第15話「システムの庇護と支配は大差ない」
時坂 秀人
ランク1
VP500
仲間
ランク1 アレ=ルーラ Lv.1
スキル 回復強化(5)
ランク1 デレ=ヘリアス Lv.1
スキル 戦闘特化 攻撃(5)
ランク2 ディーラ=シュトル Lv.1
スキル ドロー加速(3)
ランク2 キーラ=レシル Lv.1
スキル 戦闘特化 防御(5)
【ウンディーネの秘湖】は【イノセンスの森】の西の外れに位置する。【イノセンスの森】の中の川も上れば必ずそこに辿り着く程に関係が強い為にアルラウネ等の木々の幻獣達は必ずウンディーネの長と友好関係にある。水が無ければ植物は枯れる。
自身の命の源の提供先と揉めたくは無いのだ。
一方、アルラウネの長アルはウンディーネの長と面識があった。
ウンディーネの長こそ、二人目の勇者の仲間であるからだ。
とはいえ、仲間で無くともアルラウネとウンディーネが対立することは先ず無い。お互いに野生的な部分は少なく、長や数名の者を除けば大抵は仲が良い。そういう点で考えるならば合理的と言っても良いだろう。
損なことはお互いにしない。助け合う為の交友関係だ。
【アルラウネの集落】は【ウンディーネの秘湖】の向こう側に【サラマンダー火山地帯】が存在することを知っている為に、少し遠目のところに作ってある。溶岩は水で冷やせば良いし、その水が無くなることもないが、植物は火で燃えやすい為に、友好関係であるウンディーネからも遠ざからなければならなかった。
しかし、それは逆に幸運を齎した。
【イノセンスの森】が平和なのも西に【ウンディーネの秘湖】。東に【アルラウネの集落】があるからこそのものだ。
森の幻獣達が争わないのも火消しを両方がしていて、その為に見張りも沢山散り散りとなっている。ウンディーネが来たら争いを止めざるを得なくなるし、そのウンディーネの最も交友の深いアルラウネが来ても同じこと。
「ということで、この森が静かなのもそういうことよ。」
【アルラウネの集落】から出発して30分も経たぬ内に飽きてきたので、こうしてゲームでは見えなかった様々な背景をディーラに聞いている。キーラはその見張りの隊長の一人だそうで、この周辺の事なら何でも知ってるとのことだ。
キーラが言うにはこの辺りは比較的に安全で【ウンディーネの秘湖】までは何の問題もなく行ける道を選んでるらしい。
ほっとすべきなのかは審議せねばならないだろう。
カードゲーム除いてゲームにおいてレベル上げとはやらなければならないことの1つ。【リターン・リバース】においてはVPを稼いでランク上げとパック買いだ。
ランクはこの際置いとくとしても今の俺のデッキでは不安だ。
アルの使ったあの必殺のコンボは驚かざる得ないほどに強力なコンボだった。今度出会うボスも属性は違えど使わないとは限らない。
もしもという可能性がある限り安心は出来ない。
つまり、彼女の好意による行為は俺にとっては不利な状況にしかなっていないということだ
回避すべきか、しないべきか。
「キーラ。別に安全な道選ばなくても良いよ。」
やはり、経験値は上げたいし、デッキの幅も広げたい。
別段言って困ることじゃないし、素直にVPを稼ぎたいと言うとするか。
「ん?道的に安全な方が良いと思ってたけど、かなりハードな道になるよ。」
道だと!?
話の脈略的に有り得ない単語が出てきたことにより、唖然とした。忘れてはいたがキーラは脳筋だ。戦闘狂にドM追加していたことで印象が薄れ忘れていたようだ。
今考えたら戦闘狂なのはドMが前提に来てるからか?脳筋なのも性欲に従じてるからとか。
いや、流石に考え過ぎか。
「あ、あぁ、道の話してたんだ…。襲い掛かってくる敵とかは?」
気を取り直して、さりげなさとか微塵も無いがこの際気にすることじゃないな。
場合によっては自ら敵に突っ込むことも視野に入れておかないとな。
「ん~、反抗的な奴等なら居るっちゃ居るなぁ。」
「もしかして、ベヒモスのこと?」
「それは例外でしょ。あいつは一種の災害みたいなもんだし……。」
「まぁ……確かに……そうね。」
「そいつらとは会えるのか?」
ディーラとキーラが話し込み始めたので、茶々を入れるわけではないのだが、その反抗的な奴等と戦えるのかだけは聞いておこう。
すると、驚くように少し引かれた。
「えっ………、会うのはオススメ…しないわ。」
「そうそう、あいつら曲者揃いだしねー。」
それに賛同するようにキーラも大袈裟に頷く。
そんなことを言われると何となく会ってみたくなるじゃないか。
少なくとも二人とも会ったことはありそうで、2度と会いたくないと態度で表されている。つまりは会えるのだから主として遠慮無く後で行こうじゃないか!
