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星屑の傭兵  作者: 磯野海月
第4章
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インターミッション

ノーマ「それでは、エー、わたくしノーマ・レイが戦闘サイボーグを代表して、サイボーグやチューンド(強化人間)について解説したいとおもいます」


ルー「聞き手はあたし、ルー・Σ(シグマ)ですよー」


 ノーマ「一般に改造人間とは、身体の機能を後天的に人為的に手を加え強化または補完した者のことです」


 ルー「そんなら、義足や入れ歯、コンタクトレンズまでつけてるやつも、改造人間なの?」


 ノーマ「う~ん、厳密に言うとそうなるかもねー。

でもそれはあくまでも道具の延長だから、簡単に取ったりはずしたりできるわけでしょう。改造人間は体の一部になっているわけだから。

それに定常以上の能力を発揮するために行う行為であって、身体的ハンディキャップを補うための行為ではないのよ」


 ルー「ウー、でもティロールさんが、眼鏡は自分の体の一部だ。って言ってたけどなあ」


 ノーマ「彼は特別よ、この時代近視や乱視、老眼だって簡単に直せるのに、眼鏡のままなんだから。ノビ太みたいに寝るときもかけたままだって話ね。

アラ、話がずれたわね」


 ルー「それでー、続きはー」


 ノーマ「この世界では改造人間は大きく二種類に分類されるわ。

一つは強化人間、チューンドと呼ばれる者。

これは身体の改造度が50パーセント以下の場合。

もう一つは改造度が50パーセント以上の者。

これはサイボーグって呼ばれてるわね」


 ルー「それで、ノーマさんは何パーセント?」


 ノーマ「あたしは、身体の90パーセントを人工の物に置き換えている。っていうか、そのボディーの中に脳味噌だけ入ってるって感じかな」


 ルー「フーン。脳以外は全部造り物ねえ」


 ノーマ「厳密に言えば、脳も30パーセント強化改造してバイオコンピュ ーターを埋め込んであるわね」


 ルー「えー、じゃあ、どんどん脳改造してって、脳の100パーセントまでバイオコンピューターと置き換えていったらどうなるの?」


 ノーマ「ウウ、これはかなり厳しい質問ね。私達サイボーグでも脳だけは年をとるわ。それに合わせてどんどん脳のパーツを交換していって、元の自分がなくなってしまったら、その人はアンドロイドと同じ訳ね」


 ルー「そうなったら魂は?」


 ノーマ「そんな物は存在が確認されてないから分からないわよ。

でもそうやって脳をすこしづつ入れ替えて、本人の記憶と人格を維持していくことができれば、人間は事実上不死になれるはずだけれど。

現在の技術では脳の50パーセント以上を人工の物に置き換えると、精神崩壊が進行するということね。

だから、どんなにサイボーグが長生きできても、150年が限界と言われているわ」


ルー「ヘー・・・。ノーマさんは今幾つなの?」


 ノーマ「それは、私の最高機密よ! それを知って生きているやつはいないわ!」


 ルー「ひぃえ~!こわ!」


 ノーマ「と言うのは冗談だけど、だれにも教えてやんない!」


 ルー「人は外見によらない。て言うのがそのままあてはまるのがサイボーグなんだ」


 ノーマ「失礼なネコね! この時代の技術では、完璧な性転換も可能だし、年齢を誤魔かす美容整形手術もかなりの水準よ。

これもバイオ・サイバネティクスやバイオ・トロニクスの進歩のおかげね」


 ルー「そうなんだ。じゃあオカマは完璧に女になれるんだあ。サイボーグも元男で女のボディーに入ってるなんてのも可能なわけだ」


 ノーマ「確かにそういうやからもいることはいるわねえ。でも脳自体に人間は性差があるから、完全な性転換者とは言えないかもね」


 ルー「ノーマさんは?」


 ノーマ「何!あんたこのあたしをカマボーグと疑ってるわけ!?」

パシパシパシ

ノーマの周囲の空気が帯電し始める。

ルー、青ざめる。


 ルー「アハアハ、今のは冗談」


 ノーマ「フン、まあ許してやるわ。紙面の都合もあるし」


 ルー「そうそう、話の続き」

ノーマ「えー、さらに細かくチューンド(強化人間)についてね。

この時代、職業に応じて身体を強化改造している者はかなりいるわ。

タワーズでも全体の10パーセント程かしら。

さらに傭兵戦艦に所属する者だと20パーセント以上よ。

最も多いのがデスクワーク系の職員が行っている、補助脳の埋めこみかな。

これで、頭とコンピューターネットを直接有線で接続できるし、情報処理能力が格段にアップするわね」


 ルー「へー。パソコンを小さくして頭の中に埋めこんだみたいなものかなあ?」


 ノーマ「そうとも言えるかしら。でも性能や使い勝手はこちらの方が格段にいいけどね、それでも未だに端末では、キーボード入力や音声入力も併用してるわね」


ルー「パイロットや他の戦闘要員ではどうなの?」


ノーマ「パイロットの場合、普通の人間ならかなりの割合で、補助脳をつけたり、神経伝達速度を上げる改造強化をしているわねえ。

でもスペシャルクラスの傭兵ではその必要がないほどスゴイ人たちや、あんたみたいなBHバイオ・ヒューマノイドやウェイカー(異能者)が多いからその限りではないわ」


  ルー「その他の改造は?」


 ノーマ「そうねえ。あとは、BCウェポン(生物科学兵器)に対抗するためのバイオプラントや、重傷を負ったり、宇宙で酸素がなくなったりした時に、脳を仮死状態にして10~24時間脳死をまぬがれるようにする、ブレインキーパーなんか多いわねえ。

