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ミドルフェイズ4

 それぞれが独自に情報を集めてきた双葉、ノハラ、ジバシの三人。彼らは一度S市支部へ集まり、互いに得た情報を報告していた。

 双葉が手に入れたFHの情報をもとに、アジトへ攻撃を仕掛ける作戦が立案される。さらにノハラが得た情報から、落雷現場の保存のためUGNの調査員がすぐに派遣された。

 そうして互いに一通りの報告と今後の対応が取り決められた後、ジバシはふと思い立ち、稲見のことを双葉に話した。それは日頃女性との縁があまりない双葉に対するささやかな自慢も含めて。


「支部長、実は今日、美人と一緒にクリームパスタ食べてきたんですよぉ~」

「……そ、それは興味深い話だな」


 動揺に声と手を震わせる双葉。彼へ自慢話のように稲見とのやりとりを語ったジバシは動揺する双葉の様子をみて意地の悪い笑みを浮かべる。


「他の店でパスタ食べてくるとか裏切りだぞ!」


 双葉はこれでも、M市支部の表の顔として喫茶店を経営する身だ。その店では軽食も扱っており、パスタも数種類がメニューにある。余り物で調理することも簡単なので、賄い飯としてジバシにもよく作ってやるのだが。

 しかしジバシは困ったような苦笑いを浮かべる。


「だって支部長のパスタ、美味しくないから……」


 まさかのカミングアウトに、双葉はショックを受ける。呆然とする双葉を残し、ジバシは仕事があるからと立ち去った。

 双葉は疲れたようにこめかみを抑える。ショックから立ち直るにはまだもう少し時間がかかりそうだ。

 だがその反面、脳内では冷静な分析を行っていた。

 内容はパスタの味について――ではなく、稲見月子について。

 ジバシから伝え聞いた話によると、稲見月子という女性は最近にこの町へ引っ越してきたばかりらしい。まさか裏があるとは思わないが、時期が時期だ。念のためにも調べておいた方が良い。

 双葉はすぐに指示を出し、稲見月子という女性の裏を洗った。




 部下から上がってきた報告書に目を通し、双葉は表情を曇らせた。

 彼の手元にある報告書、その内容は稲見月子についての調査結果だ。

 報告書には、こう記述されていた。


『近隣住民の話によると、最近にこの待ちへ引っ越してきたばかり』

『夜間にどこかへ出かけている姿が目撃されているが、行き先は不明』

『調査の結果、S市へ引っ越す以前の情報が一切つかめなかった』


 UGNの調査力は並のものではない。しかしそれでも以前の足取りが掴めないのは異常と言えた。少なくとも一般人のそれではない。

 調査の結果、断片的な情報すら得られず、隠蔽の痕跡すら見つかっていない。ということはかなり巧妙に隠蔽されているのか、それとも本当に情報が存在しないか、だ。

 夜間に外出している目撃情報もある。だが、黒と断じることも出来ない。あまりに情報が少なすぎる。


「何だこの不自然さは……怪しい」


 双葉は悩んだ。この情報をジバシやノハラに伝えるべきか、否か。

 しかし悩んだ末に首を横に振った。不確定な要素が多すぎる。ジバシやノハラが彼女と接触する機会を考えたときに、下手な先入観を与えることは避けたかった。

 だからといってこの不自然さを見逃すことも出来ない。


「……これは少し『観察』してみるか」

 

 一人、思案顔で呟くその真剣な表情は支部長としての辣腕を窺わせる。

 双葉は引き続き、稲見月子に対する極秘の調査を進めることにした。

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