第26話 罠
第26話 罠
ギルド職員は、蒼井に「もう1試合あるが、大丈夫で間違いないね?」と尋ねてきた。
それが、さも当たり前という態度だ。
「当たり前だ!」と蒼井は答えてやった。
これで、『蒼井サイドからの試合を要望したと言い逃れが出来る』とギルド職員は思ったようだった。
そんなことは露知らず、蒼井本人は武器の選択をしていた。
蒼井は、先ほどと、同じく木剣の投擲用にナイフを6本用意し、会場へと向かった。
会場には、既にジムが待ち構えていた。
先ほどのギルド職員から、会場に説明があった。
「この試合は完全決着ルールとします。受験者が『参った』をしても、ギルド側が戦えると判断した場合は、続行いたします」
会場がざわめく。
審査を見に来ていたギャラリー達からは、「マジなのか?」と、滅多な見ることの無いことに興奮する。
一方、ハンター達は、「これはおかしい。ハメられたのでは?」と、声が上がっている。
ギルドマスターは、「即刻、中止だ!」と言う間に、開始の合図が告げられた。
ジム・ライトは何も持たず、ただ立っていた。
「おや、丸腰の相手に木剣かい?」と低い声が響いた。
ジムの挑発に乗るような蒼井ではないが、ギルド職員からは、試合は始まってあるにも関わらず、「この試合は、左右両手に短刀・ナイフ型の模擬武器のみ使用可能とします」と告げられた。
再度、会場がざわめく。武器の選択は自由だからだ。
ギルドマスターは、試合を中止させるべく、部屋を出ようとするが、職員に足止めを食らっていた。
「どうした? 新人んんん!怖くなったか?」
如何にも、といわんばかりの安い挑発だった。
しかし、ジムは知らなかった。空手というものを。先のアニーとの闘いは、たまたま、素手になったと、ジムは、そう思っていたのだから。
「良いだろう」と、蒼井は、木剣を捨てるのであった。
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