第13話 「ラブレター、再び」
あれからもう3週が過ぎようとしていた。
雅のコミュ障は相変わらずだが、全く治ってない訳ではなかった。
和希と妹の那由とは、少しだが会話が成り立つようになった。
そして、それを見ていた他の生徒達も、少しだけ彼女に対する意識が変わったように見える。
雅もまた、自分の言葉を口に出せるように、日々努力している。まあ、あの3択カードを引くのは減る所か増えた気さえするが。
まあそんな感じで、順調に雅はコミュ障を克服していると言えるだろう。
友達としては喜ばしいことだ。
「そういえばさ、ナオ」
授業の休み時間中に、和希が後ろから話しかけてくる。
「ん、何?」
「最近逢坂さんとは結構うまくいってんじゃん?」
「まあ、最初よりは、な」
「そんでさ、正直どうなんよ。2人の関係は?」
何を言っているんだ?和希は。
確かに、最初よりは距離が縮まってると思うが、あくまでも友達としてだ。それ以上の関係ではない。
「別に、普通に友達だけど?俺には勿体ないくらいのな」
俺がそう答えると、和希は呆れた表情を浮かべた。
「はぁ……お前いつから鈍感主人公になったんだよ」
「いやだって、雅の方から友達になってくれって言ったんだぜ?」
確かに、彼女は少なからず俺に好意を向けてくれているとは思うが、それは友達としての好意だ。
それを勘違いして、もしかしたら俺のこと好きなんじゃないか、なんて勘違いをしたらまた恥ずかしい思いをするだけだ。
「……違うな。お前は鈍感主人公じゃなくて、ネガティブ陰キャ主人公だったか」
「おいおい、それはやめてくれ。俺は別にネガティブでも陰キャでもないぞ?」
ただ単純に、現実主義なだけだ。
主人公になんて、なれるもんならなってみたい。が、俺にはそこまでの資質はない。
「はぁ……まあ俺がとやかく言うことでもなかったな。……逢坂さんがちょっと可哀想だな」
最後の方が少し聞き取りづらかった。
「ん?最後何て言ったん?」
「なんでもねーよ。ほら、次の授業始まるぞ」
「ああ、そうだな」
ちょうど、次の授業の予鈴が鳴り、俺はロッカーに教科書を取りに行った。
ロッカーと言えば、最初に雅からの呼び出しの手紙。
あの時は、勘違いしてラブレターだと思って超焦ったっけ。
今ではいい思い出だな。
そんな風に昔のことを懐かしんでいると、ロッカーから1枚の手紙らしき封筒が落ちてきた。
「おいおい、俺は幻覚でも見てんのか……?」
妄想のせいで本当に幻覚が見えてるのかと目を疑った。
しかし、その手紙を実際に拾い上げ、中身を取り出して書かれた文章を読んだ瞬間、俺の脳は完全に思考停止した。
「これは……何かの冗談、か……?」
その手紙に記されていた内容を俺はもう一度読み返す。
────あなたのことが好きです。放課後、空き教室に来てください───
何度目をこすっても、文章が変わることはなかった。
「まじ……かよ……」
間違いない。これは流石に間違えようがない。
正真正銘の……ラブレターだ。




