タピオカミルクティーの閃き
急遽追加でカフェをオープンさせることになったが、やっぱり何か猫に絡めて展開したいよね! ってことで自宅に帰っても俺は思案中だ。
猫カフェのオープンは一週間延期することも視野にいれている。
「なあ、なんかアイデアない?」
楓と紅葉に問いかけてみるが、返ってくるのは可愛らしいサイレントにゃーである!
サイレントにゃーとは何か!? それは耳には聞こえないが、魂に響くにゃーである!
じっと見つめられてゆっくりと瞬きして、口だけ開けて無言でにゃーされると、もう何でも言うことを聞いてしまいそうになる、恐ろしい音響兵器である。
『にゃ~ん、にゃ~ん、にゃ~ん』
サイレントにゃーに悶えてると、猫電話のお呼び出しだ。
「もしもし」
『ソフィーです、今大丈夫?』
「うん、大丈夫だけど、何かあった?」
『アンナがね、新しいお菓子を作るから、明日食べに来てって』
一人で悩んでもしょうがないし、二人に相談してみるか!
というわけで、次の日はアンナの家で試食会です――
「はい、アンナちゃん特製フルーツタルトよ!」
それは見た目にも美味しそうなフルーツたっぷりタルトである。こっちの世界にあるフルーツも多々盛り付けられている。
「アンナ凄~い!」
「にゃ~う!」
ミカエルさん、君は食べちゃダメだよ。
「こっちのフルーツも使ってるんだね」
「そうよ、タケルはこっちで野菜とか果物食べた?」
「うん、食べたよ」
「「おいしいよね!」」
思わずアンナとハモってしまった。そう、こっちの世界の野菜や果物は、地球と比べてとても美味しい。そんなフルーツ盛りだくさんのタルトである、期待しかない。
「あと、これも約束通り作ったわよ」
「ありがとう! アンナ、大好き!」
そしてテーブルに置かれたそれは、大きめのプラカップに入ったミルクティー??
「タケル君も、タピオカミルクティーを飲んだことあるんでしょう?」
「ああ、タピオカか、懐かしいね」
「電話で話題になったから作ってみたのよ、タピオカは手作りじゃないけどね」
飲んだことあるけど、店によっては激甘なんだよね。このミルクティーは果たして……。
「もうちょっとカップが可愛かったら文句なかったんだけど、贅沢は言えないわよね。さあ、食べましょう!」
そうそう、みんなプラカップを持って歩いてたよなぁ。観光地はゴミだらけで怒ってたけど……。
「こ、これだぁぁぁぁぁ!!」
「な、何!?」
「タケル君、どうしたの?」
「いやいや、二人ともありがとう、ちょっと悩んでたんだけど閃いちゃったよ! まあそれはそれとして、食べよう!」
名案を思い付いた俺は、フルーツタルトにかぶりつき、ミルクティーを味わう。
「甘いけど、美味い! アンナ、最高だよ!」
そして、俺の興奮も落ち着いて、二人に悩んでいたことを打ち明けたんだが――
「ふ~ん、いいんじゃないかしら。猫のイラストが入ったプラカップでお茶を提供するのね。で、イラスト入りのカップはどうするの?」
「あっ……」
あわてて検索してみるが、そんな都合のいい商品はなかった。
「作れないのですか? 家を作ったり出来るタケル君なら、簡単じゃないのですか?」
「家は作れるけど、これはちょっと守備範囲外というか……そうか!」
守備範囲外なら専門家に相談すればいい!
「ごめん、ちょっと席を外すね」
二人に断って、俺は一度も使ったことがない音声チャットを起動する、相手は創造神さまだ。
『待ち続けて一年……長い! まあワシにとっては一瞬じゃったがの』
初めて話した創造神さまは、何故か初めてな気がしなかった。神様っていうのはみんな、こんな感じなんだろうか。
「初めまして創造神さま、タケルです。便利なスキルをありがとうございます」
『うむ、ワシが創造神じゃ、元気そうで何よりじゃの』
「はい、お陰さまで。それで相談があるのですが――」
『――話は聞かせてもらった! 猫の悩みを一発解決、猫ノートを授けよう!』
「まだ、何も話してないんですが……」
『そこはそれ、ワシ神様じゃから! それはそれとして、猫ノートじゃが、それに書いたものが実現する夢のノート、神アイテムじゃ!』
自分で神アイテムって言っちゃったよ!
創造神さまから、猫ノートの説明を受けたが、創造神さまと猫神さまの審査が入るけど、書いたことが現実になるノートらしい。
今回のことであれば、猫のイラスト入りプラカップを、ニャマゾンで取り扱いして欲しいと書けば解決するってことだった。
詳細なイラストを書いたりすれば、それがそのままイメージとして商品化されるようだけど、内容によっては商品価格、コストが増えていくっぽい。
あと、召喚した猫の数や満足度でポイントが貰えるようで、書いた内容によってポイントを消費するから、万能というわけでもなさそうだ。
『では、タケルよ、さらばじゃ! ……いつでも呼んでくれていいんじゃよ?』
名残惜しそうに、創造神さまは騒々しくログアウトしていった。
「しかし、猫限定とはいえ、とんでもないアイテムをもらってしまったな」
思い付いたアイデアを実現する手段を手に入れた俺は、アイテムをさらに活用すべく、エルナさんの家に向かった。
お読みいただき、ありがというございます。




