クライマックスフェイズ
いよいよクライマックスフェイズ。
大切なものを守る戦いを、どうぞお楽しみください。
萩村を連れて電波塔の方角へと飛び去ってしまった電光月下、稲見月子。半年前にFHとの戦闘で命を落としたはずの彼女は何故か生きていて、今度はUGNに敵対している。さらに彼女はFHによって改造を施されており、とても普通の精神状態ではなかった。
そして連れ去られた萩村も心配だ。亡くなったはずの恋人が突然目の前に現れたのだ、動揺し、正常な考えが出来ない状態だろう。
だがこのままでは電光月下の手によりS市が破壊されてしまう。それだけは阻止しなくてはならない。
「急いで二人を追うぞ!」
S市支部のエージェント達に近隣の被害確認と一般人の救助を命じ、双葉はジバシとノハラの二人を連れて月子の後を追った。
彼女が飛び去っていったのはこの街の中心にある巨大な電波塔だ。屋外展望台なども併設されていて、このS市が誇る観光名所の一つになっている。
その電波塔に近づくにつれ、オーヴァードである三人にはレネゲイドウィルスの力がはっきりと感じ取れるようになる。まるで電波塔そのものに何かの力を蓄えるかのように、レネゲイドウィルスの力が渦巻いているのだ。
「一体、何をするつもりなんだ……」
ただならぬ気配に、双葉は唸るように呟いた。
「いや、支部長。むしろ今がチャンスです。何かが起きる前に止めないと!」
「でも、あの電気はまずいわ……!」
同じブラックドッグのオーヴァードであるノハラは、あの電波塔に渦巻くレネゲイドの力の恐ろしさを他二人に比べ敏感に感じ取っているようだ。いつも陽気でお調子者な彼女が、いつになく真剣な表情で警告する。巧みに雷を操る彼女がそこまで警戒するほど危険なのだと、双葉とジバシも気を引き締め直す。
やがて三人は電波塔の足下までたどり着いた。塔に渦巻くレネゲイドの気配は、特に電波塔の頂上にある屋外展望台から感じられる。おそらく、稲見月子と萩村紫電の二人はそこにいるのだろう。
「ノハラ、いざという時は雷の防御を頼んだぞ」
「頑張ります、支部長!」
三人はエレベーターに乗り込み、屋外展望台へと向かった。
エレベーターはぐんぐんと上り、すぐに展望台へたどり着く。
日は既に沈み、時刻はもう夜。空には満月の月明かりが、そして展望台から見渡す地上には電力によって灯された街の明かりがそれぞれ輝いている。静かな展望台の端で、このS市の夜景を見下ろす二人組の姿があった。萩村紫電と稲見月子だ。
「あら、お客さんが来たみたい」
「あぁ、そうだな……」
二人はエレベーターがやってきたことに気がつき振り返った。
変わらない、朗らかで明るい表情の月子。そして対象的に何かを思い詰めたような表情の萩村。しかし萩村のその瞳には確かな決意の色が見て取れる。
萩村は展望台にやってきた三人を見据えて問いかける。月子と双葉の間を塞ぐように立ちふさがった。
「一応、確認しておきたい。お前達はなにをしにここに来た?」
「萩村、お前を救いにきたんだ!」
「救う、か……」
親友を助けにきたんだと、双葉は強く叫んだ。しかし萩村は疲れ切ったように呟くだけ。
「月子さんは死んだんじゃなかったのか! どういうことだ、萩村!」
「俺だって、詳しいことは分からない。けれど月子が言うには、半年前におきたFHとの戦闘の後に奴らの手で回収され、一命を取り留めたらしい。その際に色々な改造をされたんだろうな……」
戦闘で右腕を失い、機械の腕を取り付けた萩村。それと同じように、月子は怪我を負った身体をFHの手によって機械にすげ替えられ、命を繋いだのだ。その際に様々な悪意ある改造を施されて。
