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冒険は推奨レベルを超えてから~ビビりだけど幸せ求めてがんばります!~  作者: 爆微風


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ビビリがビクビク商いをします

初めては誰でも乗り越えなくてはいけない『試練』ですが、何かトラブルや不測の事態があった方が、得られる経験としては高くなります。

経験は、自分に自信を持たせてくれる武器ですね。



 ☆




 新年明けてしまいましてビビりです。

春です。

この世界では一年の始まりは春なんです。


そして、馬車も荷物も、準備完了。

商売の勉強も少しずつさせてもらいました。


僕の覚悟だけがまだ未了。


しかし準備段階で現実がボディを抉る。

交渉売買資格価格非公開締結、全部が僕の名前……。


うーん、うーん……。


夢なら醒めて……。


今日は陽射しも暖かい。

お出掛け日和ですね。


……諦めよう。

そうしよう。



気持ちは逃避したまま、先ずは山羊人(パーン)の村へ。

馬を使って半日の距離ですので割と近い。

購入希望のあった荷物は大麦、香辛料、塩、魚の干物、そして卵。

あとは、+α。

馬車と荷車で運びます。

暖かい風が、海岸沿いの海猫桜(ウミネコサクラ)の真っ白い花を揺らす。

綺麗だなー。


「馬車道まではゆっくり牽いてこー」


川沿いの道から逸れ、馬車は坂を上る。

レモ姉ちゃんは嬉しそうに馬に並んで進む。

因みに、馬は村長さんからの貸し出しです。


「荷物が軽くて滑りやすいから、後ろは気を付けてくれ」

「任せろ!」


ラカエさんに心配された荷物を確認し、ブルク兄さんは元気にサムズアップ。


「荷車(こちら)はちゃんと留めてありますから」


サクラさんは、周りへの警戒をしながら荷車を牽いている。

さすがは人馬族(ケンタウロス)。

一人荷馬車。


馬車の御者台には僕とラカエさん。

直ぐ後ろの箱には、籾殻の中に卵を埋めてある。

牧畜民(となり)の村に、卵や魚を納品するとは思わなかった。


「鶏が殆ど食われたなんて不幸だなあ」

「……魔物が増えて困るのはどこでも一緒さ……」

「ですね」


つい前日の事。

隣村が襲われた。


黒鎌蛇(クロカガチ)の群れが東へと渡って行ったのだが、駄賃とばかりに養鶏場が食い荒らされ、鶏が100羽居たが生き残りは数羽という惨状だったそう。

他にも豚や牛、羊に大きな被害があった。


黒鎌蛇(クロカガチ)はとても大きな蛇。

例えるならコブラだが、二回り以上大きく、その襟部分に刃物の様な鱗があり、広げた時は左右に鎌の様に伸びる。それでも気付いた村人たち山羊人(パーン)の吶喊角(ラムレーサー)に撃退されて、人的被害は無かった。


「白鉈蛇(シロマガチ)が南方で暴れてるとか。それに追われて黒鎌蛇(クロカガチ)が此方に来たのかも」

「その白鉈蛇(シロマガチ)ってのは、じゃあ何で暴れてんだ」

「縄張りの競合か、上位存在に気圧されたか…… あ、番(つがい)を喪うと暴れるとか」

「あら素敵ね」

「理由は素敵でもー、暴れるのは無いなぁ」


女性陣はそれぞれの評価を下しているけど、ラカエさんは酷評。


「番(つがい)を喪わなくてはならん現状を招いた己に苛立ったなら仕方ないが、ただ暴れるだけなら生き物として低級だな……」


商人の性(さが)なのか、物事だけでなく何に対しても上下を見るクセがあるのです。

えー…… あくまでも予測ですので……。

まぁ、最初の目的地までは平和でした。

で、到着しまして。


「……値引きはしません」

「……出来ない相談だ」

「この現状を見て同情もせんのかい」


しますよ、同情。

してますが。

普段の行いって、大事なんですよ?


僕らの到着後の一言目。


「やっと持って来たか」

「ノロマ」

「出し惜しみすんなよな」


とかとか……。

心荒んでるにしてもヒドイな!?