「ここからベヒモスまでは遠いのか?」
お楽しみは先に食べる派である訳ではないのだが、ベヒモスが災害級というなら先に戦っておきたい。まだ、強い相手とはあまり戦えてないので、基準がわからないのだ。基準さえ知っていれば、今後も少しは役に立つだろう。
「オススメはしないわ。アル様も手こずる相手だからね。」
ディーラが聞き捨てならないことを言ってしまった。
あの、俺を瞬殺したアルが手こずるだと!?
いやいや、災害みたいと評されるのは伊達ではないらしいな。真面目に手強い相手ということか。今の俺には経験不足ってところだな。
「じゃあ、他にお手頃な相手って居るか?」
「ここから寄り道出来て、お手頃なぁ。」
「なー、なんでそんなに戦いたいんだ?」
今まで話の蚊帳にいたデレが突然の質問をぶつけてきた。
彼女にとってはわざわざ危険な道を通ろうとする魂胆がわからなかった。
敵と戦うのはサラマンダーが血気盛んな幻獣の1つであるからこそ、破壊衝動を抑制することなく行ってきた。弱肉強食が当たり前であるからこそ、戦いは生きるのと何ら変わらないことである。
だが、時坂 秀人はそんな彼女から見ても明らかにそういうタイプでないことは把握出来た。
だからこそ、疑問を持った。
そんな彼が何故自ら戦いを望むのかを。
それもメニューなど一度も開いたことがなく、このカードゲームによる戦いに何ら疑問を持たず、負けたことが時坂を除いて一度もないからこそ言えることだ。
要するに無知であるからこそ、この質問が出来たのだ。
当然、アレも同意見だ。
「それはな。戦ってカードを集めたいからだ。」
「え?戦ったらカード貰えるのか!」
まぁ、チュートリアルの敵が弱いのも初期カードしか無いのもご察しの通りに経験が無いからだ。もしかしたら、VPは持ってるけど単純にメニューの存在を知らないだけかもしれないがな。
何はともあれ、知らないことに対して時坂は対して驚くことはなかった。予測してはいたからだ。
「あぁ、メニューと言うとメニュー画面が開かれる。そこからショップのとこ押せば、パックと言って6枚のカードが入ったものを買えるんだ。それにはVPが必要だから戦うってことだよ。」
ディーラやキーラ含めてメニューと言われても何のことかわからないだろうから、とりあえずそう言えば開くことを教えておいた。ディーラとキーラにおいては感覚で開いてるから、無言でも開けるんだろうけど感覚の問題だから説明は無理だし、一応と言ったところだ。
「だからといって、VPの補充は忘れるなよ。0になると死ぬからな。」
「え?そうなの?」
ディーラが素頓狂な声を出した。
ヘルプを見ていた筈なのにも関わらず知らなかったのか。
いや、もしかしたら死ぬというデメリットは俺だけなのか…?
それは質の悪い冗談だろ?