「萩村さん、あなたは今、正気じゃないはずです。戻ってきてください!」
月子の側を離れようとしない萩村を説得しようと、ノハラもまた声を張り上げる。
「正気じゃないのはよく分かっている。けれど月子は、困ったことに、この街を破壊したいらしいんだ」
「な、何を言っているんだ萩村! 早くこっちへ来い!」
「俺はもう、彼女の側を離れるわけにはいかないんだ」
機械に置き換わった右腕を構え、萩村は月子を守るように立つ。その後ろには何も変わらないように笑う、しかしFHの手によって改造されてしまった月子が左腕に内蔵された銃身を露出させた。
「萩村、お前……何をするつもりだ」
「何を……?」
「迷う必要はない! こっちへ戻ってこい!」
萩村は首を振って悲しげに笑い、夜空に浮かぶ月を見上げ独白する。
「双葉……お前は昔から凄い奴だったよな。お前ならそこにいる二人の部下も、そしてもっと沢山の人だって守れるんだろう。けれど、俺には無理だった。たった一人の恋人すら、守れなかったんだ……!」
血を吐くように絞り出される、萩村の心の叫び。後悔と苦悩を滲ませるその姿に、双葉たちは息を呑んだ。
「だからこの場だけでも愛する月子を守りたい。なぁ、双葉。俺は間違っているのか? 大切な人をこれ以上傷つけられたくないんだ!」
UGNのエージェント達はそれぞれが大切なものを守るためにレネゲイドの力を使う。そしてその想いはレネゲイドウィルスの力に飲み込まれないための強い楔となる。己の欲望のために力を使い他人を傷つけるジャームに成らないための、強い楔だ。
だが、萩村の願いは愛する恋人を守ることだ。そして一度失ったその恋人をもう二度と失わないため、彼は今こうして双葉達に立ちふさがっている。
「萩村さん、月子さんはFHで改造されて正気じゃないんです!」
「正気じゃないのは、俺も分かっている! けれど目の前で恋人を二度も失う悲しみに、俺は耐えられない! だからお前達が月子を倒すというのなら、俺はそれを全力で阻止する!」
「そ、そんな!」
変わらない萩村の意思。言葉ではきっと、もう伝わることはない。双葉は静かに覚悟を決めた。眼鏡の奥の瞳に、負けないくらい強い意志を込めて萩村を睨み返す。
「そうか……。萩村、お前がそのつもりなら、立ちふさがるといい。俺はお前を超えて、月子さんを止める!」
「ああ、分かった」
そこではじめて、思い詰めた表情をしていた萩村は悲しげに笑った。
「……なぁ双葉。約束を覚えているか? 俺たち、支部長になったら誰かを守れるような奴になろうって約束したよな」
それは二人がまだUGNの駆け出しエージェントだった頃の話。二人で笑いながら誓い合った、ささやかで大切な約束だ。
「俺は、月子を守る。だからお前は仲間を、そしてこの街を守ってみせろ!」
萩村は機械の右腕に雷を、そして左腕に炎を纏い、戦闘態勢となる。さらに稲見月子がレネゲイドの力を解放し、ワーディングを展開した。
膨大なエネルギーとともに展開されたレネゲイドウィルスはオーヴァード達の闘争本能を刺激し、双葉たち三人はレネゲイドが囁く衝動に飲み込まれそうになる。
だが大切なものを守り通さなければならない。その強い意思の力でレネゲイドがもたらす破壊衝動を抑え込んだ。
月子はワーディングで展開したレネゲイドウィルスを操り、降り注ぐ月の光のエネルギーを雷に変換している。そしてそのエネルギーを自分に、さらにこの電波塔に蓄えているようだ。
それはまるでこの電波塔そのものを砲身とする、巨大兵器のエネルギーを蓄えているようにみえる。電波塔に蓄えられた膨大なエネルギーが雷として解放されれば、このS市は瓦礫すら残らず消し飛ぶだろう。