そんな奴らに売ってやるだけ優しいなとラカエさんにも言われました。

せめて聞こえない陰口でよろしく。


「塩が5箱と大麦が5袋、胡椒、山椒、生姜が各1袋。干物は120枚。卵を50個」


ざっと計算すると……。


「生産価格は約金貨8枚。輸送費と手間賃で……」

「いや…… 迷惑料と指定輸送費とを上乗せするべきだ……」

「かっ! 小僧共が足元見てきよるとは世も末だ」


死んでしまった家畜肉を余らしているからと、物物交換を言い出す村長さんを黙らせて。

先生主体で交渉が進み、結局、金貨9枚と銀貨2枚になりました。


「ふんっ餓鬼共が」


今回限りの商いにしておけとラカエさんは言う。

こんな利益にならない相手も居ない、と。


商いは信頼だ。

信頼とは相手を認めることだ。

技術だけでなく、性格だけでなく、そのものを。


今回、実は、大安売りしてる。


そしてそれを知りながら小言を言い、次回が有ればこの値段のまま交渉してくるだろう事が窺える。

この場で必要な信頼とか信用とかに、悪感情を構えて台無しにする相手は商売人として付き合えない。

先生は最初からこの商隊に必要性がない、稼ぎにもならない、悪い見本としてしか価値がない、と言っていた。


こういうのはやっぱり、僕に向いてはいない。

でも大事な仕事だ。

食材は飢えない為に必要不可欠。

それにもってきたのは商品だけじゃない。


「あと、これはレクラスさんとボランドーさんから」


燕麦と馬鈴薯、人参と南瓜。

こちらは救援物資。


「……貰えるモンは貰っとくわい」


この村から引っ越して行った人からの差入れ。

ちゃんと気持ちが伝わればいいなあ。



 ☆



さてさて。


バザーの前に現金が出来たので、ラカエさん経由で海の民の技術者に頼んで、村長の家に金庫を設置してもらいました。


村人からも助成金として、出しあってもらった。

足りていたらもらうつもりなかったけど、高かったんだよなぁ……。

まあ人魚さんに多少値引いて頂き、大きく重たい特製の金庫が。

この村に。

ぱっぱらー。


鉛と銅と、アルミニウム?

合金鋼だけではなく、組み合わせて作られた金庫だそう。

これからの村の財産はここで管理してもらいます。

いやしかし、海の民には色々な職能の人達が居るなー。



 ☆



……海の民の自治法のもと、雨月露天市が開催。


しかしここで、お知らせです。

ラカエさんとサクラさんが結婚いたしました。


おめでとうございます!


サクラさん、水棲馬(ケルピー)のラカエさんが魔物を追い払う時に見せた本来の姿に惚れてしまったんだそう。

先生(ラカエさん)も実はサクラさんに一目惚れしていたらしく、村の中に家を建てる予定。

なので、サクラさんとテレコ姉ちゃんが選手交替となりました。


「……電撃結婚だったなぁ、先生……」

「そーね、そんな感じよねー」

「挨拶回りで大変そうだった」

「ふっふーん。私はこうなるんじゃないかと思っていたりしたわ」

「サクラさん、嬉しそうにしてたもんね」


そして、本来の予定通りマブリさんがラカエさんの替わりに合流。

荷造りをして、出発ー。

バザーの開催地までは馬車だと二日。

今回は船での移動です。

朝出て昼前に到着。

早。


大渦(カリュブディス)の南にある入り江が臨時の船着場になっていて、そこから荷運びをします。

大渦の流れで船は労なく進むし楽チン。



臨時港から荷車で引き上げてすぐ、もう賑やかな声が響いていた。

元々のここは、南から北への馬車道と、東へ分岐する三叉一帯が均(なら)され、平地が広がっていた。

そこに露店商が道なりに列び、広場には道に沿うようにさらに店が列び……。

露店でできた町が、あった。


辻市、と言う形式らしい。


道沿いに並ぶのはまず食べ物の屋台。

大きな天幕の並ぶ広場には業者が、海側の区画に生産者が品を出すのだそう。


今回のウチの品物は神魔石を含んだ魔力結晶がメイン。

食料は、米、麦類、香辛料、塩。

村で余らせている分だけ持って来た。


肉は無し。

果物は少し。

救援販売しちゃったからなー。


さぁ…… 本番だ。


……期待より不安がデカいよう……。

先生居ないし。


「おいでなんしー」


あ、濃い人が来た。


「こんにちは。本日は宜しくお願いします」

「あいあい、宜しくされましょう、いたしましょう」


商売姉妹とも呼ばれている海精霊(ネレイス)の一人。

彼女達は様々な国に巡り、状勢把握と商いに通じている。


「ティエルレンテンレイマが名において良い商いにいたしましょ」


……それぞれの名前が、まあまあ長い。


「こないだの方はハニシャットリペラントさん? でしたか」

「? ……ニハシャッラトリペリンスですね」


……惜しい…… いや、すみません。

名前は覚えなくて大丈夫と許してくれた。

自分達も自分の名前位しか全部しっかりとは覚えられないそうです。

……うん、一部なんだ、これでも。



 ☆



では、結果発表ー。

テレコ姉ちゃん参戦で、食料は軒並み完売。

おにぎり美味しい。

米文化大革命。


しかし、現金は残りませんでした。

口車に乗せられたとしか思えない……。


まあまず神魔石。

一個金貨9枚て。


金貨9枚て!


