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ミドルフェイズ5

 翌日、双葉・ジバシ・ノハラの三人は揃ってS市の外れにある空き家を訪れていた。

 いや、「元」空き家と呼ぶ方が正しいだろう。そこは昨夜の落雷で火災が発生した現場だからだ。SNSを通じてその事を知ったノハラの助言に従い、その火災現場をUGNが抑え今朝から調査が行われている。

 三人もまた、実際に事故が発生した現場を見ることで何か情報が得られないかと足を運んだ。S市支部長の萩村紫電は別現場の視察に行っており、手分けして調査した後に情報共有をする手筈となっている。

 三人は現場を警備しているS市支部職員に声をかけた。


「お疲れ様です」

「あぁ、お疲れ様です。皆さんがM市支部の方々ですね?」

「はーい、そうでーっす☆」


 朝から元気なノハラを横目で見て、ジバシは「コイツチャラいなぁ……」と思わず愚痴をこぼした。警備をするUGN職員も苦笑いだ。

 代わりに双葉が前にでる。


「ああ、M市支部長の双葉だ。中を覗かせてもらうぞ」

「ええ、話には聞いています。どうぞこちらへ」


 彼に案内され、三人は立ち入り禁止のテープをくぐり現場内へ入る。

 落雷現場は同時に火災が発生した後で、焼け落ちた住居や外壁などがそのままになっていた。その周囲で燃え残った残骸や焼け跡の灰などを採取し、レネゲイドの証拠があるかを複数名の調査員が調べて回っている。

 双葉はその内の一人に声をかけ、今の状況を尋ねた。


「色々と調査をしているのですが、成果は芳しくありません。というのも、やはり落雷現場の状況だけからレネゲイドの関連を調べることが難しく……。ただ、通常の落雷に比べ雷のエネルギーがとても大きいようです。これほどの雷が自然発生するのは滅多にないです」

「落雷か……まさかお前が落としたんじゃないよな?」


 報告を受けた双葉が、ともに来ているノハラを振り返る。彼女はブラックドッグのオーヴァードであり、雷を操って戦うからだ。

 冗談の混じった視線だが、ノハラは本気で自分が疑われているのかと焦り出す。


「し、支部長……?」

「お前……やれるよな? やりかねんよな?」

「そんなことないですよぅ!」


 普段はノハラに振り回されてばかりいる双葉の意趣返し。慌てるノハラの姿に満足したのか、小さく噴き出すと調査員に話の続きを促した。


「それと、他の落雷現場とも関連するのですが、どうも落雷現場が不自然なんですよね」

「へぇ、どういう風に?」


 ジバシが疑問を挟んだ。


「S市は小さな町とはいえ、中心部には大きなビルもあります。そちらには高い建物が集まっていますし、避雷針もあります。なのに雷は大抵が住宅地から離れた場所に落ちていて、町の中心部には落ちていないんですよ。特に、あんなに目立つ電波塔だってあるのに。あれだけ高いと真っ先に雷が落ちそうなものですが……」


 彼は遠くに視線を向ける。その先にはこのS市のシンボルともいえる電波塔があった。

 S市の中心にそびえ立つ大きな電波塔この町で最も高い建物で、展望フロアから見る景色は圧巻。S市の観光スポットの一つとなっている。

 だがその分、雷雲による被害を最も受けるのではないかと考えられていたが、今のところ電波塔を含めて中心部のビル群に落雷被害は出ていない。


「まぁ確かに?」

「どうですか? 我々調査員よりも戦闘経験のある皆さんから見て、何かレネゲイドの気配を感じたりはしませんか?」


 彼ら調査員も手詰まりなところがあったのだろう。新たな意見はないかと、彼は双葉たちに促した。


「血液があれば俺の《ブラッドリーディング》でどうにかできたんだが……」


 血液を操るシンドローム、ブラム=ストーカーを発症しているオーヴァードのジバシ。彼の力を使えば、事件現場に残された血痕から犯人の正体を探り出すようなことも可能だ。

 だが今回の現場はあくまでも落雷による火災現場で、人的被害はない。彼の力を十全に使うことは出来ない状況だ。


「ノハラさん、ブラックドッグのあなたから見てどう思いますか?」

「確かに気になるな」


 意見を求められたノハラはぐるりと現場を見回した後、むむむ、などと唸りながら。


「雷も、いつも高いところに落ちるワケじゃないと思うんですよぉ。きっと、雷もそんな気分じゃなかったんですよ☆」


 とんちんかんな答えで、調査員の男の笑顔を引きつらせた。


「そ、そういうものなんですか……?」

「そうですよそうですよ!」


 このメンバーでは一番雷に親しいであろうノハラが熱弁するので、調査員の男は思わず彼女の意見を信じそうになる。


「またお前はIQの低いコメントを……」


 呆れたようにため息をこぼし、双葉は眼鏡のずれをなおした。


「雷はお友達ですから!」

「……じゃあ犯人はお前なのでは?」


 ジバシの投げ槍なツッコミに、ノハラは表情を変えて慌てた。


「では、我々は引き続き調査を進めます。調査内容についてはまた後日報告書を纏めます」


 調査員の男は一礼して現場検証へと戻っていく。

 双葉たち三人も現場を離れ、一度S市支部へと戻ることに。

 残念ながらあまり成果を得られなかった。しかし、やはりこの落雷事件には不自然な点が多い。真相解明のため、調査を続ける必要があるだろう。


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