彼女を止めなければならない。
双葉は愛用のハンカチを翻して二丁拳銃を作り、銃口を萩村へ向ける。
ジバシは自らの血を操って剣を作りだし、右手に握る。
ノハラは雷をその身に纏い、いつでも撃ち出せるよう構えた。
月下、電光を纏った二人との戦いの幕があがる。
まず動いたのは電光月下、稲見月子だ。彼女は月の光をレネゲイドの力で雷撃に変えチャージし、改造された左腕の銃口からレーザーのように雷撃を放つ。
鋭く横に落ちる落雷は目にも止まらぬ速さで空気を焦げ付かせ、双葉の胴を焼き切るように貫いた。防御を許さない神速の雷撃。致命傷を食らった双葉は、両手で傷口を押さえて苦痛の表情を浮かべた。
「支部長!」
思わず駆け寄ろうとするジバシを手で制し、双葉はレネゲイドをコントロールして傷口を塞いだ。治癒の為に急速に活性化したレネゲイドウィルスの副作用である破壊衝動を意思の力でねじ伏せ、双葉は二丁拳銃の照準を萩村へ向ける。
「萩村、お前は俺が止める!」
双葉は萩村の構えから防御が甘い場所を素早く看破。正確無比な射撃を放つ。
だが萩村はその場を動かなかった。
月子を背に庇い、萩村は飛んでくる弾丸を右腕の雷と左腕の炎を駆使して焼き払う。さらに双葉の予想を超え、防ぎきれなかった弾丸は自らの右腕ではじき飛ばした。
「萩村、そこをどいてくれ!」
「ここを通すわけにはいかない!」
一歩も引かない萩村。守ることに長けた彼の防御はまさしく鉄壁だ。
再び月子がレーザーを放つために雷撃のチャージを開始する。
だが同じ雷撃使いとしてノハラも黙ってみているわけではなかった。自らのレネゲイドウィルスを活性化させて発電し、さらに足りない電力を月子がチャージしている電波塔から奪う荒技に出る。電波塔に渦巻く月子のレネゲイドに干渉し、ごく一部ではあるが制御権を奪い取る。そして蓄えられた雷撃をその身に引き出した。
これにより月子よりも早く雷撃のチャージが完了。右手を突き出し、月子目がけて落雷を撃ち出す。
ところが、鉄壁を誇る萩村はこれすら防いでみせた。
放たれた雷撃に対して自らも右腕から雷を放ち、威力を相殺。自然現象では発生しえない落雷同士の衝突により眩い閃光と膨大な熱が空気を灼いたが、ノハラが放った雷撃は月子のもとへ届かなかった。
雷撃が衝突した閃光の隙をついて、ジバシが獣のように踏み込んだ。
血剣を振りかぶり、雷撃をチャージしている無防備な月子に接近する。
その両者の間に萩村は身体を滑り込ませた。機械の右腕でジバシの血剣を受け止め、はじき返す。さらに左手の炎を叩きつけ、ジバシの身体を焼いた。
思わぬ反撃を食らったジバシは素早く飛び退き体勢を立て直す。
三人がかりの猛攻を防ぎきった萩村は肩幅に足を開き、絶対に攻撃を通さない死守の構えだ。愛する恋人を守るために自らの犠牲を厭わないその立ち姿は彼の強い決意の表れ。
月子に近づくには、彼の守りを突破しなくてはならない。
萩村に守られ十全の時間を得た月子が、雷撃のチャージを完了した。
左腕の銃口が再び双葉へと向けられる。そして空気を切り裂く雷撃が放たれた。
双葉は回避しようと身をよじるが、音速をゆうに超える雷撃に反応しきれない。胴を撃ち抜かれて、双葉はたまらず膝をついた。
「……やっぱり、いつまで経ってもお前には敵わないな、萩村!」
傷口をレネゲイドで修復し、双葉は強がりながら彼を称える。防御という舞台では、双葉は萩村に勝ち目がない。
だからこそ、双葉は自らの武器を最大限に活かす。ノイマンの能力を活かし、萩村の防御を突破してみせる。
双葉は両手の二丁拳銃を萩村に向けた。萩村は背後の月子を庇い、その場で守りの姿勢だ。
