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28.こころみ2

 頭を撫でられている。小さな手がやさしくて暖かい。


 目を開けるとアキレア王女の顔が近くに見えた。


 俺は倒れたはずだが、どこも痛くない。頭もクリアになってきた。

 調子が戻ってくるとアキレア王女に頭を撫でられ続けるのが恥ずかしくなってきた。


「回復魔法が効いたようですね」


 アキレア王女は手を俺の頭からそっと離した。


 魔力の流れが心地よかった。


「この花をアキレア王女に」

 空のような青の花と桜色の花の株


「ありがとうございます。とても嬉しいです。でも、倒れるまで魔力を使うなんて」

 満面の笑みから、悲しげな表情にかわる。


「嬉しくて調子にのってしまいました」

 恥ずかしくて苦笑いになった。


「本当ですよ。心配しました。戦闘でもないのに倒れるまで魔力を使う人はなかなかいないですよ」


「やりすぎましたが、魔力で急成長させると連作障害が出ないことがわかりました」


「連作障害とは何ですか?」


「同じ植物を同じ場所で続けて育てると必要な栄養が足りなくなって成長に障害が出ることです」


「だから、今まで同じ花を同じ場所で育て続けると年々、花が小さくなっていたんですね。ヘリオスが魔力で急成長させると大丈夫なんですね?」


「そのようです。まだまだ試したいですが」


「今日は、もう駄目ですよ。これから無理はしないでくださいね」


「回復魔法で治してもらえるならいいかなと思ったんですが……」


 アキレア王女が初めて見せる厳しい表情。


「気を付けます」


「無理をしないでと言ったのに申し訳ないですが、よければ明日、孤児院に一緒に行ってください。孤児院で育てているポテトの畑を見てほしいのです」


「わかりました。杖のお陰でこれから役に立てそうですね」


「無理せずに毎日少しずつお願いします。キレイな花をありがとうございました。ヘリオス。今日から幸せな気分で寝られそうです」


 とてもかわいい笑顔だった。空色と桜色の花を持った姿が一枚の絵画のようだった。


 俺も幸せな気持ちで眠れそうだった。

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