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7-17 終戦……?

「あ、んー、えーと、その、お、遅くなった……。すまんの。しかし……どないなっとんねや?」


 状況が理解出来ず困惑の色を隠せないヴェルムとその配下の魔物達が、眼前で鎧を解除してふぅと息を吐くアクトに尋ねた。


 彼らはサチとクレスから事情を聞き準備をしてやってきたのだが、事情を知らないフィナの民間人警備担当の兵士達に攻撃されている最中であった。


「あいつは、インジェクターか?ホンマに居たんか?」


 サチとクレスから話を聞いた時、ヴェルムは焦っていた。インジェクターーー伝説上の怪物が実在したこと、そしてそれが恐らくレヴェルの手に渡っていること。何れも楽観視出来る要素ではない。下手をすれば既に全滅していたとしてもおかしくはない。これで自分達が遅れたせいで敗北を喫していたとしたらーー。考えるだけでアクトやシーリアに申し訳なく思ってしまう。


 だが、今目の前で、アクトがその伝説の魔物、そして自らの命を狙う反逆者を封印した。それだけは分かったが、何故レヴェルがあんな禍々しい姿になっていたのか、そういった細部が全くわからないでいた。


「一体なにが起きたいうんかいの……?」


「この封印した奴に関しては僕もわからない事が多いのですが、今の所分かっている事をご説明します」


 アクトはヴェルムに一通りの出来事を説明した。



「人間に戻すわレヴェルもインジェクターも倒すやら、はー、もうなんつーかやりたい放題やのう」


「すみません」


「褒めてんねや。よくやってくれたわ」


 と、そこに女性の「おーい」という声が割り込んできた。


 シーリアである。アクトの姿を見て更に足が早くなる。


「ちょっと、大丈夫だった!?さっきの化物はなんなの!?でこの……クリスタル?は何?でヴェルム様は何でここに?」


 シーリアはアクトに抱きつきながら一気に尋ねた。アクトの傷くらいしかつかなかった鎧がギシギシと軋む。


「ベタですけど苦しいので止めてください」


 アクトはこの戦いでもっとも顔色が悪くなった状態で絞り出すように言った。


「ああはい、ごめんね」


「マジでゴリラや……」


 ヴェルムはシーリアに聞こえないような小声でぼそりと呟いた。

 


「……で、これがレヴェル、か」


 シーリアはアクトの後ろにあるオブジェを指さして言った。水色のクリスタルに見えるが、何かが中に入っている。琥珀のようであった。


「はい。レヴェルと遺跡に居たインジェクター。丸ごと封印しています。ただ問題が一つ。この封印、動かせないみたいで」


「……なるほど。これはあれやな、空間的な完全結合をしとる。つまり大気や地面その他の周りの物質全てと融合して封じるという形式や。こうなると動かせん。周りの大気まで固まっとるからの」


「見張りをつけるしかありませんか」


「せやな」


「んじゃそこはアタシがバターディアとかに話付けとく。問題は今後ね」


「そうだね。この間に戦力の強化と敵戦力の削減を図らないと。さっきの化物形態になっても対応するためにも、このリリーフカードを増やしていく必要が……ああ、はぁ、ありそう、かな」


 アクトは手元の2枚のカードを見せた。


 本当はそんなことしたいわけではない。封印しましたはいこれでお仕舞い、ということにしたかった。だが封印はいつか解ける。遺跡でも建てて上から土砂でも被せてやろうかとも一瞬は考えたが、過去の文明はともかく、今はあのスリンジャークとやらがある。レヴェルがあれで暴走したらまた今回と同じことになる。結局、根本的にレヴェルをなんとかするしかないのだ、という結論に至った。


「アタシのにはそーいうの無いのよね。でも光はまだ灯ってないのがあるから何かあるのかしら」


「うーん、条件は全く分からないけど、多分12くらい形態があるんじゃないかな」


 アクトにはアーサーというものに当然の如く心当たりがあった。何故この世界でアーサー、元の世界における円卓の騎士的な要素があるのか?という点は疑問ではあったが。


(それは私の趣味が反映されたんだと思います。カッコいいですよね、アーサー王様)


 突然心の中に何かが響いてきた。クレアの声であった。


(その鎧は世の理を歪めます。そのお陰で少し介入が出来そうなので話しかけました)


 都合のいいことで。もう少し早く話しかけてくれてもいいだろうに。


(聞こえてますよ。戦闘中に変に話しかけたらむしろ大変でしょう。だからやめておいたのです。ところで、そういうマジックアイテムは製作者、つまり魂の管理者の趣味が反映されている場合があります。そのナイツエクストラクターはどうやら私の趣味で「こんなのあったらいいな」と思ってデザインしたものが反映されてしまったようですね)


(もう少しマシな話をしてくれないかね)


 アクトは心の中で嫌味を言った。


(では。インジェクターについてですが、姉の言う通り世界のバグ。そのエクストラクターとブットバスターを使いこなせば倒す事が出来るはずです。そして倒さず、そのクリスタルに封じたスリンジャークに取り込まれると、スリンジャークの使用者が強化されてしまいます。先程あなたが見たように)


(……それは、まずい。どこにいるとかは分からないのか?)


(生憎全く。ですが、探知機のようなものは作れます。世界のバグを見つけ出すアイテム。デバッガーコンパス)


 世の中のプログラマがみんな欲しがりそうだとアクトは思った。コンパス、方向を示すだけなら、ディスプレイを指すだけかもな、とも。


(お渡しするためにも、来て欲しいところがあります)


(何処?)


(天に近い場所。ジャンベール帝国近くの霊峰、リギヌスです)

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