「……確かにそう書いてあるわね。」
良かった……。俺だけではないらしいな。
いや、全然良くも無いけどさ。
その分、命が重く俺にのし掛かって来るんだからな。
今は実感無いのも自分の死と同じこと。死ぬと言われてもよくわからないのだ。精神的に参るなら危機感もきっとあったんだろうな。
「皆あるみたいだし、戦わざる得ないことはよくわかったと思うけど、その上でお手頃に戦えそうな場所ってあるか?」
包み隠さずそのまま話した。
ここにいる皆が戦わなければならない理由を知ったからこそ、真剣に悩んだ。主に死なれるのも困る。
負けた途端、主と認識しているのはチュートリアルで出会った3人だけである。これもシステムによる強制力だ。望む望まないに関わらず、意思を捻じ曲げ本能的に主となっているのだ。
彼女らにとって主は命と同等の存在であり、失いたくのない存在。
唯一、その中にはいないキーラもシステムによる強制力はなくとも、時坂を新たな主となったのだから、時坂の意思すらも怪しいものとなっている。
ただ1つ言えるのはこの選択はシステムによるものではない。
システムが関与しなくとも結局のところ選択していた。
RPGにおいて縛りプレイが出来るのも、何度も死を検証の材料に使えるからだ。もしくは、周回プレイによる計算だ。
言わなくともわかるが、理論の時点で不可能だ。
また、初期デッキで連勝することも不可能だ。
最終的には1割勝てるかさえも怪しくなるのは目に見えてる現実だ。
要素が存在するとはいえRPGとは似て非なる構造なのだ。
「そうだなぁ。ゴブリンとかどうだ?」
おっ、どのゲームでも基本的に嫌われ者の位置に座するゴブリンか。
面白いことに【リターン・リバース】でも扱いづらいカードとして有名だ。有り体に言えば雑魚カードだな。
強いと言われれば強いけど、スタッツが微妙なのと容姿が醜い点で扱われないカードランキングで必ず上位を取っている。
相手としては問題はなさそうだし、無駄に強そうでもないから寄り道としては丁度いいかもしれない。
「ゴブリンかぁ、それでいいや。」
「晩ご飯何にするか並の軽い返答ね。」
確かに雑だったかもしれんな。
でも、ゴブリンならこんなものじゃないかと思うんだが…。
しかし、そんなところは大して気にすることでもない。ゴブリンのことなど知っていても知らなくてもどうでもいい。
それよりも気になることが出来た。
「ん?ウンディーネなんだから水以外に悩むことあるのか?」
率直な疑問だ。
見た目は人でも水で出来てるらしい。
一種の幻惑魔法みたいなもので、カメレオンと同じような迷彩が肌の表面にあるとのこと。
そんな彼女が摂取するのはやはり水であるのだが、この辺は基本的に湖しか無いはずだから、水なんて1種類しかないと思う。
「失礼ね。私達だって何処の水なのかによって好みはあるわよ。水の為に遠出することもたまにあるわよ。」
休みの日にドライブでうどんを食べるだけに香川に行くような感覚か。俺にとっては軟水と硬水の差ぐらいしかわからないけど、彼女達にとっては体の一部なのだから敏感なのかもしれないな。
「へぇ、ちなみに何処の水が好きなんだ?」
「んー、やっぱり一周して自分の湖だと思うわ。」
「何故に?」
「昔から飲み慣れてるから安心出来るし飲みたいときにすぐ飲めるからよ。」
母の味と同じ理屈なんだろうな。
俺の母は母ではないから、味なんて気にしたことなかったな。
確かに慣れてはいるんだろうけど、あまり思い出せない。
てか、親の名前なんだっけ……。
気にするようなことでもないか。愛されたことはないし、赤の他人と言っても良心は全く傷まないからな。
「納得した。」
「それで、ここから【ゴブリンの住処】に行くとすればそのまま【ウンディーネの秘湖】に行くのに対し大体30分遅くなるけど良いの?」
「30分に加えて数戦と考えたら少しばかり遅くはなるけど、まだ朝だし問題ないだろ。」
「そうね。それじゃあ、路線変更ね。」
西へと向かって歩いていたのだが、進路を変更して南西へと歩き始めた。森なだけあってそこら中木々が生えているが、所々手入れをされており、雑草などが刈られていたり、歩ける程度には土が露わとなっている。
これもウンディーネやアルラウネなどの平和主義者達による整備であった。木々がより育つようにという建前を出すことにより、歩きやすくするという本音を簡単に通すことが出来た。
また、災害級の幻獣除けば、感謝をされてるのもまた確かな事実でもある。それぞれの幻獣たちの領土から然程離れてない範囲ならばその幻獣毎に管理はしていたが、漏れているところも必然的にある為に今はこうして東西が管轄下となっているわけだ。
しかし、人が作るような道は無く結局のところ獣道と変わらない気もする。現に人である時坂は歩きづらさこの上なかった。
でこぼこの地面といい、横から生えている植物、数えればキリが無いほどに沢山ある。
人の通りやすさではなく、幻獣の通りやすさを優先したことにより、獣道と読んでも依存はないと思われる。けれど、この森の広さを考えるなら仕方のないことなのかもしれない。
あと、災害級とやらも災害と言われるのだから、それに比例した被害を出してるに違いない。
「ディーラ、ベヒモスってどんな奴なんだ?」
情報は常に集め続けないと生きてはいけない。
と、小説に書いてたし、一理あると俺も思う。何の情報も持たずに旅に出ても、目的までの最適解はわからなければ、食えるもんがどの辺りにあるのかもわからん。
今回に限っては本当に何も知らない。
無知であることは罪だから勉強をしないとな。
今のところ、【アルラウネの集落】にしか行ってないから、文字というのを見つけていない。人が存在したなら本も存在するのではないかと考えている。
ゴブリンはどちらかと言うと人寄りだから本の所持をしてることを一縷の望みとしてる。まぁ、無くても絶望するほどでもないがな。
ゲーム時代のこの周辺にまともな種族といえば、数が限られている。実際には居ない者も居るとすれば、最初に出会うゴブリンこそが一縷と言えるだろう。
てか、普通に聞くか!
