表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

6.ガーゼを手に入れました!

ようやく再開です。

私の現状については活動報告に書いておりますので、よろしければご一読くださいませ。

 入学してそろそろ1カ月。どの授業をとるかも決まり、攻略対象の婚約者であるご令嬢たちには仲良くしていただいております。

 そして、相変わらず攻略対象たちにもまとわりつかれております……


 私は乙女ゲーのヒロインなので、まぁそれなりに整った容姿をしていると思いますよ。けど、婚約者であるご令嬢たちと比較したらそんな大騒ぎするようなもんじゃない。

 攻略対象たちには不敬罪と言われても驚かないレベルの塩対応なので、好意を持たれる理由もわからない。

 ゲームのように、攻略対象たちに気に入られるような言動はひとつもしていない。

 それに引き換え、貴族ってのは代々ハイブリッドを重ねてきて、それはそれは見目麗しい容姿をなさってる方が多い。特にカリスタちゃんは私の好みど真ん中である。

 その上彼女たちは、陰に日向に攻略対象たちをサポートしているから、本来ならこの学園生活の間に親密度アップ、好感度アップ、結婚へのカウントダウン!的な流れになってもおかしくない。

 じゃあ、なんでこんなに皆にまとわりつかれるのかというと、やっぱりゲーム補正としか考えられないよねぇ。なんでこんなことになってるんだか……



 そんなことをつらつらと考えながら、今日は久々にお父さんのお店に来てみた。

 おじいちゃんの代で王都に店を構えたらしくて、いわゆる日用品をメインに取り扱ってるお店だったけど、少し前から「既製服」を取り扱う唯一の店として人気を博してます。

 このゲームの世界観は中世ヨーロッパ風で、庶民の服といえば自作か中古品しかなかった。

 当然、誰も彼もが裁縫上手というわけではなく、見るに堪えない出来上がりの服を着てる子もいたわけですよ。

 現代日本でもそうだけど、下手に自作するより大量生産の既製品の方が安いってのはよくある話で、自作するのと金額的に大差なくそこそこのクオリティで服が買えるなら、体にぴったり合わなくてもいいじゃない、って人には人気の商品となっております。

 もちろんなんでもそろうラインナップってわけじゃなくて、チュニック・シャツ・ブラウス・スモック・スカート・トラウザーズ・ジャケットといったこの世界でごく基本のアイテムを色違いで2~3色ずつ、男女ごとにS・M・Lとサイズ展開してる程度だけど、これが大当たりしたおかげでウォルブライト商店は今や押しも押されぬ大商店になりかけてます。


 でも、そんなことは私にはどうでもいいんですよ。

 私が目指しているのは、睡眠環境の改善。

 この世界のベッドリネンって、お貴族様は別として、基本的にはただ大きな布をシーツにしたり適当に綿を詰めたりしてるだけで、肌触りだとか寝心地といったものには無頓着な人が多い。

 しかし睡眠をこよなく愛する私としては、こんな環境は許されない。

 冬の上掛けのカバーはダブルガーゼ、夏は肌触りのいいガーゼケット、シーツも質のいい綿のガーゼ素材、枕は綿でもいいけどガーゼのカバーが欲しい。

 そう、私はガーゼが欲しかったのですよ!

 そもそもガーゼの歴史は古くて、もともとは中東で生まれた透けるように薄い織物だったらしい。

 薄い織物を作るには細い糸が紡げるだけの技術が必要だし、織るにもそれなりの技が必要なわけで、一反のガーゼを作るにはそれなりの時間と手間がかかる。もちろんガーゼじゃなくても、生地を人力だけで作るというのはそうとうに大変な作業なんですよ。

 にもかかわらず、服に使うのは透け透けになるからアウト、生地としては強度が低いので日曜品に使う人も少ないという、不人気ぶり。

 市場なんかでガーゼをいくら探しても全然見つからず、かなり妥協して綿100%の布でベッド周りを整えてました。


 そんな感じでガーゼを諦めてたところに織物協会の方がやってきまして、たまたまそこに居合わせた私もお話を聞くことができました。

 なんでも、細い糸で作った薄い布で既製服を作ることができないかというご相談だそうで、今日お店にいた自分を褒めたい気持ちでいっぱいです!

 ガーゼを1枚で使おうとするから透け透けになるのであって、2~5枚程度重ねれば全然透けないし、生地もしっかりする。

 当然高価な布なので、何枚も重ねたらどんどん高額になっていくけど、そこは高級品として売ればいいし、多重ガーゼは夏に涼しく冬は暖かい素材なので実は1年中使えるのだ。

 いやぁ、これは一気にやる気が出てきましたよ。

 そして、あわよくば私専用の布をいただいて、ベッドリネンを仕立てたい!


 というわけでして、いくつか商品の提案をしてみました。

 ガーゼを二重に使ったスモック。これは鎧下にできるようなものを提案してみました。たぶん一重でもいいんだろうけど、鎧下が必要になるのは騎士の方々なので少々お値段が高くても問題ないってことで二重で提案。

 もう一つが、多重ガーゼで作るスカート。こちらは1枚ずつ色を変えて重ねることで、色の表現が広がるようにいろんな組み合わせを提案してみた。

 どんなのが仕上がるか今から楽しみ。

 なにより生地の見本をもらえるのが嬉しくて仕方ない!

 この世界にきて5年、ようやく理想の睡眠環境に一歩近づけそうです。

今回は日常パートといいますか、お店関連のお話となっております。

会話文が全くない回になったので読みにくいかもしれませんが、お楽しみいただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