ビビり英雄へ最初の一歩
☆
目の前にシロクマ(幼体)が居ます。
こっち見てる、やべえフワフワだ目がクリクリっとしてる。
凶悪に可愛いいぃ!
……いや、落ち着こう。
僕はケモナーじゃない。
[判断力が戻りましたか]
(傷は浅いぞしっかりしろ)
うん。
ごめんなさい。
称号を替えてもらったんだ。
ありがとう、助かった。
気が動転していたみたいに感じていたけど、今の「魅了」だ。
全く自分が手に終えない。
感情が突っ走るってコレか。
危ない、これは、怖いスキル。
……僕もこんな風にしてしまったかも、知れないんだね。
「……初めてお目にかかります。私はスライ。我が神カレン・メディエイタは妖精界に、現状把握と忠告に参りました」
深呼吸をしてから、告げる巾を告げると、後ろに張り付いていたザンスさんが横の重臣の列にならんだ。
「ああ、まあ。異界の肥大化についてだね」
「話が早く、助かります」
[では、極大化について伝えましょう]
「まあ。そうそう。私は妖精界の王、オーベロンマフィオグリンガム。汝の神の声なら聞こえるのでそのままどうぞ。極大、と申されましたな?」
……スゴいな。
見た目とは全然違う。
さっきの「魅了」も、常時発動だし、カレンさんの結界を貫通してた。
(ザンスさんとは格が違いますなあ)
[……現世界の神々は、周期的な肥大化では留まらぬ、異界の極大化を予見しています]
ここに来る前、村に居る時に既に情報は共有したけども。
怖い話。
下手をするとアドラス側は滅んでしまうかも知れないんだ。
(世界を救うと言っていいのでは?)
うん。
世界を守るけど、今回だけかもね。
全力は尽くすよ。
回りくどくても出来る限り。
「まあ。妖精界では境の力に揺るぎは見られません。この先も綻びる事はないと思っておりますが…… 極大化については…… 試算させましょう」
隣に居た文官らしき女性(小さい)に、ぼそぼそと相談している。
文官は駆け出し隣室へ消えるが、直ぐ様戻ってきて本(大きい)を開き、算盤で計算し始めた。
ソロバンだ!
ちょっとほっこり。
(表情変えてないけど、色々考えてるね)
王様だもん、傲慢では何も維持できないでしょ。
偉い人は可能性を洗い出して、予見出来る限りの対策を巡らせるモノだよ。
(ふうん。スライ向きじゃん?)
う~ん。
いや、まだまだ足りないと思ってる。
「まあ。異界の侵食は世界側に集中する、と見込まれます。こちらには何もして差し上げられず申し訳ありませんが……」
試算が終わったらしい。
文官は本を開いて見せてるけれど、うん。
読めない。
しかし予想通り過ぎて肩透かしだね。
(カレンさんスゴい)
[はい。私達はこれから、あちら側の境目に補強と強化を掛けに行きます]
「解りました。まあ。こちらも警戒体制を整えましょう」
[もしも異界の極大化で被害が起きた場合には、私にもお知らせくださいますか?]
「いえ、まあ、こちらはこちらの世界を維持する者がおります。そちらの世界には維持管理するべき者が足りておりませんから。そちらにご助力ください。こちらにはお気持ちだけで結構ですよ」
[では、この件に私は必要無い、と?]
「まあ。そこまでは申しません。他の有事には是非とも」
[分かりました。では、妖精界はお任せしますよ]
「はい、まあ、抜かり無く」
(名探偵カレンさんだー☆)
うわあスゴ過ぎ。
お見事です。
予想はほぼ的中しました。
異界の極大化を忠告する。
→知ってるし大丈夫だ。orこちらには影響しない。
→手を貸そうか?
