第16話 キレイな石
第16話 キレイな石
蒼井はゴブリンなど、相手をせずに石を集めていた。
「キレイな石だ。元はガラスでガラス瓶が割れたのかもしれないな」等と呑気なことを言っていた。
しかし、幸いなことに、皆、命懸けの戦闘をしているので、蒼井に気が付く者は皆無であった。
ある時、ゴブリン達がおかしな動きをし始めた。一瞬、動きが止まるのである。
それが蒼井のせいだと、おやっさん達は気が付かなかったが、実は、先ほどのキレイな石を使って、蒼井は、ゴブリン達の視界を誘導していたのだ。
つまり、ゴブリンは夜目が効く上、好奇心が大勢のため、ガラスの反射を、つい見てしまうのだ。
蒼井がガラスをチラつかすと、よそ見をしてしまうゴブリンは、おやっさん達に狩られていった。
そうこうすると、周りが騒がしくなってきた。他の牧場でも戦闘が起こっていたようだ。
元冒険者が加われば、なんとかなるのではないだろうかと、誰もが思ったが、一番苦戦しているのは、元冒険者の牧場だった。
ゴブリンは、アーチャーをこの牧場に集中的に集め、火矢を飛ばしていた。
一方、おやっさんの牧場は、煉瓦造りのサイロに数本ほど火矢が刺さっているが、大きな被害は出ていない。
ゴブリン達が、元冒険者の牧場対策に戦力を割いていたせいか、先ほどは、あれだけ多くの火矢が準備されていたと思ったのに、あまりこちらには飛んできていなかった。
そして、
ボコッ!という音と共に、ゴブリンが倒れた。
蒼井だ!
蒼井の投げた石が、ゴブリンアーチャーの頭に当たったのだ。
ゴブリンは好奇心が強い。光ると反射的に、そちらを見る習性がある。
左手にキレイなガラス石をチラつかせ、ゴブリンアーチャーがガラス石を見ている隙に投石した石がゴブリンを襲う。
百発百中とは行かないが、その間は、ゴブリンアーチャーの火矢は確実に射ることができない。
また、ゴブリンアーチャーへの嫌がらせで、大きく山なりの投石を行う。滞空時間が長いので、落下するまでゴブリン達は右往左往し、頭を抱える奴もいる。
数十人はいるアーチャーが蒼井一人によって、封じられていた。
お陰で、おやっさんの牛舎や小屋には火矢は刺さらず、健在なのだ。
また、空手の有段者である蒼井が接近戦をせず、投石をしているのには理由がある。
かつて日本の戦国時代、死亡率が高かった武器や戦術の1つが投石だ。決して、鉄砲、槍、刀、弓矢だけが戦国の武器でない。
まずは投石、次いで弓矢、実は刀など接近戦はずっと後の戦闘行為で、しかも、高価な刀とちがい、石は無料というコスパ最高の武器だ!
蒼井が無料なる石を、バンバン投げまくったので、ゴブリンはかなり狩られたようだ。
それを見て、業を煮やす者がいた。
指揮をしていたゴブリンロードだ!
ゴブリンロードは、このまま投石野郎を放置は出来ないと判断し、蒼井の方へと移動を始めた。
ゴブリンロードは、自らの手で蒼井を仕留るつもりなのだ。
読んで頂き、ありがとうございます。
スゲー、雪でしたね。
もう、大丈夫でしょうか?




