案内
魔物達の戦いに勝利したアレス達。
一晩経った後、彼らにまた新たな出会いが待ち受ける。
魔物との戦いが終わった翌日、再度冒険者達はギルド本部の前に集められた。戦いの後片付けをするためだ。
その場に集まったのは約100人程度の冒険者達。そこには勿論アレス達の姿もあった。
その冒険者達を前にギルド長であるボーガンは重々しく言葉を発した。
「お主ら、此の度はご苦労じゃった。お主らと軍によるお陰で、なんとか魔物達を退けることができた。本当に、感謝する。」
巨躯を折り曲げ丁寧にお辞儀するボーガンを、冒険者達は音もなく見守っていた。
5秒ほどした後に、ボーガンは顔を上げ、苦々しい表情で続けた。
「だが、失うものもあった・・。おおよそ戦死した者の数は500人程度、このギルドからは3人の冒険者の命が失われてしまった。既に知っている者もおるかもしれんが、ゼン・ガーディン・ギースの三名だ。その三名に、黙祷を捧げよう。」
そう言って、ボーガンは瞳を閉じ、右手を胸に当てながら頭を垂れた。それに続き、冒険者達も思い思いの方法で祈りを捧げた。
町の中心から少し離れたギルド周辺は静寂に包まれた。
「うむ、ありがとう。」
「そして、今日集まってもらったのは、この戦の後片付けをするためだ。軍の関係者達は既に片付けを始めているが、圧倒的に人手が足りん。早くしないと、疫病が発生するやもしれんからのぅ。昨日の今日で申し訳ないが、我々もその作業を手伝わなくてはいけない。」
その後、ボーガンは冒険者達をいくつかのチームに分け、分担して作業を行うように指示した。それを受けた冒険者達は戦場跡に向うべく、城門に一同に進んでいった。
「おい、おっさん。俺たちはどうしたらいいんだ?」
「おぉ、アレス達か。お前達もご苦労じゃった。その一騎当千の活躍は聞き及んでいるぞ。」
「さすがに一騎当千は言い過ぎた。せいぜい一騎当百くらいじゃないか?」
事実、アレスが敵の本陣、ユフィ・ソフィ・レインが最前線、リリスが上空、とたった5人だが要所を抑えた彼らの働きは非常に大きな効果をもたらしたと言える。
「謙遜はよせ。アレス達がいなかったら、我々の被害は2倍以上であったことは確実だろう。」
「それは・・・否定は、しない。でも、わざわざ誉めるために俺たちをこの場に残した訳じゃないだろう?」
「あぁ、その通りじゃ。アレからお呼びがかかっているぞ。」
そう言ってボーガンはある方向を指差した。その方向をアレスは一瞥して、ふーと息を吐いた。
「・・だと思ったよ。」
みんな行くぞ、と告げてアレスはその方向に足を向けた。それに従いユフィやリリス達もそれに付いていった。
「気張れよ!」
後ろからかかる声に対して、アレスは歩みを止めずに右手をふらりと上げて応じた。
しばらく歩いた後、アレス達は大きな門にたどり着いた。「来る者は全部拒む」を体現したような門はしっかり閉じられており、そこには甲冑に身を包んだ5人の門兵がいた。
「ココからお呼びがあったんで来たんだけど・・。」
そう言って、アレスはギルド【ライオン】に所属している【アレス】であることを証明するギルドカードを門兵に渡した。
「あなたがアレス殿、ですか。国王がお待ちです。どうぞお通りください。」
そう言って門兵は合図すると、その城門が開けられた。
「こ、ここ国王、ッスか。」
思わず狼狽えるレイン。無理もない、実際に国王に会える機会など普通の民には与えられない。
「多分、昨日ことを思えば、こっちの方が怖くないぜ。」
足がガクガクになっているレインを尻目にアレスは城門をくぐった。
「う、ウッス!」
「す、すごーーい!!!キレー!!」
城門を抜けると、美しい大理石で城へと続く道が造られており、その周りには奇麗に刈りそろえられた芝生がアレス達を迎えた。一角には見たこともないような色鮮やかな花が咲き誇っている庭園があり、そこに設置してある椅子には見るからに高貴そうな女性が優雅に腰掛けていた。
ユフィとソフィがきゃっきゃっと騒ぐのも無理はない。"生きる"のに必死である一般の民にとって、これほど"生きる"と疎遠な光景を見る機会はほぼないだろう。
「無駄な美よのぅ。人間とは本当に面白い生き物じゃ・・・。」
そう言って感嘆しているのはリリス。魔族にとってもこのような一見無駄とも言える光景は見慣れていないであろう。
「分かってはいましたけど、金ってあるとこにはあるんですねぇ。ねぇ、キング?」
そう言ってレインに話しかけたが、アレスからの反応はない。アレスは思い耽っているように遠い目をしていた。どこか懐かしいような、悲しいものを見るような、そんな目をしながらその光景を瞳に写していた。
「・・って、あの、キング?」
戸惑いながらもレインはアレスの肩を叩いた。
「・・・あぁ、そうだな。」
ふっと我に返ったアレスは、生返事でそれに応じた。
ひとしきりその光景に感動した一同は、城へと向った。
城の入り口にも兵がおり、そこからはその兵が城の中を案内してくれた。
城の建物内部も贅沢をつくした限りであった。城の建物に入ったすぐの広々としたフロアには高価そうな壷や絵画がずらりと並べられていた。そのフロア一面には絨毯がしかれている。ここ踏んでもいいのかな?と恐る恐るソフィが聞いてくるのも無理はない。そのフロアの向こう側には、木でできた巨大な螺旋階段が佇んでいた。美しい曲線を描いたそれは希代の匠の意匠であることが伺える。
「こちらの上に、王はおわします。」
兵に連れられて、螺旋階段を上ったところにある、とある間に案内された。その兵がその部屋の中の者と二言三言やりとりするとそのその部屋の扉が開けられた。
「入られよ。」
部屋の中からする重々しい声に導かれるように、アレス達はその部屋の中に入った。
国王との謁見が始まる。
アレス達が呼ばれた理由は?
そこでアレスは何を話すのか!?
乞うご期待!
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新しい試みとして、前書きと後書きに、前回までのあらすじと次回のポイントを書いてみました。いかがでしょうか?