その萩村をつぶさに『観察』し、彼の弱点を見極める。ノイマンの頭脳をフル回転させ、これまでの行動、彼の性格から防御のパターンを予測。さらに機械化された右腕の構造上脆い部位を見抜き、回避しきれない体勢へ追い込むことでそこを正確に突くための弾道計算。
まるで詰め将棋のように計算されていく最適解。未来予知のような推論を、今ここに実証する。
右手の拳銃を発射、炎により焼き払われる。――計算通り。
左手の拳銃を発射、雷により迎え撃たれる。――計算通り。
さらに二発、萩村が右足を一歩下げる。――計算通り。
さらに三発、左手を大きく振るって迎撃、姿勢が逸れる。――計算通り。
両手の拳銃の残弾は一発ずつ。――計算通り。
脳内ネットワークではじき出されたシミュレーション結果をなぞるように、双葉は渾身の一撃を放つ。
「――萩村。せめて、俺の全力で倒れろっ!」
「――負けてたまるか!」
体勢が崩れた萩村の右腕へ拳銃弾が直撃する。関節部の脆い位置へ、最適な入射角で飛び込んだ一撃が萩村の右腕を砕いた。
萩村の表情が驚愕に染まる。金属のパーツが散らばり、彼は防御の要たる右腕を失った。
そして飛来する最後の一発。それを受け止めるはずだった右腕は崩壊している。双葉の渾身の一撃は計算と寸分違わず、萩村の守りをくぐりぬけて彼の心臓を貫いた。
明らかな致命傷。萩村は血を吐き、倒れ――ない。
レネゲイドの力で傷を修復し、肩で息をしながらも萩村の戦意は衰えていない。右腕を失い、それでもなお月子を守るために執念で立っている。
「萩村ぁ!」
「まだだ……まだ倒れるわけにはいかない。俺は、月子を守るんだ!」
満身創痍で血を吐きながら叫ぶ萩村。
双葉に続くようにノハラとジバシが萩村を倒すべく攻撃を仕掛ける。
ノハラが雷撃を放つ。しかし萩村は失った右腕の先から雷撃を放ち迎撃。
「駄目よ、ダメージが通らないわ!」
「なら俺が!」
血剣を握りしめ、ジバシが斬り込む。右腕を失い攻撃を防ぎきれない萩村は、なんと自らの身体でジバシの剣を受け止めた。右肩で強引に剣を受け止め、突き刺さる刃を左手で握り返し、命を燃やし尽くすような炎で反撃をする。血剣を蒸発させる炎熱でジバシを退けた。
傷口から血を流し、萩村は決死の表情で立つ。だがその背に庇われている月子はただ静かに笑っているだけ。
恋人が血を流しながら必死に自らを守ってくれているが、それをもう正確に彼女は認識できていないのだろう。月子の行動はこのS市を破壊することに注がれていて、彼女の心はここにはないのだ。まるで人形のようになってしまった月子を必死に守り抜こうとする萩村の姿が痛ましい。双葉は唇を噛みしめた。
満月の光を一身に浴び、チャージを完了した月子は清らかに笑う。左腕の銃身が雷撃を蓄え、眩い光を帯びる。
そして次はノハラへ撃ち出された。ノハラは咄嗟に雷撃をぶつけて相殺しようとする。
だが数瞬の拮抗の後に、威力で勝る月子の攻撃に押し切られた。相殺しきれずにレーザーがノハラの身体に突き刺さる。
「なんて強力な雷撃なの!」
ノハラは同じ雷撃使いとして、月子の一撃におののく。
これ以上は限界だ。時間が経つほどに月子の操る雷は威力を増している。電波塔に蓄えられたエネルギーは臨界点間近で、いつ放たれてもおかしくない。
だからこそ、次で終わらせる。
双葉が両手の拳銃に弾を装填しなおした。渾身の一撃を受け止め、それでもなお恋人を守ろうとする萩村に目がけ銃弾を放つ。
「全力で月子を守ってみせろ!」
右腕を失い、傷だらけの萩村はもうその銃弾を防ぐことが出来ない。それでも攻撃を月子に届かせないよう、その身を弾道にさらし受け止める。身を挺して月子を守った萩村紫電は、しかしそこで力尽き倒れた。
