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ビビリの旅…… ざわ……

新しい生活へ挑むに、やはり学びが必要です。

世界に並ぶモノは、自分の物差しのみで測れるものではありませんね。



 ☆




 春を控えた、雪解けの晴れの日。

村長が目覚めたらしいので、ご意見伺いに参りました。


僕、この村代表の商人として働いてもよろしいでしょうか。


「……なん、ですって?」

「まだ幼子であるのは承知の上ですが、適任であるのも確か」


……ちょい?

適任って、なあに?


「む……」


……いや、適任って……。


「最初は私も同道しますし、いかがでしょうか」

「私は反対だわ…… 危険よ」


マブリさんが話すと、母が反対し、父が宥める。

この話が出てからずっと母は機嫌が悪い。

僕が引き受けたのだから、僕の所為だ、と言うともっと拗ねるのでもう言わないが。


村長が近付き、頭を撫でてきた。

うーん…… 村長さんからは、新しい畳の香りがするんだよ。

落ち着くなあ。


「早急にお金が必要な理由でもあるのかい?」


マブリさんとティグルさんが顔を見合わせる。

……まだ大牙蟻(ラージアント)の話とか伝わってなかったのか。


『カクカクシカジカ』


大雑把に伝えると。


「そう…… 私の結界……? おかしいわね」

「と、言いますと?」

「広く施術させてはいるけれど、外側には緩やかな、内側には対象を選んだ魔術として組んであるもの。弱まっている気配もないわ。考えられるのは…… 魔物自体が増えている事ね」


やっぱりそうですよねー。

そうか…… ん?


「地面の下を移動する魔物も居ますよね」

「森の木々には共感魔法が発動していて、根を傷付けると食虫植物が消化活動を始めるから、安心なさい」


うわあ、予想より強力な(トラップ)だったあ。

だから蟻達は地下を掘って進まず、根元とか幹に傷が付いていたんだね。

大牙蟻(ラージアント)の魔力検分能力は高いって事か。


「なら、無理をしなくともいいのかな」

「魔物の問題は解決しないけれどね」


しゅーん……。


「ああ、ほら、魔力結晶、掘出せたんでしょう?」

「あっ、はい、こちらです」


これも村長に見てもらうために試しに採ってきた。

真っ直ぐに深い渓谷…… 断層と言うよりは断崖絶壁の底にあった。

これらは思いの外、強い結晶で。

赤なんて色の結晶は、皆知らなかった。


魔物から出てくる結晶(ジュエル)の色は、白から青。

色が濃い程価値があり、魔力を宿している。


地下に生じる魔力結晶(マジクリスタル)

マジでクリスタル。

色は透明から青紫。

こちらも色が濃い程良いらしい。

しかし、ここには真っ赤な魔力結晶が発生していて、見てビックリ、持ち出してビックリ。


「はあ……っ…… 神魔石じゃないの」


しんませき?


[神代の魔力が染み込んだ地層から採れる魔力結晶をそう呼ぶらしいですね。色以外の違いは貯蔵魔力量で、色で比較するなら青の10倍、紫の4倍]


これも貴重品か。

おいそれと出せないかも。


「良い値が付きそうだわ。ノームなら安全に掘り出してくれるでしょうし」


あれ、そうでもない?


「イイモノ見付けたわね〜うりうり」


ホッペタを左右から挟まれ、掌でふにふにされ、抱き締められた。

村長さんなりの感謝なのかな?


「うーん、神魔石を眠らせて置ける金庫も買わなければ無いし、売り払ってもらえた方が良いわね……」

「では?」

「……ちゃんとサポートして頂戴ね?」


村長からの、オッケーが出てしまた。


「おぅふ……」


外堀が埋まっていく……。



 ☆



場所は変わって、ゴォドさんち。


「スーが旅に出る、だと?」


ボクサおじさんがじろりとマブリさんとティグルさんを睨む。


「馬車の改良は終わってんよ、持ってけ」


言いながら、僕の肩を掴んだ。


「しかしスーはまだガキだろう。遊ばせる時間こそ作ってやらにゃあならん! 他を当たれ!」

「ボクサおじさん……」


じわっ。

すげえ。

アニキっぽい。


「実はバザーを担当してもらおうかと考えています」

「……あぁ…… ナルホドな、しかし……」


違和感。

待って待って、さっきから適任とかナルホドなとか、ワケが分からないよ?


