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26.妄想・展望・感謝

 翌日、夕飯が終わるとヒュペリオンが出来上がったシェフレラの杖をくれた。

 白い糸で縫われた黒い革細工に入れてある。


「レアさんが縫ってくれたんだぞ。これで、ベルトに付けて杖をしまっておけるだろ」


 俺は、ベルトに通してから杖を取り出し、再度、革袋にしまう。

 思わず笑顔がこぼれた。


「レアさんありがとう!大事にするよ」


「いいのよ。革も蝋引き糸もヒュペリオンが用意してくれたのだから。私は縫っただけよ」


 もう一度、革袋をじっと見る。縫い目が均一でとてもキレイだ。丁寧に縫ってくれたことがわかる。

 俺はもう一度お礼を言う。


「私のは?」


「セレネは、杖をもらってすぐに杖袋もらっただろ」

 リアンサスが言う。


「だって、ヘリオスの杖袋のほうが、白い糸も使っていてキレイなんだもの」


 セレネの言葉に皆が笑う。


「じゃあ、自分で革も用意して好きな色の糸を使って縫ったらいい。自分で狩りも出来るだろ?」


 ヒュペリオンの言葉にセレネが元気よくうなずく。


「リープスの白い冬の毛皮を使ったら、かわいいかな?」


「きっとセレネに似合うよ。俺も手伝うから」


 俺の言葉にセレネが嬉しそうにする。


「ヘリオス。明日は実験するんだろ?」


「うん。キロン様から呼ばれている」


「明日が楽しみだな」

 セレネが言う。


「授業中に実験をするからセレネたちは見られないよ」


「私も見たかった!」


「キロン様の時間がそこしか取れなかったからしょうがない。実験がうまくいったらいくらでも見られるさ」


 ヒュペリオンの言葉にセレネが不満そうにうなずく。


 シェフレラの杖の実験が上手くいき、冬越しがうまくいけばいい。

 皆がお腹いっぱい食べられて満足出来たら俺もやりがいがある。


 上手くいったら次は、見渡す限り一面の花を季節ごとに咲かせよう。

 前世でやりたかったことだ。そのために広大な庭園を管理する企業の園芸部門に勤めたのだから。


 アキレア王女も喜ぶだろう。アキレア王女の薬草園兼花畑よりも広大なものをつくろう。一緒に喜べる人がいるのも嬉しい。


 観賞用の花をつくれるぐらい国が裕福になるのは、食糧増産が出来てもすぐではないだろう。だから、まずは、食糧が追いつくまでは薬草になる花や食べられる花を生産しよう。次に香料が取れて他国に販売出来る花を栽培しよう。その後に観賞用の植物を生産だ。他国への流通経路が出来れば突然変異の花卉なら国外に輸出して稼げる可能性も高い。


 それから、俺の特性を活かして魔木の生産も出来ないだろうか?上手くいけば、国の防衛の底上げになるだろう。


 食事の団欒が終わり、ベッドに入っても妄想が止まらずになかなか寝付けなかった。


 頑張れば人の役に立てて、自分の好きなことも出来るこの世界が好きだった。


 努力すれば未来がよくなると思えるのが安心する。


 力を持たせてくれた、この世界に存在するか分からない神様に感謝した。

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