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27.こころみ1

 パンの材料となるシリジーニスが黄金色に輝き、風にゆれている。


 実験は成功した。最低ラインはクリアして前には進んだ。質の低い魔木の杖でも特別に仕立ててくれているので今までと違った。範囲は狭いが自分が意識して植物を急成長させることが出来た。


 アキレア王女は振り向き「ありがとうございます。ヘリオス」と言った。


 俺もアキレア王女を振り向き「すぐに食糧増産につながるわけではないですが、寒さに強いシリジーニスを作り出せそうです」と言った。


 ここでは、遺伝子組み換えすることは出来ない。けれど、昔ながらの人工交配でも魔力で急成長させたら、どんどん交配結果がわかるので世代を更新することも簡単だ。


「寒さに強いシリジーニスを作り出せたら寒波の年に助かります」


 アキレア王女の言葉にキロンがつなぐ。


「急成長させるばかりでは、病害虫に強い個体がどれか分かりませんので氷魔法をかけて耐寒性を調べましょう」


 ヒュペリオンは杖をかまえ「では、私が。ニックス!」


 急に寒くなり、人工交配後に採取した種から急成長させたシリジーニスが白くなる。手で触ると冷たい。柔らかな雪が融けた。


 俺は頭の中で整理してから、「明日になるとシリジーニスの葉など状態に違いが出るでしょう。寒さに強いもの、収穫量が多いものから選抜してさらに交配し成長させます。病気に強い個体も調べたいですね。収穫期間も短く出来たらいいですし、やることはたくさんありますね」


 毎日、1世代進めることが出来そうなので、国の食糧事情はかなり改善されていくだろう。


「出来れば学園の授業の後に毎日寄ってくれ。シリジーニスだけではなく、ポテトも品種改良してほしい」

 キロンが言った。


 ――ポテト?


「焦らないでじっくりと続けてくれ。ここ何年も寒波は来ておらず、餓死者も出ていない。行方不明になった王が遺跡の調査で見つけたポテトにより冬越しも楽になり蓄えも少しはある」

 キロンはそう言葉を続けるとヒュペリオンとともに帰っていった。


 まだ、体力に余裕があるので、アキレア王女が集めた薬草になる花々の品種改良と魔力による急成長を行った。


 それにしても、大学の卒論で交配させていた時よりも簡単だ。

 調子にのってどんどんと花の交配をすすめた。


 見た目だけ好みのものを選んで抜粋していった。


 食糧増産が完了してからとおもったが、餓死者が出ていないのなら、少しくらい趣味に魔力を使っていいだろうと考えた。


 キキョウに似た青みがかった紫の花を品種改良してみた。


 もうすでに咲いている花は自家受粉している可能性が高いので、種を採集して播いた。魔力を使うことによって簡単に根が出て、すぐに親株と同じ大きさになった。つぼみの状態で花びらを切り取り、おしべを除去して、別の個体からおしべをとり、おしべを除去した株のめしべに花粉をつけ受粉をうながした。


 ふつうは、ここで別なおしべの花粉が昆虫によってつかないように袋をかぶせるのだが、魔力で急成長させるので問題ない。


 すぐに種が熟した。これを横に植えてさらに魔力で急成長させる。変異が多いようで、様々な個性をもった個体が出来た。


「アキレア王女はどんな色の花が好きですか?」


「私は、空のような柔らかい青色の花が好きです。それに、優しいピンクの花も好きです」


 アキレア王女が集めたキキョウに似た花で花弁が薄い赤の株と青みがかった紫の花弁の株がある。これをそれぞれ、交配して好みのものを作り出してみよう。


 魔力で急成長させ交配を繰り返しまくった。


 上手く出来たと思った時、急に気分が悪くなった。目の前が回転し、俺は倒れた。青い空が見えた。

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