「そうねぇ、ベヒモスは神が作った最高傑作と言われてて、とある洞窟をずっと守り続けてるの。大昔に討伐しようとしたらしくて、そのときに森を半壊させたことから災害級と呼ばれてるわ」
「へぇ、なんか予想通り過ぎた。」
「敵によって姿変えられるのだけれど、人に擬態した時可愛らしい男の子だったらしいわ。」
可愛い男の子って、場合によっては男の娘属性をお持ちなのか。
最高傑作なんて言われるくらいだから、その見た目も純真無垢が完璧だとかそういう意味が込められてるのだろう。てか、男の娘属性は許容範囲だから是非お持ち帰りしたい。【ウンディーネの秘湖】行ってからどうするか決めるか。
それにしても、何かを守ってるねぇ。
興味はないし俺の中で危険信号は発してるけど、何でだろう。
少しだけ気になるな。
何処か懐かしい気がする。
「ところで、この世界に本ってあるの?」
「えぇ、あるわよ。ここからじゃ遠いけど、図書館があるの。」
「へぇ、誰が管理してるの?」
「天使と悪魔よ。」
「は?」
こんな声を出しても仕方ないと思う。
どんな宗教だって天使を崇めた時必然的に悪魔を敵と見做してきた。
邪教はあるとすれど、天使を崇めることはない。つまり、陽と陰。正義と悪。静と動。どうやっても分かち合うことはない二極なのだ。
その2つの種族が管理してると聞いて驚かない方がおかしいだろう。
「あぁ、別に一緒じゃないわ。それぞれの区画に1つずつあるってこと。」
なんだ、俺の早とちりか。
悪魔と天使の共存もある意味面白そうだったし、そんな平和そうな世界なら死ぬ可能性も国造りの安定性も好転に左右しただろう。
楽はやっぱりさせてはくれないよなぁ。
「あー、びっくりしたー。驚かせんなよ。」
「そっちが勝手に勘違いしただけでしょ。」
本来なら険悪になっても良いのだが、お互いに笑い合う。彼女ともまだ出会って間もないのにこんなに親しみやすいのも大人の対応とやらなのだろうか?
