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二つの世界を救う者達  作者: こんたろう
第一幕 東の勇者
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邂逅

「ようこそ、奴隷商ルマンドの館へ。」


そう言って、アレスを出迎えをしてくれた紳士は右手を左の腰あたりに回し、深々とお辞儀をする。


タキシード、白髪、くるっと丸まったヒゲ、たたずまい、完璧に”ザ紳士”である。


「はじめまして、ルマンドと申します。お名前をお伺いしてもよろしいですかな?」


「こんにちは、アレスです。ちょっと寄らせてもらいました。色々見せてもらってもいいんですか?」


「アレス様ですね。はい、もちろんでございます。ご案内させて頂きます。」


ルドマンに建物の奥へと案内され、アレスはそれついていく。


(どんどん精霊が増えていっている。これはとんでもない怪物だな。)


建物の奥に進むにつれて、精霊の数がどんどん多くなっていっている。


執事に大広間に通されると、20人程度の奴隷が立たされていた。


老若男女の人間がとりそろえており、顔色は悪くないため、ちゃんと食事はとれていることが予想できた。


奴隷は主に肉体労働や家事をさせるための貴重な労働力として、広く流通しているのだ。


しかし、この中には精霊から山ほど好かれている人物は存在しなかった。


というか、明らかに後ろの小部屋から精霊がわんさか漏れ出ていることがさっきから見えている。


「ルドマンさん、わざわざこの人たちを並べてもらって申し訳ないんだけど、あの後ろの小部屋にいる人を見せてもらえない?」


ルドマンは一瞬息をのんだ。


「どこでその情報をお知りになったのですか?」


「もちろん、企業秘密です。」


「・・・。分かりました、ご案内致しましょう。」


ルドマンはその小部屋を開けてアレスを連れて中に入る。


その小部屋の中には顔がそっくりな小さな二人の女の子がいた。


一人はキラキラと輝いているロングの金髪をしている女の子。


もう一人は清廉な印象を与えるロングの銀髪をしている女の子。


金髪の女の子はお姉ちゃんなのであろうかしっかりとした目つきでこちらをにらんでいる。


銀髪の女の子は妹なのであろう姉と思われる女の子にしがみつきながら不安な目でこちらを見つめている。


いずれも非常に端正な顔立ちをしており、絶世の美少女といって過言ではない。


そして二人とも猛烈な量の精霊に囲まれている。しかし、その精霊達はどことなく物悲しげに見える。


少なくともいつも俺の周りにいる精霊達よりはだいぶ大人しい印象を受ける。


「・・・魔族と人間のハーフ、か。」


アレスはぽつりと告げる。


「よく一目でお分かりで。その通りでございます。左の子がユフィ、右の子がソフィでご想像の通り、この二人は双子の姉妹にございます。年齢は12歳となります。魔族とのハーフということで、お取り引きは慎重にさせてもらっています。」


「ちなみにこの姉妹の料金はおいくらですか?」


「一人につき、金貨500枚になります。金額が金額ですので、分割払いなども対応させて頂きます。その際は身元が確かな・・」


「今すぐに一括で支払うから、この姉妹をゆずってください。」


ルドマンの説明を遮るようにアレスは姉妹の購入を宣言する。


「は!?いや、二人で金貨1000枚ですぞ!??」


「はい、今ちょうど手持ちがあるから大丈夫です。」


ちなみに金貨1000枚とは大豪邸が何軒も立つくらいの金額である。ルドマンがあたふたするのもやむなしである。


アレスには巷では伝説と言われるギルド【ミスリル】のメンバーであり、そのときに集めた資金が大量に残っていた。


その資産全部を使ってでもこの姉妹は手に入れたい。いや、手に入れなければならない。


おもむろにアレスは腰の革袋から金貨を取り出し、そばの机に金貨を置く。


「ほ、本当によろしいのですか??」


「はい、問題ないから、ちゃっちゃと手続きをしましょう。」


「わ、わかりました。では、奴隷の刻印を致しますので、少々お待ち下さい。」


通常、奴隷が誰かに購入された場合は、自分が奴隷であることを証明するための刻印をされる。


鉄を炎で十分に熱した上で、顔などに刻印をし、奴隷が自由に行動できないようにするためである。


「いえ、奴隷の刻印は必要ありません。」


「よろしいのですか?奴隷が逃げたりすることも十分考えられますよ?」


「大丈夫です。」


「では、そのようにさせて頂きます。」


ルドマンは金貨の枚数を確認し、アレスが署名した書類を確認して、手続き完了である。


アレスはユフィとソフィを引き連れて、ルドマンの館を後にした。





町の外れにある酒場に3人で入りテーブルに腰を落ち着け、アレスはユフィとソフィに話しかける。


「俺はアレス。ユフィとソフィ、よろしくな!」


「・・あんた、なんで私たちに刻印をしなかったのよ。」


アレスをにらみつけながら、挨拶もせずユフィはそう応える。


「嫌いなんだよ、そーゆーの。女の子の顔に刻印をするなんて、男のやることじゃない。」


「私たちが逃げてもいいっていうの?」


「逃げてどうする?今のままで二人とも生きていけるのか?」


「うっ・・」


「俺はユフィとソフィを一人前にしてやる。この世の中で自由に生きていく力を与えてやる。

俺にはそれができる。どうだ?悪い話じゃないだろ?」


「それは、そうだけど・・じゃなんでそんな高い金を払って私たちを買ったのよ・・?まさか・・」


「バカ。おれはロリコンじゃない。俺には目的があるんだ。そのためにユフィとソフィの力を借りたいんだ。」


「私たちの・・力?」


「あぁ。気づいてないかもしれないが、ユフィとソフィにはとんでもない魔法の適性がある。それを俺のために使って欲しい。俺の目的が達成されたら、俺の元から自由に去ってくれて構わない。」


「その目的って何よ?」


「まずは大陸一のギルドになって、そして、この国の軍事力を全て統率できるような立場になって、魔王を滅ぼして・・この後はいいか。とりあえず大陸一のギルドになることが目下の目標だ。」


「それで”目下の”目標なんてバカげているわ。」


「そうか?この3人なら2年もあれば大陸一を狙えると思うぞ。」


「あなた、本気で言っているの?」


「当然、本気だ。俺はやるといったら必ずやり遂げる男だ。」


「その根拠がどこから来るか分からないけど、とりあえずしばらくはそばにいてあげる。」


「交渉成立、だな。ソフィは、大丈夫か?」


「わ、わたしは・・・。おねぇちゃんが良いって言うなら、それで・・良い・・よ?」


ということで、簡単な挨拶をすませて、ギルドの登録を行うためにアレス一行はギルドへ向かうことにした。



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