これなんかは改造というよりただノルプラントを注入するだけだから、チューンドと呼べるかどうか・・・」


 ルー「サイボーグの種類についてもっと教えてよ」


 ノーマ「そうそう、これが本題よねえ。ええと、サイボーグには大きく4つの分類があるわけね。先ずミディアム・サイボーグと・・・」


 ルー「あ!分かった、ウエルダンとレアでしょう」


 ノーマ「違うって! ステーキじゃないんだから。ミディアム・サイボーグとフル・サイボーグよ。

この違いはフル・サイボーグとは脳または中枢神経以外全てを人工の物にしている者のことね。

そうじゃない者はミディアム・サイボーグって言うわ」


 ルー「ふ~ん。ならノーマさんはフル・サイボーグなんだ」


 ノーマ「そういうことになるわね。フル・サイボーグは特典として、比較的簡単にボディーの乗り換えができるわ。

 これはフル・サイボーグの脳がカプセルユニットになっていて、インターフェイスや生命維持ラインの接続の規格が全て統一されているから、どのボディーにも入ることができるのよ」



ルー「だから、セブンシスターズのインとヤンは戦闘用と生活用の二つのボディーを持ってるわけだ」


 ノーマ「そういうことも可能ね。人によっては、お金さえあれば、何体もボディーを持っていて、とっかえひっかえ、ドレスを着替えるみたいな感覚で体を着替えることも可能だわ」


 ルー「ノーマさんは一体だけなの?」


 ノーマ「あたしのボディーは、これ一つよ。この体は最高の戦闘能力と且美しさを兼ね揃えた最高傑作よ。

 この体に入ったらもう他のボディーに入ろうなんて気がしないわ」


 ルー「そういうものかなあ・・・。ところで、他の分類はどうなの?」

ノーマ「あとは、バイオ系とメタル系の分類のしかたね。バイオ系はあたしみたいにバイオパーツを多用してるから、見た目は普通の人間となんら変わりないわね。それに対して、メタル系は金属や無機質のパーツで出来たボディーだから、見るからにサイボーグ!って感じよ」


 ルー「知ってる。大昔のロボコップっていうビデオ見たことある」


 ノーマ「よくまあ、そんなの見てるわねえ! 身近なとこだと、タワーズに所属するガルガンチャー・ナイツの五人がそうよ。騎士団長のサキューン以下全員カチカチのメタル系ね。

 あんな体で24時間いるなんて気が知れないわ。

まあ、人は人か・・・。あと、インとヤンの戦闘用ボディーはメタル系とバイオ系の混合でハイブリットて言うわ」


 ルー「フーン。まあ、今日はいい勉強になった。そのうちあたしがBHバイオ・ヒューマノイドの詳しい解説をやるから乞う御期待!」


 ノーマ「なによ、あんた! 勝手にしめないでよ! まだ言いたいことがあるんだから」


 ルー「えー、まだなにかあるのー!?」


 ノーマ「大有りよ! ここであたしの名誉挽回!、みんなあたしのことを浪費家だとか、お金に締まりがない女だとか思ってるかもしれないけれど、それはおおきな間違いよ」


  ルー「えー!そうだったんだあ!」


 ノーマ「なに感心してるのよ! あたしみたいな、バイオ系のサイボーグは維持管理にかなりのお金がかかるのよ、そこのところをみんなはよく理解すべきだわ。

最高のボディーを最高のコンディションで使うために、少ない収入を節約しながら、爪に火をともすような思いで日々くらしてるのよ」


 ルー「少ない? あたし、マーガレットさんがぼやいていたのを、カフェテリアで聞いたことあるけど、ノーマさんの年俸はタワーズではあらゆるえらいさんを抜いて最高だって」


 ノーマ「ウウ・・・。そうかもしれないけれど。とにかくお金がかかる のよ、この体」


 ルー「その体の維持費だって、殆ど年俸とは別に武器装備とみなして、別途支給されてるんでしょう?」


 ノーマ「マーガレットはそんなことまであんたに喋ったのお!?」


 ルー「ウン! あと、ノーマさんがゴールデン・スピアに入ったのは、借金で首が回ら なくなって、にっちもさっちも行かなくなった時、借金の清算をゴールデン・スピアにやってもらって、身売りしたようなものだって」


 ノーマ「ウッググ・・・。飛んだ藪蛇だったわ。ルー、そんなこと他の人に喋ったら、 こないだ借りたお金もう返さないからね!」


 ルー「えー!もうみんな知ってることだよう!」


 ノーマ「アー! もう返さない!たら返さない!」


 ルー「そんなのってあんまりだあー!!」

怒って部屋を出ていくノーマの後を、ルーは追いかける。


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