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俺の時間を返せ  作者: きら


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3/3

世界一周旅行

まだ読みます?

"旅行"とは、人生において心洗われる楽しいイベントである。


「世界一周旅行!?」


あれは、小学校2年生のときだった。

僕はヒデちゃんの言葉に耳を疑った。


「そう!ウチに来れば世界一周旅行が出来るよ!」


それでも、ヒデちゃんは自慢気に語るのだ。

そんな風に言われたら、気になって仕方がないじゃないか!


「じゃあ、今日はヒデちゃんちで遊ぼ!」


僕は世界一周旅行の意味がよくわかっていなかったが、その謎を解明すべくヒデちゃんちに向かった。


ヒデちゃんちは丘の上にポツンと建つ一軒家だ。

庭はとても広く、井戸、砂場、ブランコ、牛舎に養鶏小屋がある。

そんなヒデちゃんの家に上がらせてもらうと、奥の客間に案内された。

しばらくそこで遊んでいたが、僕は我慢できなくなって聞いてみた。


「ヒデちゃん。世界一周旅行行きたい」


ヒデちゃんは無言でこっちを見ると、少しの間を空けて言った。


「……いいよ。行く?」


おもむろに立ち上がったヒデちゃんに連れられて向かった先は、なぜかトイレだった。


そして、僕はトイレの中に押し込められた。


「え!?ちょっと!」


慌てる僕をよそに、ヒデちゃんはトイレの扉を閉めて僕だけをトイレに閉じ込めた。

開けようと思ったが、ヒデちゃんは外から扉を押さえているようで開かない。

 

そして、電気を消された……。


窓のない個室は、闇に包まれて何も見えない。


「……」


「……」 


「……」


そのまま1分ほど、無言の時が流れた。

 

僕は意味がわからずにその場で呆然と立ち尽くしていた。


すると、電気が付いた。


電気が付いた瞬間、扉が開き、ヒデちゃんが顔を出す。



「ね!世界一周旅行だったでしょ?」




30年経った今も、コーヒーを飲みながら時々考えてしまう。

あれは一体なんだったのだろうか?

 

実話です

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