これで月子を守るものはなくなった。ノハラとジバシの二人が月子へ肉薄する。
ノハラが雷撃をその身に落とし、全身に稲妻を帯びる。そして膨大な電力を集約し、月子目がけて放った。
月子も同じく雷撃を放ち、その攻撃を相殺しようとする。眩い閃光と衝撃が展望台全体を大きく揺らした。
月子のチャージが不十分な状態で放たれた攻撃だったがこの場での雷の制御能力は月子に軍配があがる。全てを防ぎきることは出来なかったものの、ノハラの攻撃の大部分を打ち消した。攻撃を受けても月子は軽傷で済んでいる。
だが続くジバシがその隙を突いて、ようやく月子へと刃を届かせる。
月子は咄嗟に身を引こうとしたが、ジバシの踏み込みのほうが速かった。
ジバシは自らの心臓を抉るように手を胴体へ突き入れる。自傷行為により心臓から流れ出る大量の血液を固め、操り、一際巨大な剣を両手に持った。そして大きく振りかぶる。
「眠れ……月下美人」
上段から振り下ろされる一撃は、まるで夜空の満月ごと切り裂くような太刀筋だった。
ジバシの一撃が月子の身体を切り裂く。彼女の目から意思の光が揺らぎ――ゆるやかに彼女は活動を停止した。
月子のレネゲイドにより電波塔へと蓄えられていたエネルギーは霧散する。これでS市が破壊されることはもうない。
双葉は自らの傷を庇いながら、倒れた萩村の元へ歩み寄った。彼は大怪我を負い、もはや立ち上がる余力はない。しかし薄れゆく意識の片隅で自らが敗北したことを悟り、うわごとのように呟いた。
「また……守れなかったのか……」
それからゆっくりと首だけを動かし、双葉の顔を見る。
「双葉、お前はやっぱり強いよ……」
「……萩村、お前だって強かったさ」
倒されていたのが双葉であってもおかしくなかった。しかし互いに譲れないものをぶつけ合い守りあった戦いは、双葉の勝利で幕引きとなった。
「俺は何を間違えちまったんだろうなぁ……」
萩村は最後にそう呟き、意識を失ってしまう。双葉は傷が痛む身体で萩村を背負い、UGNへと連れて帰ることにした。
その一方で、倒れた月子の元へはノハラが駆け寄った。彼女は月子の身が心配であると同時に、彼女の身体に接続されていたレーザー光線銃や飛行スラスターが気になるらしく、興味深そうに彼女の身体を調べ始めている。
するとそこでノハラは気がついた。
稲見月子はジバシの攻撃を受けて活動を停止している。しかしブラックドッグの力で動いていた機械化部分や意識は停止しているが、彼女の生命活動までが停止してしまったわけではないようだ。いわゆる、仮死状態のようなもの。
ノハラにはあまり知識がないため分からないが、適切な処置がなされれば彼女の命も救うことができるかもしれない。
ノハラはすぐにそのことを双葉とジバシに伝えた。
S市を守るために自ら斬り倒した相手だが、決して命を奪いたかったわけではない。ジバシはその報告を聞いてすぐに双葉に提案した。
「彼女もUGNに連れ帰りましょうか」
「そうだな、それがいい」
「じゃあ、私が月子さんを運ぶわ!」
既に萩村を背負っている双葉、最後の一撃の反動で満身創痍のジバシ。この二人を見て、ノハラは自分から名乗り出る。月子を優しく背負い、そしてさりげなく彼女が使っていた飛行スラスターも回収していた。抜け目がない。
三人は電波塔を降り、駆けつけたUGNの医療班に萩村と月子を引き渡した。医療のプロフェッショナルである彼らにより、すぐに適切な治療が施されることだろう。
月夜の雷鳴から始まったS市を揺るがすこの事件は、こうして双葉・ジバシ・ノハラの三名の活躍により幕を下ろした。
次回はエンディングです。




