終わりと始まり
〜1511年1月〜
エデン公国に存在する最も有名なギルド【ミスリル】は、そのギルド【ミスリル】を解散させた。
【ミスリル】に所属していた4人のメンバーはある約束を胸に、それぞれ向かうべき道へと歩みを進めた。
ある者は東へ、ある者は西へ、ある者は北へ。
この話は、歩みを東へと進めた者の物語である。
砂埃を巻き上げて一陣の風が荒野を駆け抜けていく。
風の如く荒野を駆け抜けている青年はおよそ人とは思えない早さで、荒野を東へと進んでいく。
数時間もの間、彼の視界にはどこまでも続く地平線のみが映っていた。
ふとその青年は、走るのを止めた。
その数瞬後、ドガッ!と勢い良く地面から大きな生物が現れた。
体長20mはあろうかというサンドワームと言われる魔物がその青年の前にその全貌を見せる。
しかし、その青年は慌てもせず、呼吸を整え、右手に集中をし始める。
そのサンドワームが青年に襲いかかろうとした瞬間、彼の右手から大きな炎が立ち上がる。
すっ、と差し出した右手を下ろすと同時に右手の炎が一段と大きくなりその魔物を覆い尽くし、焼き尽くした。
その青年は魔物の焼け跡を一瞥した後、何事もなかったかのように、再度東に向けて走り出した。
その後さらに数時間走った後、ようやく彼は地平線上に目的地を見つけた。
最小は小さな点だった何かが、近づいていくにつれ、徐々に全貌が明らかになっていく。
中心には城があり、その城から少し距離を置いて高さ20m程度だろう城壁が、その城をぐるりと囲っている。
「これが今の【イーストシティ】か。」
城門のそば100mぐらいの場所で立ち止まり、感慨深そうにつぶやいた青年はその城壁に向かい、再度歩き出した。
【イーストシティ】とは【エデン公国】の首都であり、【エデン公国】で最も栄えている都市である。
【エデン公国】の人口は200万人程度と言われているが、正確な人口は知られていない。
この【イーストシティ】は二つの区画に分けられている。
中央にそびえ立つ城がある区画と、その城を囲むように位置している城下町がある区画である。
そして城下町を囲むように、城壁がそびえ立っており、首都の名に相応しい立派な城と城下町となっている。
青年は城壁の一角に設けてある城門に近づいていく。
城門は開かれているが、城門の前に4人の兵士が立っており、彼らは談笑しているようだ。
青年がさらに近づき兵士との距離が10mほどになると、ようやく兵士たちもその青年に気付き、声をかけてきた。
「よう、あんちゃん。ここを通るためには、フードをとって、身分証明書を見せてくれ。まぁ今は、北のほうで起こっている戦争も小康状態だから、そんなに気を張る必要はないんだが、一応決まりなんでね。」
そう言われて、彼はフードをとった。
金髪で短く整えられている髪、透き通った青色の瞳、きりっとした目つき、すっと通っている鼻・・まるで白馬の王子様に乗っているような、西欧風な顔立ちをした美男子である。
そしてその青年は身分証明書代わりになるギルドカードなるものを兵士に差し出した。
「おう、あんがとよ。名前は・・アレスか。」
「あぁ、そのギルドカードで身分証明になるよな?」
「問題ないぜ。ちょっと待ってな。ギルドカードを持っているってことは、あんちゃんは冒険者か。ご苦労さんだな。そんで所属しているギルドは・・・【ミスリル】だって!??」
門番として立っている4人の兵士は一斉に色めき立つ。
【ミスリル】とは、この国の中で名実ともに最強を誇るギルドである。
「なぁ兵士さん、【ミスリル】ってのはそんなに有名なのか?」
「あったりまぇじゃないか!今もっとも熱いギルドって評判だぜ!噂だと、伝説級の凄腕が4人そろっているって聞いたが。まさか、あんちゃんみたいな優男が【ミスリル】、だなんてな。」
と目をキラキラさせて兵士は答えてくれた。
いつの時代でも、男は最強とかナンバーワンとかが大好きなのだ。
「そんな【ミスリル】のメンバーがなんで【イーストシティ】に来たんだ?今まで来たことなかったろ?」
そう問い掛ける兵士に対して、アレスはこう答える。
「この世界を救いにきたんだ」




