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10-13 登板<リリーフ>、ムシュフシュフォース!!

『1番、ドラゴン、アクト・ヴァーディ』

『代わりまして~。1番、ムシュフシュ、アクト・ヴァーディ』

統合(インテグレイション)!!』


 音声とBGMと共にドラゴンとスコーピオンがアクトの背後に現れ、合体する。蛇のような長い舌と蠍の尻尾を有するドラゴンへと姿を変えた。


『♪ドクドク毒々何の毒?ドクドク毒々何でもアリ!闇夜(やーみよ)を統ーべる(どーく)の王ー!』


 そのドラゴンがアクトを尻尾で貫いた瞬間、ドラゴン――ムシュフシュの体がバラバラになってアクトの全身へと取り付いていく。


 ドラゴンの鎧の上から、左腕に頭、そして毒針のようなものが装着される。全身に鋭い刃が装着され、そのどれもから毒のようなドロリとした液体が垂れる。


『♪ムシュ・フシュ・フォース!!』


 そして紫色のバイザーが装着され、エクストラクターが装着完了の宣言をする。


「とっとと終わらせよう!!」


 アクトは左腕の針を黒い影のような姿となったスローウへと向ける。


「GAAAAAAAAAAA!!」


 咆哮と共にその針を弾き、アクトの胴体へとその腕を向ける。


「させない!!」


 そこに割り込んだのはナイツエクストラクターを起動したシーリアであった。エクスカリバンカーがその腕を弾く。


 弾いた瞬間にスローウの体勢が一瞬崩れた。


「ありがとう!!そこだ!!」


 アクトはそこに向けてエクストラクターのトリガーを引く。


『ムシュフシュ!!』『ラストイニング!!』


「しばらく眠ってもらう!!」


 毒針の周りに様々な色の液体が巻き付き、やがて針全体がピンクに変わる。


『ムシュフシュ!!』『バトルエンディングヒット!!』


「ポイズンストライク・スリーピング!!」


 叫びと共に針がスローウの肉体を貫く。細い針故に血は流れない。代わりに針に纏ったピンクの光が徐々にが肉体へと溶け込んでいく。


「GA……A……GUUUU……」


 一瞬スローウの動きが止まったかと思うと、瞼と思われる箇所が閉じ、腕がダランと垂れる。やがて膝をついてバタリと地面へ倒れた。


「森で試験しておいて良かった」


 アクトはそう言いながら、スローウの腕からエクストラクターを取り外す。黒い影が消え、元のスローウの姿へと戻っていく。


「お、お嬢様は大丈夫ですか!?」


 焦るゴーシュにシーリアは武装を解除しながら言う。


「大丈夫。眠らせただけだから。でしょ?」


 アクトもまた武装を解除して言う。


「うむ。あの大蠍の力は中々使えるね」


 アクトが使った毒針による攻撃「ポイズンストライク」は、様々な種類の毒を相手に撃ち込む事が出来る。純粋な毒から麻痺毒、そして睡眠毒。今彼が使ったものがそれである。


 大蠍を撃退した後、様々な魔物に森の中で襲われた。その時アクトは既に大蠍が持っていたリリーフカードを試用し、そのような汎用的能力を有している事を確認していたのである。


「ただ眠っているだけだ。弱めにしたから数時間もすれば起きるさ」


「あ、ああ……良かった」


 ゴーシュは四足を畳みスローウを抱きかかえてほっとため息をついた。


「……村長を、ターケン様を殺したのは、あなた方の言う通り、だとは思います」


「薄々気づいていたか」


「ええ……その、元々ターケン様とスローウ様はよく言い争いをしていました。それにあの日、最後に部屋に入ったのも彼女。そう考えれば、……まさかとは思いつつも、そうではないかとも思っておりました。……先に、申し上げるべきでした。申し訳ありません」


「気にしないでいい。気持ちは分かる」


 親しい人が人を殺めた。そんなこと、可能性すら言葉になどしたくはない。例え、そうとしか考えられないとしても。


「彼女をどうするかは任せる。僕は別にこの村の法や掟を知っているわけではないからね。……でも出来れば、殺めて罪を償わせるのではなく、別の形を取ってほしい」


「……そうね。アタシもそう思う。出来れば、彼女には生きて罪を償ってほしい。コイツが言った通り、生きてきた意味が分からないまま死ぬなんて、――勿論人を殺めるのは重い罪だけど――あまりに重い罰にも思える」


「私も同感です。……この村では、殺人に対してはその遺族が罰を決める事となっています。このような事件は今まで無かったものですから、どうなるかはわかりませんが……貴方がたの言葉を、彼女が起きたら伝えます」


「そうしてくれ」


「うむうむ。ワシとしてもフォローはしておくから安心せい」


「そうしてくれると嬉しいわね。……ん?」


 シーリアはそう答えてから、誰か聞き覚えの無い声がしたような気がした。その声の方を向くと、


「うえ!?」


 そこには赤い肌で鱗がついた、トカゲ人間と形容すべき存在が立っていた。


「失礼、村長に用があって来たのだが……どうも取り込み中だったようで。ワシはサラマンダーのサーラ。隣村の族長の補佐をやっとる。本来であればここの村長にお願いしようかと思うたのじゃが、そこな人間。ちょっと手伝ってくれんか」


 若い女性の声で、まるで年寄りのような言葉遣いでとのサーラを名乗るトカゲ人間はクイと指を差した。


「え、僕?」


 その指先にはアクトが居た。

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