5-4 装着シーンへようこそ!!
『ドラゴン!!』
リリーフカードが叫ぶ。
「おおー」
サチがキラキラした目で見つめる。
視線が気になるけれど仕方がない。僕はリリーフカードをセットする。
『リリーフ!!』
エクストラクターの宝石部分からドラゴンの頭が出てくる。
「おおっ、おおっ」
ボタンを押すと僕の体がドラゴンへと戻り、すぐに人間の姿へと戻る。その代わりに、弾き出されるようにドラゴンが僕の背後へと現れ、エクストラクターがアナウンスを上げる。
『1番、ドラゴン、アクト・ヴァーディ』
「うんうんうんうん」
サチが輝ける目のまま首を縦に振る。
僕はその視線を浴びながら、無視して動作を続ける。レバーを引いてカードを読み込ませる。
『抽出!!』
どこからともかく流れ出すBGM。
高らかに歌われる歌とともに、ドラゴンの鎧が装着されていく。
『♪燃える炎を身に纏い〜紅蓮の力が湧き上がる〜!』
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
サチのテンションも高らかに上昇する。
『♪ドーラーゴーンフォォォォォォォス!!』
鎧の装着が完了し、バイザーが輝く。目の前が眩しい。
「やったあぁあああああああぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!!!!!!!!」
何がやったのかわからないけれど。サチは随分とご満悦のようであった。
「これよ!!これが見たかったんよ!!ずーーーーーーーっと見たかったのにぜんっぜん見れないから腹立ってたんね!!」
「分解して何がどう動くのかは見ていたけれど実際にはこうなるのですね……派手というか何と言うか」
一方のクレスは冷ややかな対応であった。これはこれで凹むというか。
「で、僕はこれの研究をここでしてると聞いて来たんですけれど」
「してるんよ」
「使う方法を」「壊す方法を」
サチとクレスが同時に言い、そして睨み合う。アンタらこの流れ好きすぎるだろ。
「やめてやめてやめろ何度ですかアンタら!!」
「無粋な奴なんよ」
「お約束という言葉があるではありませんか、ねぇ」
「お約束にしたって天丼が過ぎると飽きられます」
「仕方ない、止めてやるんよ。……まぁともかく研究していたのは確か。でも使えなくて困ってたのも確かなんよ」
そう言ってサチは何かのカードを取り出した。リリーフカードである。絵柄は魚。だがサイズは僕のそれより小さい。
「私はサメの魔物、イビルシャークの血筋を引く魔人なんよ。だからこの魚、サメの文様だと思うんやけど。でもなーんか使えなくて困ってたんよね」
「これが生まれた理由も含めて解析しようと分解とかしたんですが、結局分からずじまい。とにかくバグとしか言いようがないんですよね。困った話です」
全くです。僕としては頼りにしていた道筋がここで途絶えてしまったことが困って困って仕方がないです。
「……ん?」
良く良くそのカードと自分のカードを見比べると、自分のカードに挿入出来そうなスペースがあることに気づいた。
「そのカード借りてもいいですか?」
「ほい」
サチは躊躇いなくそれを差し出した。
「どれどれ……」
「あ」
「ん?」
クレスが後ろを指差して口を開けた。顔は真っ青である。続けてサチも顔が真っ青になっている。
「あ」
「なんですか二人とも」
そう言って僕も振り返る。
そこには、先程死んでいたと思っていた、巨大な魔物ーー炎を纏った巨大な狼であった。
「あぎゃぎゃぎゃぎゃぁぁぁぁぁっ!!」
「あっばばばばばばばばばば!!」
「ふぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
三者三様といった悲鳴を上げてしまった。
「どどどどどどどどうにかするんよ!!アンタそのエクストラクター使えるんだから!!」
「そそそそそそそそうです!!貴方がなんとかしてください!!」
そういってサチとクレスは僕の後ろへと隠れた。おい神様。サチはまだ普通の……普通の?魔人だからいいとして。
「クレスさんはなんとか出来ないんですか!?」
「今の私はただの人間みたいなもんだから無理。追放されたから無理でーす」
この役立たずがァッ!!と吠えたいところをぐっっっっっっっと堪えて、言葉を飲み込むと、
「ち、ちょ、ちょうどいい、これを試してみるとしましょう」
強がりを言って、手元のカード、「SHARK」と書かれたカードをドラゴンのカードにセットした。




