第155話
第155話
ラグが再び踏み込む。
速い。
先ほどまでよりも踏み込みが深い。疲労があるはずなのに、動きが鈍らない。それどころか、むしろ鋭さが増していた。
レオンが迎え撃つ。剣がぶつかる。重い衝撃が腕に伝わる。だが、今度は押し返されなかった。レオンの踏み込みも鋭くなっている。
ラグが笑う。
「いいな……!」
連撃。レオンが捌く。だが、ラグはすぐに攻撃を変える。下からの斬撃。レオンが流す。その瞬間、体当たりに近い押し込みが来る。
レオンが後退する。ラグが追撃。剣が迫る。レオンが受ける。金属音が響く。
観客席がざわつく。
「まだ互角か……」
「ラグってやつ、やばいな」
レオンは冷静だった。呼吸を整える。ラグの動きを観察する。攻撃の癖。踏み込みのリズム。
ラグが再び踏み込む。横薙ぎ。レオンは半歩ずれる。流す。返しの一撃。ラグが防ぐ。だが、その防御がやや遅れる。
レオンが追撃する。踏み込み。剣がラグの防御を押し込む。ラグが後退する。
流れが変わる。
観客席がざわつく。
「押してる……」
「流石にレオンの方が上か」
ラグが笑う。
「やっぱ強いな」
だが、すぐに踏み込む。疲労を感じさせない動きだった。連撃。レオンが捌く。再び激しい打ち合いになる。
数十合。
剣が何度もぶつかる。互いに一歩も引かない。観客席が静まり返る。
ラグが大きく踏み込む。強烈な一撃。レオンが受ける。衝撃。だが、今度は押し込まれない。
レオンが踏み込み、反撃。ラグが防ぐ。だが体勢が崩れる。
レオンがさらに踏み込む。剣がラグの肩口に触れる。ラグが後退する。
呼吸が荒い。だが、まだ終わらない。
ラグが最後の踏み込みを見せる。全力の一撃。レオンが受ける。衝撃が腕に伝わる。だが押し込まれない。
レオンが流す。踏み込み。一閃。ラグの剣が弾かれる。剣先が喉元に止まる。
静寂。
ラグが息を吐く。
「……参った」
試合終了。
観客席がざわつく。
「いい試合だった……」
「ラグ・フォルド、強かったな」
「レオンもやっぱり強い」
レオンが剣を下ろす。
「強かった」
ラグが笑う。
「代表、いけよ」
「ああ」
ラグが闘技場を降りる。レオンも戻る。
ガイウスが笑う。
「いい勝負だったな」
レオンが息を吐く。
「……かなり強かった」
ルシアンが静かに頷く。
「ええ。戦闘能力はSクラスにも引けを取りません」
レオンが苦笑する。
「Bクラスってのが不思議だな」
「そうですね」
ルシアンが淡々と答える。
その頃――別の試合場。
ノエルの試合が行われていた。
対戦相手はBクラス一位。
エドガー・レイン。
長身で細身の青年だった。短い茶髪に冷静な目つき。無駄のない立ち姿で、ただならぬ気配を放っていた。
開始直後から激しい戦いになる。
ノエルの動きは速い。短剣を使った機動戦。だがエドガーの反応も速い。正確な防御でノエルの攻撃を受け流す。
ノエルが踏み込む。連撃。だがエドガーは最小限の動きで回避する。反撃。鋭い突き。ノエルが跳ぶ。
打ち合いが続く。
観客席がざわつく。
「ノエル苦戦してるな……」
「相手、かなり強いぞ」
エドガーは冷静だった。焦りがない。ノエルの動きを読み、確実に追い込んでいく。
数十合。
ノエルが押される。
防御が崩れる。
剣先が突き付けられる。
ノエルが舌打ちする。
「……参った」
試合終了。
観客席がざわつく。
「Bクラスの一位強いな……」
「Sクラスでも負けるか」
さらに別の試合場。
ヴァルクの試合。
対戦相手はAクラス一位。
ディオン・アルクス。
黒髪の青年だった。整った顔立ちだが、目つきは鋭い。静かに構える姿から、強い自信が感じられる。
開始。
ヴァルクが踏み込む。
だが――
ディオンの反応が速い。
剣を流す。
返しの一撃。
ヴァルクが防ぐ。
だが押される。
打ち合い。
数合で実力差が見える。
ヴァルクが踏み込む。全力の一撃。ディオンが防ぐ。余裕のある動き。
観客席がざわつく。
「Aクラス一位……強いな」
「Sクラスでも厳しいかも」
ヴァルクが攻め続ける。
だが防がれる。
ディオンが反撃。
鋭い連撃。
ヴァルクが押される。
最後は剣を弾かれる。
剣先が突き付けられる。
ヴァルクが息を吐く。
「……負けだ」
試合終了。
観客席がざわつく。
Sクラスからも敗退者が出始めていた。
三回戦終了。
残る人数はさらに減る。
代表の座まで――あと少し。
一年生武闘大会は、さらに激しさを増していくのだった。




