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俺の時間を返せ  作者: きら


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1/3

どっちの会話しょー

ここに来てはいけない!


今すぐ引き返すんだ!

"選択"とは、人生において何度もやってくる重要なイベントである。


「"うどん"か"そば"か」


居酒屋の片隅で、スーツのおっさんが作業着のおっさんと話している。


「うどんだな」


ビールをグビっと飲んだ作業着のおっさんは言う。


「じゃあ、"きつね"と"たぬき"は?」


「きつねだな」


このおっさん2人は、毎度のように2択の話を繰り返している。


「おい。残された"たぬきそば"はどうすればええんや? 泣くぞ?」


そして、スーツのおっさんは酎ハイを飲みながら、選ばれなかった方を哀れむのだ。


「いや待て。"たぬきうどん"と"きつねそば"も居るだろうよ?」


焼き鳥をかじりながら作業着のおっさんが言う。


「ほんまや!? 4択になってもうた!"たぬきそば"は寂しくないんやな!」


スーツのおっさんはガハハと笑いだした。


「それなら、"関西風"か"関東風"かはどうだ?」


今度は作業着のおっさんが逆に問う。


「"関西風"に決まっとるやないかい」


枝豆をつまんで、スーツのおっさんが答えた。


「何択になった?」


「へ?」


作業着のおっさんの意地悪な質問に、スーツのおっさんは思わず固まる。


「"冷たい"と"温かい"は?」


「やめーや。もう何択かわからんやん」


「ふははははは!」


「ガハハハハハ!」


2人はそれぞれお酒を一口飲んだ。


「で、結局明日は何食べるよ?」


作業着のおっさんがまとめる。


「それな。俺は寿司が食べたいねん」


「さっきの会話なんだったんだよ」


こうして、今日もおっさんの夜は更けていく。

ぼくは関西風のきつねうどんが好きです。


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