→いらない。or何かあったら言う。
この流れで重要な部分は手助けがいらない、を確約させるという事。
今後、何があっても反論させない為に。
お任せします、に「抜かり無く」と。
聞いたよ。
確かに。
……今回の予測値をちゃんと知っていたら、今の反応しなかったかもね。
僕ならどう、返しただろう。
「すみません、お話し中。少々宜しいでしょうか」
「……おや、まあ。汝は正気を保っているのですね、素晴らしい」
(いけしゃあしゃあと)
大丈夫、こっちのペースだよ。
僕も仕事しなきゃ。
「あのう、僕、こちらは初めてなのですが……」
「まあ。何かをしたいなら、言ってごらん」
「はい、ネモリカが入り込めない堅牢な境目を、この目で見てみたいです!!」
[これ、いけませんよ。まだ向こうでの仕事があるのに]
「ははは、まあ。宜しいではありませんか、神よ」
(かかったあ)
「良いんですか!?」
「構いませんよ。ジレドレに案内させましょう」
「ありがとうございます!!」
(演技派)
部分的に忘れて、本気で感謝感激してるのだけど。
(これが神の愛し子のパゥワーか)
[手間を掛けますね]
「いえ、まあ。この程度のもてなししか出来ず」
いつの間にか金色のボールを玩ぶ妖精王。
回りからきゃあきゃあ言われてる。
「では、僕は見学してから……」
[私も居ないと結界が維持出来ないでしょう。ご一緒します]
「ははは…… すみません」
ちょっと情けない従者のまま、退出します。
「では異邦の神よ。またご拝謁出来る事を楽しみにしております」
妖精王に別れを告げて、謁見の間を後にした。
ここからはジレドレことザンスさんが先導してくれる。
扉を二つ三つ抜けてから、忘れる事を忘れた。
えー、回りに居た人達、みんな礼もしなかった。
今目の前に居るザンスさんも、後ろに居る兵士らしいエルフ(小さい)も、みんな偉そう。
(王様はシロクマなのに腹黒だったね)
玉座から一回も降りなかった。
ちょっとイラッ☆ちゃった。
(創造主こそがホントの神で、他は隋神か従属神と捉えてる?)
それでも、カレンさんが大切に扱われないのは嫌だ。
[……スライ……]
(イチャイチャは後でヤッて。見えてきたよ)
また風景が加速するが、今度は回りが見えている。
城の通路、装飾や建造物の内部構造、配置。
城から出て暫くすると神殿に案内され、其処から一気に天上山と言われる「境目」へゴンドラが上昇していった。
「この方術…… ギフトに近い?」
これこそエレベータだよ。
村の地下に行く手段として欲しいなあ。
「何だ、詳しいな。真なる神の御技はこの様に力強く素晴らしい物なのだ…… 小さき我等に真似など出来はしない」
(諦めてる奴には何も出来ないっしょ)
「スゴいですねー(棒)ややっ、あれが天柱、ですか?」
「そうだ。真なる神が我等に賜われた至高なる宝」
イメージとしては山の火口からそのまま光の柱が空に伸びている。
近付いてみると、音はないが緩やかに風が巻き起こっているらしい。
ゴンドラの扉にかかった絨毯が揺れる。
この光の柱は境を維持する方術。
光を産み出す火口…… 御鉢回りに設置された7本の槍と台座が本体。
これが…… 天柱……。
これを、複製すれば。
アドラスの方にも堅固な境を造り出せる。
(がんばれ、スライ)
[これは、今、貴方にしか出来ない仕事です]
……はいっ。
気合いを入れよう。
天柱を見上げ。
鍛えた力と、技術を振るうよ。
(ミッションスタート!)
スライ・オーニス Level=10
年齢=6才 状態=覚悟(スキル底上げ中)
職業=精霊使い見習い 称号=神の愛し子
ギフト=「壁無き友垣」対話、心理学、人類学、生物学、多言語の優良性
「狙い違わぬ指」目星、回避、隠密、追跡、投擲、技能数値への補助
スキル=「全種族魅了」封印中
「構成編集」
精神力向上(特)
集中力向上(特)
状態異常耐性(特)
常時体力回復(上)
常時魔力回復(上)
身体強化(特)
スキル倍加(特)
魔法倍加(特)
常時詠唱破棄
命の加護(周囲の闘争禁止)
稀人の加護(幸運)
英霊の加護(呪い無効)
学習指導(中)
悪戯耐性(中)
身体俊敏化level.6/10
片手剣術level.7/10
盾・両手操作level.7/10
演算強化level.5/10
説法技術level.3/10
魔法=無属性魔術(上級)
空間魔術(中級)
黒魔術(上級)
白魔術(上級)
精霊魔法(中級)
ミュゼラ・オーニス Level=0
年齢=6才? 状態=魂(スライの中)
職業=なし 称号=なし
ギフト=「狙い違わぬ指」目星、回避、隠密、追跡、投擲、技能数値への補助
「壁無き友垣」対話、心理学、人類学、生物学、多言語の優良性
スキル=「構成編集」
魔法=?




