森の中~沙夜side~
待ちに待った昼休み!
イベントだー!
琉理ちゃんには別行動を頼んでおいたし、先生にもいっておいた。
ついでにあんまり近づくなともいっておくのも忘れなかった。
当然LINEでだけど。
ま、つまり今日は久しぶりの一人での昼休みで、美月になって尾行をするってこと。
今回のイベントも新キャラが出てくる。
今回は桜ちゃんが選ぶんじゃなくて、必ず起こるイベントだから昨日みたいに危険を冒す必要はない。
だから今私はイベントの起こる体育館裏の森の中の木の上にいる。
この木の上から見える森の中のちょっとあけたところでイベントが起こるのだ。
「あ!桜ちゃんかな?」
ゲーム通り猫を追いかけてるね。
このまま桜ちゃんは猫を追いかけて森の中に入る。
そこにその猫を餌づけしていた新キャラが登場するのだ。
「捕まえた!」
よし!
桜ちゃんもきたし、そろそろ彼も来るかな?
「お、あの人かな?」
少し薄い紫色の頭が見える。
あぁ、やっとまともなイベントが見れるんだ!
「ん?お前、誰だ?」
きゃー!
紫藤史也君登場!
このゲームでは珍しい一年生のキャラで、身長は桜ちゃんとあんまり変わらない。
無邪気な性格でかわいいんだけど、かっこいい。
生徒会が中心のゲームなんだけど、大好きなキャラだったな。
実は一番好みの声で、とてもうれしい。
はぁ、まさかこうして生で聞ける日が来るなんて...。
この日のために性能のいい盗聴器も買った。
カメラと一緒にちゃんと設置してる。
「え、あ、桃井桜っていいます。」
「そうか、俺は紫藤史也。なんで君はこんな所に?」
なんて自然な自己紹介。
イベントはこうでなくちゃ!
「私、この猫を追いかけてて...。あなたは?」
「俺はいつもここで昼休みは過ごしてるから。その猫はいつも俺に餌をねだりにやってくるんだ。」
「そうなんだ!猫、かわいいよね。」
きました!桜ちゃんのすてき笑顔!
これに紫藤君はドキッとしちゃうんだよね。
あぁ、最高!
これぞ乙女ゲーム!
「うん、かわいい。」
「ねぇ、私もここにいていいかな?猫ちゃんに餌あげたい!」
「別にいいけど、俺のじゃねぇし。」
「ありがとう!」
なんてかわいい二人組なんでしょう。
猫もかわいい。
私も餌あげたいなー。
...金森先輩の手伝いをした後でくればあえるかも。
その時間なら紫藤君も帰ってるだろうし、遭遇することもないよね?
もし会っても逃げればいいし、てゆうか、紫藤君は私のこと知らないんだから、会ってもただのモブとして忘れるに決まってる!
私は猫が一番好きな動物なんだ!
「この猫の名前なんていうの?」
「決めてないよ。野良だし。」
その猫ちゃんの名前はクーちゃんだったはず、桜ちゃんがそう名付けてた。
私は猫好きだからね、ゲームの中の猫だろうと、ちゃんと名前を覚えているのさ!
「じゃあ、私が名前つけてもいいかな?」
「俺が飼ってるわけでもないんだから、きかなくったっていいよ。」
「そっかぁ。うーん、黒猫だから、クーちゃん!」
ほ・ら・ね!
「うわっ、安直な名前。」
「別にいいじゃん!かわいいよね、クーちゃん。」
「にゃあ」
「ほら、クーちゃんも喜んでる!」
ふわぁぁあ!
猫と美少女の組み合わせはやばい!
すてきすぎるよ!
「ま、覚えやすくていいかもな。ほら、こっちこいよクーちゃん。餌だぞー。」
猫と美少年も最高です!
かわいすぎる!
「ん、今日もよく食うな。」
「ふふっ」
「なんだよ、急に。」
「いやぁ、紫藤君、クーちゃんのこと大好きなんだね!今すっごく優しい顔してたもの!」
「え、な、そんなこと」
「あるよね?餌あげてるんだし。」
「う、うるせぇよ!」
「なんで否定するの?別に悪いことじゃないのに。」
「改めていわれると恥ずかしいんだよ!そーゆーことは思ってても黙ってろよな。」
「あはっ、ごめんごめん。」
尊い...。
私、今この世界にきて一番幸せな時を過ごしているよ...。
これだよ!これがみたかったんだよ!
「あ、もうそろそろ昼休み終わっちゃうね。」
「ん?あ、そうだな。帰るか。」
「うん。ねぇ、またきてもいい?」
「だから、別に俺に聞かなくってもいいってば。」
「そうだったね。」
「あぁ。」
私も帰らなきゃ!
美月から地味子さんに戻らなきゃいけないし、カメラとかは放課後でいっか。
桜ちゃんたちまだ話してるけど、さすがにこれ以上ここにいると遅刻しちゃう。
もうほとんどイベントも終わってるし、見つからないようにもう帰ろっと。
それにしても、今日は本当に幸せだよ!
金森先輩のことも許せちゃうね!
ありがとうございました!
紫藤君は釵勇様が考えってくださった名前です。
本当にありがとうございます!
ブックマーク、評価、とってもうれしいです!
感想、ご意見もお待ちしております!
これからも助けを求めてしまうこともあるかもしれませんが、精一杯頑張りますので、よろしくお願いします!