それとも元からこういう性格で誰にでも優しいというのもありえる。
けど、このままで本当に良いのだろうか……。
後悔はなるべくしたくはない。
これは俺の教訓のようなものだ。自分の選択したものが如何なるものでも受け入れる。何故なら選択したのは自分だからだ。
自身を信じることはとても大切だと思うからこその教訓だ。
あのまま、あの世界で生きていたなら、全ての選択は全てにおいて自分で選ぶしかなかった。もし、用意されている選択肢があっても楽は出来てもそれを選びたくはない。
それは俺ではなく他人の選択肢だからだ。
いや、考えすぎか。
俺は昔から何事に対しても疑心を持ち深く追求してしまってた。
今は目的もあるんだし、それを先ずは達成しておこう。
「主様ー!」
「主ー!」
デレとアレが横に並んで話して居たはずだが、俺に向かって抱きついて来た。止まりはせず、そのまま歩く。
「二人ともどうしたんだ?」
「主様は、ドコから来たの?」
二人して同じタイミングで顔を覗いて来た。
タイミングを合わせる練習でもしたのだろうか。
てか、胸を押し付けるな!とは言えないし、この果実を暫く味わってるか。そんなことは顔には一切出さずに平然と答える。
「地球って言って、俺みたいな人しか居ないとこだよ。」
「へー、人族かぁ。サラマンダーとかアルラウネは居ないのかー?」
「あぁ、居ないよ。天使とか悪魔も居ないね。」
自分達が存在しないところから来たのはとても珍しいらしく。
興味津々で俺の顔面を凝視してくる。
彼女らにとっては俺は宇宙人と同じなんだろう。
物珍しい存在であるのはこちらもおなじだが、少なくともこの世界には過去に人が存在したみたいだし、宇宙人ではなくなるな。
でも、意味合いは一緒だ。珍しい存在という点においてはな。
そこからは二人の質問ラッシュが俺を襲ったが、話すにつれて聞きたいことがなくなったのか、はたまた疲れたのか、無言となった。
道中でゴブリンと出会ったのだが、出会いざまにその集団の主を瞬時に見抜き、俺へと襲い掛かってきた。使ってるデッキは初期デッキだったので軽く往なしておいた。
俺のランクはまだ1なので、4体で合計VP400貰えた。
お陰で1時間も時間が過ぎてったよ。
それと同時にわかったのはアルラウネとウンディーネが居ても、関係なく攻撃を仕掛けてくることだ。
彼らの価値観はわからないが、考えられるのは4つ。
1つ目は俺に攻撃したのであって、アルラウネやウンディーネは味方だと言う屁理屈。
2つ目に主がアルラウネやウンディーネでないから攻撃した。
3つ目に主が見たことのない種族の為に警戒をした。
4つ目にアルラウネとウンディーネとサラマンダーと多種族を配下にしてることからこの辺りの事情を知らないと思い攻撃した。
他にももしかしたら何かしら理由はあるかもしれない。本能に純粋というのも合わせれば5つか。何はともあれ、【ゴブリンの住処】に近づくごとに雑魚が突っかかってくるのは喜ばしいことだ。
危険なく、ある程度集められる。雑魚と言ったのもプレミが酷いからだ。
ゴブリンは見た目通り知能が低いのだろうか。
だが、予想は外れた。
視線は感じるが行く手を阻む者は居なくなった。
流石にこちらの力量を察したのだろう。
住処の門らしきとこにつくと、ゴブリンが大量にひしめき合っていた。
そして、騎士の格好をしたゴブリンが2人とその中央にはゴブリンにしては礼儀正しそうな女の人が立っていた。涎を垂らさず、醜い顔をしてるわけでもない。言うなれば、人とゴブリンのハーフと言えば良いだろうか。
「客人は久し振りなのですよ。とてもとても嬉しゅうございますが、私としてもゴブリンの誇りを守らなければなりません。あぁ、哀しいことなのです。」
涙をぽろりとこぼした。
それを片目で払い、こちらが無言であることに気付き、礼をした。
「私はゴブリンの姫にして王。ナルキスなのです。突然ではありますが、貴方に戦いを申し込みます!」
ピコーン!
効果音と共に、目の前に受諾画面が開かれる。
俺は「はい」を押した。
「俺は時坂 秀人だ。よろしくな。」
3体のゴブリンと戦ったが、勝利後に仲間にするかの選択肢が出てきたのを見て、これこそがこの世界における俺の権限だと理解した。
はいを押したのも彼女を手に入れるためだ。
カスタマイズすれば、もっと可愛くなるだろうしな。
お互いのデッキが浮遊しシャッフルされる。
5枚ドローし、お互いにライフとスキルが表示される。
俺のスキルは攻撃増加と戦闘特化攻撃(5)だ。
相手はライフ30で、攻撃増加と防御増加だ。
コインが表示され、高速で回転する。
表になったのはナルキス。
バトルスタート!
少し日が空いちゃいましたけど、次はボス戦ですねー。
ちょいちょい戦いは省略しますけど、まぁ、全部書いてても仕方ないですからね。
だからといって、ボスの連戦はないので大丈夫です!
ゴブリンのとこは言ってしまえば、サブクエストみたいな扱いですかね。
さて、次回もお楽しみにー!