳からの言葉に美亜はうれし涙が止まらなかった。

あんなに悲しかったミリアの生も、短い時間しか一緒にいる事ができなかったアンジュの生も、今自分たちが会えた奇跡につながっている。

悲しくて、悲しくて何も信じられなくて死んだミリアも、もっとたくさん生きて楽しい事をしたかった、一緒に居たかったと嘆いたアンジュの生も美亜として生きる今彼女たちの願いを自分がかなえよう。


「私、これからもずっとあなたと生きていきたいの。前世の想いと一緒に」

「ありがとう・・・僕もずっと一緒にいると誓うよ」


2人は何度も、何度でも約束をした。その約束を覚えるかのように、約束の指輪は輝いていた。


私の拙い文章をここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

自分ではこれで締めくくりとしました。矛盾などが生じていたらすみません。

もしもまた何か書けた時、ご縁があると嬉しいです。

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