[バザーの支配人は人魚王妃なんですよ]


ぐっは。


何故に雨月にバザーなのかと思えば海の民の為ですか。

あの人魚さん、アプローチが凄くて苦手。

やれ『神選りの御子』だとか『次代の世首』って持ち上げて(からか)うし。

何か知らないけどこの村にチョイチョイ構ってくるよね。国が平和で暇なのかなあ。


[……ええはい…… そうですねえ]


あっ、そうだ。

地下にあった素材が活用出来ないか聞きたかったんだ。

地下には父とマブリさんと、浸水地の対応に海商人で海人類(サファギン)のドラ・トパメルエッゾさんに同行してもらった。

いろんな素材(ガラクタ)があった。


「ボクサおじさん、質問があります」

「ん? 何でぇ、言ってみな?」

「ガラスって、加工できますか」


「っ硝子う!?」


顔色を変えて立ち上がる。

ひいいおっかねえ。

思わずヘタり込む。


はひい、スイマセン。

許してくださあい!?


「……いや、何でもねえ」


手を引き、立ち上がらせてくれたけど、顔色は真っ赤なままだ。


「……地下に残っていたガラスの破片を、集めて再利用出来ないかと思って…… 出来ませんか」

「ああ何だ、そういうコトかい。なら、炉から何やら、端々まで新しく作る必要があんぞ?」


金物とは取扱いが全て違うので、多分数年掛かりの仕事になる、って言われた。

リサイクルって、大変なんだね。


「まあ手が有りゃ、やれる所からやってやらあ」


あれ?

割と乗り気……?

あ、レモ姉ちゃんが手招きしてる。

何だろ。


「どしたの?」

「しっ。お父ちゃん、昔ガラスを加工したくて揉めて、故郷飛び出したの。今、すんごく喜んでんのよ? あれならぜーんぶ任しちゃって平気だから」

「うぅん、恐い顔されたから、怒られてるのかと……」


レモ姉ちゃんが、噴き出しそうな堪笑顔(こらえがお)で説明してくれた。


「表情が逆なのよ。まったく、手先以外は不器用なんだから」


あ、ははっ、喜ばれたのなら、嬉しいね。


「所で…… 旅のお供は決まったの?」


ん?

何処かがザワ…… って……?


「んーん?まだ……」

「じゃっ、アタシはどう?」

「えっと、どうって……」

「ああああズルい抜け駆け禁止ってゆったでしょー!?」


ドアがバーン!

と開いて、誰かが仁王立ちしていた。

あれ?

テレコ姉ちゃん。


何か…… ぎゃいぎゃい言うとりますが。


「抜け駆けてないもの。話の自然な流れっ」

「ふっふーん、無理があり過ぎて不自然よっ」


何か…… ぎゃいぎゃい言い合っておりますが。


「ああ、お供の選定には後でクジを作るから」

「「えっ」」


マブリさんが一言で、二人を止めてくれた。

かっくいい。

年の功だね。


[駆け引きに、喜ぶ姿は蝶の様、慌てる姿は蜂の様]


あ、年頃の女性を表わす詩歌でしたね。


[いえ、男女の、ですよ]


……男子、僕だけです、か?


[ええ、取り合いですね]


えー、レモ姉ちゃんはブルク兄ちゃんと付き合っているんじゃ?


[それを本人に言ってはいけませんよ]


……あえ…… はい。


………………そうなんですか。

あ~……。

う~……。


場所変わって、再び村長さんち。

旅のお供をしてくれる人を選定するため、籤引きが開催された。

10人も名乗り出てくれたの?

ありがとうございます。


3人まで、と枠を決めて、結果。


レモテトラ・ゴォド、ブルク・アーモウ、サクラ・ローテに決定。


あ、サクラさんは人馬族(ケンタウロス)

ラモ・ローテお爺さんの牧場で、養鶏担当。

こないだ卵貰いに行ったら、オマケしてくれたお姉さん。

確か弓使いでしたよね。

宜しくお願いします。



 ☆



翌日。

家に、村長と大柄な男性が現れた。


「あのね、朝からごめんねえ……」


村長が歯切れ悪く、言葉を繋ぐ。


「耳聡い人魚の所から、護衛役が一人来たのよ」


はっ?

