表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不遇幼女に転生した私、悪役令嬢に拾われて何故か溺愛されてます 〜貴族生活楽しい!〜【3万PV感謝!】  作者: ペンギンの搾り汁
序章 《不遇幼女編》

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/47

第一話



 その日、仕事が終わって会社の最寄駅に着いたのは、午前一時を回った頃だった。


 すっかり疲れ切った私の体が訴えているのは、痛みなのか、空腹なのか。

 あるいは、その全てなのか。もう、よくわからない。

 ただ一つ確かなのは、明日の朝もまた、あのオフィスに行かなければならないという絶望だけ。


 物寂しい駅のプラットホームで、何度目か分からない溜息をつく。

 手から滑り落ちたカバンが、ドサリと音を立てて地面に転がった。


 拾おうと身を屈めた、その時だ。


 ――ブオォォンッ!!


 耳をつんざく警笛が、静寂を切り裂いた。

 強烈なヘッドライトの光が、視界を白く染め上げる。


 迫りくる鉄の塊を前に、不思議と恐怖はなかった。

 ただ、ぼんやりと「ああ、明日は会社に行かなくていいんだ」なんて、場違いな安堵が頭をよぎり――。


 衝撃は、一瞬だった。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 次に意識が浮上したのは、それからどれくらい経った頃だろう。


 全身を走る鈍い痛みと、焼けつくような喉の渇き。

 ゆっくりと目を開けると、そこは病院の白い天井……ではなかった。


「……っ、う……」


 湿った冷たい空気と、鼻を突く鉄錆てつさびの匂い。

 カビと埃、そして何か腐ったようなよどんだ臭気が立ち込めている。


 視線を彷徨さまよわせると、視界に入ってきたのは無骨な鉄格子だった。

 石造りの床、冷たい壁。窓はなく、どこからか漏れ出る微かな光だけが頼りだ。


(なに、ここ……?)


 牢獄。あるいはおり

 そんな単語が脳裏に浮かぶ。

 大嫌いな上司にこき使われて、ようやく死ねたと思ったら、今度はこんな薄暗い場所に放り込まれたというのか。


 あまりの理不尽さに涙がにじむけれど、泣き叫ぶ気力さえ残っていない。

 ふと、床についた自分の手に違和感を覚えた。


(……ちいさい?)


 視線を落として、息を呑む。

 そこにあったのは、大人の私の手ではなかった。

 

 骨と皮だけのように痩せ細り、枯れ枝のような腕。

 身にまとっているのは、ボロボロの布切れ一枚だけだ。

 触れれば崩れ落ちそうなほど劣化したその布からは、枯れ木のように浮き出た肋骨ろっこつが覗いている。


「あ……」


 唇から漏れた声は、鈴を転がしたように高く、そしてかすれていた。

 

 状況は飲み込めない。けれど、本能が理解してしまう。

 私は、死んで生まれ変わったのだ。

 

 この、今にも死んでしまいそうな、あわれな幼子の体に。


 鉄格子の向こうは漆黒の闇。

 助けを呼ぼうにも、声は出ない。

 

 こんな体で、明日も生きていられるのだろうか。

 私の二度目の人生は、絶望から始まったようだった。

【お知らせ】私が運営している『なろう診断鬼』というサイトでは、タイトル診断だけでなく、本文の診断、そして投稿スケジュールの管理等全機能をログイン不要で利用できます!

作家の方は、ぜひ利用してみてください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【作家必見】
あなたの作品を徹底分析。
タイトル・あらすじ・文章力を
『鬼』が辛口診断します。

なろう診断鬼を試す ➔
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