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こんな世界で大丈夫!?   作者: Dear
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一章 その8

***エリス視点***


僕は部屋のベッドに潜り泣いていた。

布団に包まれ僕には大きすぎる枕を抱え涙を流しながら思う。


…父様…僕の事が大事じゃないの……?

…父様…僕の事を大事にするって言ったのに…

…「大丈夫」って言葉は嘘だったの……?


今思い返すとかなり馬鹿馬鹿しい考えだったがこの時の僕はそんな風には考えられなかった。

不意にドアのノックの音が響く。

その音にビクッと驚きながら声を掛けた


「ヒクッ……誰です、か?」


しゃくりあげながら尋ねる


「エリス様。カイナです。ヴェルガ様が話がしたい、と申されております」


カイナさんは16歳ぐらいの容姿を持っているが実際の年齢は解らない謎のエルフメイドだ。(エルフは大抵の場合、見た目と年齢が一致しない)

最初は他のメイドと一緒で家事をこなしていたらしいが、僕が来て僕の専属メイドとなったフィオナさんと同じくらい好きだ。ただフィオナさんと違って太陽の様な金色の髪をセミロングにしており、目の色は燃える様な赤、いや"紅"だ。アズさんやフィオナさんと同じくらい美人さんである(て言うか、この家のメイドさん達は皆美人か可愛い人である)。


「…会いたく、ないと伝えて、下さい。

返事な、ら伝言する、かここに来て、ドアの前で話して、欲しいと」


今父様に会うとまた罵詈荘厳を言いそうで会いたくなかった。


「承知しました。その様にお伝えします。


……エリス様、差し出がましいかもしれませんが、私目はヴェルガ様はエリス様の事を大変大事にされていると思います。

失礼します」


解っている。信じたい。でも信じ切る事が出来ない。

あの時確かにアズさんの態度が我慢出来なかった。しかしあの時父様の言葉が僕の頭から離れない


"エ、エリス?お、落ち着くんだ。悪いのは私達・・・なのだかr…?!"


悪いのは僕達?おかしい…普段中々会えない父様と親子のスキンシップを取る事のどこが悪いのか?

となると、父様は僕とのスキンシップを嫌がっている(悪気がある)、としか考えられない。


イヤだ…父様に嫌われたくない…


唇を強く噛み締めると血が出て来たがそんな事も気付かず1人悶々と泣きながら考えた。


それから一週間僕は部屋から出てこなかった。



***ヴェルガ視点***

不味い…もう一度ちゃんと話をしたくてカイナに伝言を頼んだが、答えは苦々しい物だった。恐らく今話しに行ってもまともに取り合ってくれないだろう。

ハァ…やはりあの時アズ達を庇ったのが悪かったな…

あの後フィオナは目を真っ赤に泣き腫らし仕事も手に付かなかったので休ませた。アズは困惑しているが仕事に支障はきたさなかったのでそのままにして置こうと思ったがカイナに

「何故エリス様があそこまでお怒りになったか考えさせるべきです!!!」

と、強く主張してきたので(普段なら微笑を浮かべ大抵の事はスルーしてしまうので、ここまで彼女が感情を露わに激しく主張する事は珍しいのだ)アズにも休みを与えた。


そしてあれから一週間…エリスは部屋に閉じ篭りっきり。話に行っても、

「父様は僕の事など嫌いなのでしょう?

放って置いて下さい」

と、弁明も虚しく撃沈…

カイナによると水は飲むが食事は殆ど手を付けず一口食べていればいい方だとか…

このままでは森で出会った時の様に痩せ細ってしまうだろう。

一刻も早く誤解を正し、エリスに栄養をとってもらわねば…


その日の夜もう一度話そうと思い、エリスの部屋に向かった。


***エリス視点***


何だろう…?

頭がクラクラする…身体が暑い…蒸風呂の様だ……

体全体が倦怠感とフワフワした感じに包まれ、気持ち悪い……

まるで父様に出遭った時の様だ、何て事など考えているとコンコン、とドアがノックされた


「エリス?今いいか?」


噂をすればなんとやら相手は父様の様だ


「はい。ですが何の様です?もう貴方と話す事などありませんが?」


酷く突き放した言葉だ。何故大好きな父様にこんな酷い言葉を使うのか僕自身もよく解らなかった。


「ッ….!……いやまだ誤解を解いていない…」


息を飲む気配がする。

しかし僕の口は勝手にサラサラと暴言を吐く。


「誤解?…あぁ。貴方が僕の事を愛していない、と言う事ですか?」


「あぁそうだ。」


「勘違いしないで下さい。僕が貴方に愛情を求める事が最初から奇妙おかしな事だったのですから、お気になさらず」


不味い…これ以上は耐えられない…


「いや。何も奇妙おかしくないさ。

私は君の親だ。父親だ。愛情を注ぐのに充分な理由だ」


またいつもと同じ答え。

こんな事では僕の制御を失った口にかかればまた堂々巡りだ。


「なら何故あそこでアズさんを庇ったのですか?

僕達はただスキンシップをしていただけですよね?

それを貴方は"悪いのは私達"と言いましたよね?

悪いと感じる、つまりは僕が嫌いなのでしょう?なぜ僕に構うことを"悪い"と思うのに愛してると言うのですか?

ハッ!笑わせる…これ以上戯言に付き合いたくありません。もう放って置いてくれませんk…?」


ドサッ


突然身体から力が抜ける。目の前は僕の部屋の絨毯。


倒れた、と認識する前に僕の意識は無くなっていた。


***ヴェルガ視点***

ドサッ

会話の途中で何かの倒れる音がした。


「エリス?」


返事が無い。不味い!もしかして…?!


ガチャガチャ!


ドアノブを回すが開かない。クソッ…


ドンドン!

ドンドンドン!!


今度はドアを強く叩く。

叩きながら息子エリスの名前を呼ぶ。


「エリス?エリスッ!!開けてくれ」


シンと静まり返り返事が無い。

これは本格的に不味い状況だ…


「ヴェルガ様!どうなされました?!」


カイナが走ってこちらに向かって来た。

事情を話すと、


「エエッ?!エリス様が?!」


彼女は目を見開き驚いた。


「あぁ…ちょっと手伝え。ドアを蹴破る」

「宜しいので?ドア一枚にもかなりのお金が…」

「馬鹿者!!エリスに比べればドアの一枚や二枚などどうでもいい!

準備はいいか?3数えるからな?行くぞ…

1、2、3!!」


バァン!!


ドアを蹴破るとベッドの手前でエリスが倒れていた。


「エリス!?」「エリス様!?」


私は駆け寄りエリスを腕に抱き上げた。

軽い…エリスの身体は想像以上に痩せ細っていた。今すぐ治療をしないと死んでしまうだろう。


「カイナ!治療魔法が使える奴と魔法薬を持って来てくれ!!大至急だぞ!」

「はい!5分で戻って参ります!」


そう言うとカイナは火の身体強化を使い目に見えないスピードで出て行った。

私は随分と軽くなった息子エリスを抱き上げ、ベッドに寝かせる。

髪は艶を失い、頬は痩せこけ腕や足は木の枝と同じくらいではないかと思うぐらい細くなっていた。


「エリスッ……!!死なないでくれッッ!!」


すっかり変わってしまったエリスの手を握り呟く。



次回は和解編になると思います。

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