え、まだ年が始まってないよ?


護衛として海の民から水棲馬(ケルピー)のラカエ・ナックルさんが来ました。

貝殻の鎧に、碇の形の斧。

カッコイイ。


「護衛と言われたが…… 本当の役目は教師だ」

「あっ、そうですよね。僕ら、商売は素人です。宜しくお願いします、先生!」

「……先生、は、ヤメてくれ……」


はい、先生(笑)。

でも、凄く助かります。

ラカエさん。

無口だが、商人として超優秀。


相場で品物を売るつもりだった僕に色々教えてくれた。

相場とは、店先の値段だ、と。


生産者が生産コストと利潤を合わせた生産価格から、仲買人は更に手間賃を掛ける。

仲買人から業者が買い付け、店先に並ぶ時に相場価格になる。


麦や米がバザーの場でそんな高値になる事はないし、金額設定にはその年の生産量も関わるのだから、気を付けていこうと。


危なかった。

やり取りも教わらなくては。


知らないって、恥ずかしい。

教わるって、やっぱり大事。


「御指導お願いします」

「私も序でに教わって良いかな?」


父が頭を下げて申し出ると、ラカエさんは無表情に。


「一人も二人も変わらん。日が無い。座れ」


かっけえ。

父を師、母を匠と考えて、ラカエさんは先生に決定。


よーし、頑張るぞー。


スライ・オーニス Level=6

状態=育ち盛り

職業=商人見習い 称号=誠実な徒弟(神の愛し子)

ギフト=「壁無き友垣」対話、心理学、人類学、生物学、多言語の優良性

    「狙い違わぬ指」目星、回避、隠密、追跡、投擲、技能数値への補助

スキル=「?」

    精神力向上(大)

    集中力向上(大)

    身体強化(小)

    学習指導(中)

    悪戯耐性(小)

    身体俊敏化level.4/10

    片手剣術level.6/10

    盾・両手操作level.6/10

魔法=無属性魔術(上級)

空間魔術(初級)

   黒魔術(上級)

   白魔術(中級)

   精霊魔法(初級)



バァン・オーニス Level=78

状態=溺愛(永続化)

職業=魔術学校長 称号=賢者

ギフト=「遠き呼び声」気配察知、聞き耳、神学

スキル=黒、白、空間、精神魔術強化

    常時異常回復

    常時魔力微量回復

    調理師Level.5/10

    狩猟採集level.7/10

    経営学(大)

    鳥目(夜間視力低下)

魔法=黒魔術

   白魔術

   空間魔術

   精神魔術

   召喚魔術



ロギー・オーニス Level=74

状態=溺愛(永続化)

職業=兼業農家 称号=騎士

ギフト=「空気の階段」高低差無効、跳躍、登攀

スキル=跳躍力向上(大)

    剣術特化

    槍術特化(大)

    防御力増加(大)

    弓術特化

    調理(中)

    直観力(小)

魔法=?



レモテトラ・ゴォド Level=17

状態=献身(充実)

職業=鍛治士見習い 称号=なし

ギフト=「研鑽の重ね」目星、聞き耳、投擲

スキル=炉の護り手(小)

    道具整備(大)

    併せの呼吸level.6/10

    耐熱・耐火(中)

魔法=無属性魔術(中級)

   黒魔術(初級)



テレコ・レクラス Level=10

状態=嫉妬

職業=農家の娘 称号=水耕の担い手

ギフト=「弛まぬ水車」回避、聞き耳、水泳

スキル=水流操作level.8/10

    泉精霊(ナイアデス)魔術level.7/10

    農作業(中)

魔法=無属性魔術(中級)

   黒魔術(初級)



グリン・ガラル・ムート Level=621

状態=溺愛(永続化)、献身(先祖返り)

職業=村長 称号=隠者

ギフト=「大地の友人」気配察知、探索、自然環境支配Level/8

スキル=白、精神魔術強化

    常時体力回復

    変身Level/4

魔法=白魔術

   精神魔術

   地霊呼応

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