20個持ってきてました。

全て完売!

魔力結晶は50個、不揃いなので全部で金貨11枚。

今回の売り上げは、合計金貨198枚銀貨7枚。


そして精錬魔術釜が、売ってた。


[情報が流れていたんでしょうか]


どうなんだろうね。

海の民は恐い。

しかし、金貨92枚でいいって言う。

……破格。


[その他を一緒に売りたかったのはあるでしょうね]


その店に並ぶのは錬金術や魔道具作成の専門書、釜焚きの台、燃料、撹拌装置、試薬、試験管、そして欲しかった琥珀。

全部のせじゃん。

他に見て回っても、この店にしかこんな専門的(マニアック)な品物はなくて。

買っちゃった…… ごめんなさい。


[皆さん納得ずくですよ。それぞれの土産は別に買っていた様ですし。あぁ、琥珀は値引かれませんでしたね]


でも30個全部売ってくれたから、嬉しかったー。

村の周りに配置するには足りないかもだけど。


皆で昼と夜のごはん食べたら銀貨9枚しか残らず、船賃が片道銀貨3枚。往復分引いて、残り銀貨3枚。

今回のバザーは収穫としては勝ち、売買としては負けと感じています。


次は、ちゃんと蓄えるぞー。


[やる気に満ちている様で何よりですね]


……乗せられている感はあります。

はい。


スライ・オーニス Level=7

状態=育ち盛り

職業=商人見習い 称号=誠実な徒弟(神の愛し子)

ギフト=「壁無き友垣」対話、心理学、人類学、生物学、多言語の優良性

    「狙い違わぬ指」目星、回避、隠密、追跡、投擲、技能数値への補助

スキル=「?」

    精神力向上(大)

    集中力向上(大)

    身体強化(小)

    学習指導(中)

    悪戯耐性(小)

    身体俊敏化level.5/10

    片手剣術level.6/10

    盾・両手操作level.6/10

    演算強化level.2/10

魔法=無属性魔術(上級)

空間魔術(初級)

   黒魔術(上級)

   白魔術(中級)

   精霊魔法(初級)



レモテトラ・ゴォド Level=18

状態=献身(充実)

職業=鍛治士見習い 称号=なし

ギフト=「研鑽の重ね」目星、聞き耳、投擲

スキル=炉の護り手(小)

    道具整備(大)

    併せの呼吸level.6/10

    耐熱・耐火(中)

    調理(小)

    縫製(小)

    調理師Level.1/10

魔法=無属性魔術(中級)

   黒魔術(初級)



ブルク・アーモウ Level=17

状態=健康

職業=農家の伜 称号=短気鯰(ウォバス)

ギフト=「刻む足跡」聞き耳、跳躍、回避

スキル=農作業(中)

    道具整備(中)

    体力向上(中)

    武具自在(小)

魔法=無属性魔術(中級)

   黒魔術(初級)



テレコ・レクラス Level=11

状態=偏恋(充実)

職業=農家の娘 称号=水耕の担い手

ギフト=「弛まぬ水車」回避、聞き耳、水泳

スキル=水流操作level.8/10

    泉精霊(ナイアデス)魔術level.7/10

    農作業(中)

    調理(小)

    縫製(小)

    清掃(中)

    調理師Level.2/10

魔法=無属性魔術(中級)

   黒魔術(中級)



ラカエ・フィスト Level=70

状態=新婚(一目惚れ)

職業=海商人 称号=財浚い

ギフト=「雨季陽炎」気配察知、目星

スキル=異常耐性level.7/10

    常時体力微量回復

    狩猟採集level.2/10

    経営学(特)

    演算強化level.7/10

魔法=黒魔術(中級)



サクラ・ローテ Level=31

状態=新婚(熱狂)

職業=弓使い 称号=ラカエの妻

ギフト=「風土の大観」気配察知、聞き耳

スキル=速歩level.Max

    常歩level.Max

    常時体力微量回復

    清掃(中)

    調理(中)

    畜産鑑定level.7/10

    調理師Level.5/10

    狩猟採集level.7/10

魔法=無し

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